米メディアBloombergは、スマートフォン向けのチップセットを製造しているQualcomm(クァルコム)が、一体型VR/ARヘッドセット専用のチップを発表すると報じています。
新チップ「Snapdragon XR1」
匿名の「事情に通じる人物」からの情報提供によれば、発表は5月30日からカリフォルニアで開催されるAugmented World Expo内で行われるとのこと。「Snapdragon XR1」と呼ばれるチップは、メインのプロセッシングユニット、画像プロセッサ、セキュリティ機能、人工知能処理が合わさったシステムオンチップ(SoC)です。またヘッドセットに対するボイスコントロールとヘッドトラッキングの実現にも取り組んでいます。
そしてこの新しいチップは、安価で、エネルギー効率の良い端末を可能にするとしています。
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一体型ヘッドセットへの流れ
最近の傾向を見ると、VRヘッドセットはPC向けのハイエンドのものよりも、一体型への志向が強まっている流れがあります。例えば一体型ヘッドセットOculus Goや、グーグルが開発協力したレノボのMirage Solo。どちらもクァルコムのスマートフォン向けチップセットを搭載しています。
またクァルコム自身も、年々発表するチップセットの新モデルでは、VR/AR機能を強化してきたほか、一体型VRヘッドセットのリファレンスモデルを発表し、この分野に力を入れてきました。
一体型を含むモバイルVR/ARに未来を見ているクァルコム(2017.11 北京でのHTCでのカンファレンスでの発表時のスライド)
一体型ヘッドセットの場合、バッテリーの持続時間が短いという課題があります。しかし一体型ヘッドセット向けに最適化されたチップセットを使えば、機能の改善が図れます。
クァルコムのほかにも、一体型ヘッドセット向けチップの開発を試みる企業はあります。例えばアップルは、2020年に向けて独自のチップを搭載したARグラスを開発していると報じられています。またインテルやNVIDIAもこの分野に関心を示しています。マイクロソフトはMRデバイスHoloLensの次期モデルに機械学習の処理を強化した新型チップを搭載することを明らかにしています。
クァルコムは本件についてコメントを控えていますが、スマートフォンの次に来る成長市場、収益源を探していると見られます。情報の提供者によれば、同社はHTCやAR企業Vuzixといった複数のヘッドセットメーカーと提携し、端末へのチップ搭載を計画しているということです。
(参考)Bloomberg