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PlayStation VR2 2024.04.10

PSVR2は買うべきなのか? しばらく使ってみて気づいたメリットとデメリットを紹介

2023年2月に発売されたVRヘッドセットPlayStation VR2(PSVR2)。これまで、PS5への接続が前提となっており、PSストアのゲームのみ遊べる、言わばPS専用機のデバイスでしたが、発売1周年を記念するタイミングで、PC対応する予定があると明らかになりました。

現在は機能をテスト中で、2024年内に対応すると説明されていますが、果たして、これを機に「PlayStation VR2」を購入すべきか悩んでいる人も少なくないはず(現在の価格は、税込み74,980円です)

今記事では、発売当初からPSVR2を遊んできた記者の実感込みで、デバイスのメリットとデメリットを紹介します。

メリット1.ディスプレイ解像度は十分、視線の先の景色がハッキリ

PSVR2は比較的最新のVRデバイスであるため、ディスプレイ解像度は(他デバイスと比較して)平均以上です。価格帯の近い最新デバイス「Meta Quest 3」(税込み74,800円)には、解像度で若干劣るものの、有機ELでキレイな印象を受けます。

また、フォービエイテッド・レンダリング技術によって、目線の中心のある映像ほどくっきり見えます。アイトラッキング機能も搭載しているため目線でゲーム画面上の選択なども可能です。

Meta Quest3との比較は下記のとおりです。

PSVR2 Meta Quest 3
ディスプレイ解像度(片目)
※解像度が高いほど、グラフィックが鮮明になり、リアルな映像体験ができます。
2000×2040 2064 x 2208
リフレッシュレート
※数値が高いほど、映像が滑らかになり、細かな動きまで確認しやすくなります。
90Hz、120Hz 72Hz、80Hz、90Hz、120Hz
視野角(FOV度)
※視野角が広いほど、見られる映像の範囲が広がります
約110度 110度(水平)/96度(垂直)
レンズの種類
※種類によって見え方に違いがあります
フルネルレンズ、有機EL パンケーキレンズ
※パンケーキのように薄いレンズ
瞳孔間距離(IAD)の調整方法
※左目と右目の瞳孔の離れている距離を表す。デバイス本体で調整可能
ダイヤルで自動調整可能(デバイス側で確認画面あり) ダイヤルで自動調整可能
処理能力
※ゲームやアプリが快適に動作するかに関わります。
PS5の性能に依拠 SoC : Snapdragon XR2 Gen2
DRAM : 8GB

メリット2.PSVR2独自の機能による体験が格別

PSVR2には、「ハプティックフィードバック」「アダプティブトリガー」と呼ばれる、映像以外で没入感をより高めてくれる機能が存在します。

「ハプティックフィードバック」は、VRヘッドセット自体が振動し、ゲーム内の敵の攻撃から風のゆらぎなど、さまざまな触覚をこちらに与えてくれる機能です。このような機能を搭載したVRヘッドセットは現状ほとんど無く、ゲーム体験をよりリアルにしてくれます。

「アダプティブトリガー」は、PS5の「DualSense ワイヤレスコントローラー」と同様に、ゲームのシチュエーションによってトリガーボタンを押したときの抵抗感が変化する機能です。これにより、モノを掴む、弓を引くといった動作の触覚の違いを表現しています。

総じて「視覚」だけでなく「触覚」にも重点をおいたデバイスとして、独自の立ち位置を誇っています。著者がPSVR2を長く使用して大きなメリットとして感じているのは、この「触覚」の再現にあります。

「アダプティブトリガー」については下記の記事でも紹介されています。

メリット3.PS5の高クオリティなVRゲームを遊べる

PSVR2はPS5と接続できる唯一のVRデバイスであり、PS5のみに提供された人気コンテンツを遊べるのが強みです。

例えば、Horizonシリーズの最新作Horizon Call of the Mountainは、現状PS5でしか遊べません。体験としても、巨大な機械獣が頭の上を通り、ヘッドセットの振動で緊迫した戦闘に没入できるなど、ここでしかできない体験を味わえます。

また、「バイオハザード7」「バイオハザード ヴィレッジ」「バイオハザード RE4」といったバイオハザード最新タイトルは、非VR版はSteamなどで遊べるものの、VR版はPSVR2のみ。これらは本編全編をVRで体験できるので、ボリュームも申し分ありません(なお、Metaストアにはリメイク前のバイオハザード4が配信されています)。

同じく「グランツーリスモ7」もVR版はPSVR2のみとなっています。映像のFPSが安定しており、快適な運転を体験可能。主観視点ならではの情報量の多さによる臨場感も本作の魅力です。

これらのリッチなゲームを存分に遊びたいのであれば、まず買って損はありませんが、後述する現状リリースされているソフトの少なさが難点となっています。

デメリット1.デバイスのズレやすさ、画面の調整が面倒

他のデバイスと比較した際、いわゆるバーチャルの画面がはっきりと見える範囲(スイートスポット)が狭いのも難点です。少しずれるとすぐボヤける問題があります。ストラップが頭のおでこ部分周りで支える仕様となっているため、どうしてもプレイ中に動くほどズレが起きやすくなっています。

また、初代PSVRから大幅改善されたとは言え、PS5と接続するコードは、やはり邪魔になるときがあり、取り回しの面倒さを感じます。

デメリット2.深刻すぎる専用ソフト不足

PSVR2は本デバイスでしか遊べないリッチなゲームが用意されていますが、一方でVRゲームの総数でいうと、Meta QuestやPICOよりもかなり少ないのが現状です。QuestでもPSVR2でも遊べるマルチ対応のタイトルも多く「Meta Quest 3でも遊べるのであれば、わざわざPSVR2を購入する必要がない」と思ってしまう点が残念なところです。

PCVR向けデバイス(もしくはQuestシリーズをPCと接続できる環境)を持っているのなら、Steamに大量のVRゲームが配信されているため、ソフト数では及びません。これらのソフトは、冒頭で紹介したとおり、PSVR2のアップデートによりPCで遊べることが予告されていますが、先述のPSVR2ならではの特徴といえる「ハプティックフィードバック」や「アダプティブトリガー」が、どこまでPCで再現されるのかは不明です。もし、ふたつの機能が実装されないのであれば、特に強い個性のないVRヘッドセットとなってしまいます。

ちなみに、初代PSVRのソフトとの互換性もないため、「クーロンズゲートVR」や「エースコンバット7」のVR版なども遊べません。

そうなると、PSVR2の性能を活かした大型タイトルは限られてくるため、バイオシリーズやグランツーリスモなどの専用機になってしまうのが痛いところです。

PC接続型のVRヘッドセットとして購入するのはアリなのか?

全くPCVRを持っていない人は、選択肢の一つになるかもしれません。特にPS5とPCを両方持っている人は、両プラットフォームのゲームを遊べるメリットがあります。すでにPSVR2を所持していて、PSストアのタイトルの少なさに困っている人にとっては、今回のPC対応の発表は朗報でしょう。

ただし、上記の通りPSVR2本来の性能がどこまで再現されるのかは不明で、大きなメリットの「触覚」の部分が表現されるか否かで価値が大きく変わってしまいます。すでにQuest 3を持っていてPSVR2を持っていない人は、無理に購入を検討する必要はなさそうです。ただし、今後の続報次第では状況が変わるかもしれないので、引き続きアップデートの詳細を待ちたいところです。

執筆・検証:ゆりいか
執筆補助:ノンジャンル人生


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