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PlayStation VR2 2024.04.10

PSVR2は買うべきなのか? しばらく使ってみて気づいたメリットとデメリットを紹介【2024年6月更新】

2023年2月に発売されたVRヘッドセットPlayStation VR2(PSVR2)。これまで、PS5への接続が前提となっており、PSストアのゲームのみ遊べる、言わばPS専用機のデバイスでしたが、PC接続に対応することが正式発表されました。

2024年8月7日より専用アダプター「PlayStation VR2 PCアダプター」が発売され、「Steam」のVRゲームなどが利用可能になりますが、果たして、これを機に「PlayStation VR2」を購入すべきか悩んでいる人も少なくないはず(現在の本体価格は、税込み74,980円です)

今記事では、発売当初からPSVR2を遊んできた記者の実感込みで、デバイスのメリットとデメリットを紹介します。

メリット1.ディスプレイ解像度は十分、視線の先の景色がハッキリ

PSVR2は比較的最新のVRデバイスであるため、ディスプレイ解像度は(他デバイスと比較して)平均以上です。価格帯の近い最新デバイス「Meta Quest 3」(税込み74,800円)には、解像度で若干劣るものの、有機ELでキレイな印象を受けます。

また、フォービエイテッド・レンダリング技術によって、目線の中心のある映像ほどくっきり見えます。アイトラッキング機能も搭載しているため目線でゲーム画面上の選択なども可能です。

Meta Quest3との比較は下記のとおりです。

PSVR2 Meta Quest 3
ディスプレイ解像度(片目)
※解像度が高いほど、グラフィックが鮮明になり、リアルな映像体験ができます。
2000×2040 2064 x 2208
リフレッシュレート
※数値が高いほど、映像が滑らかになり、細かな動きまで確認しやすくなります。
90Hz、120Hz 72Hz、80Hz、90Hz、120Hz
視野角(FOV度)
※視野角が広いほど、見られる映像の範囲が広がります
約110度 110度(水平)/96度(垂直)
レンズの種類
※種類によって見え方に違いがあります
フルネルレンズ、有機EL パンケーキレンズ
※パンケーキのように薄いレンズ
瞳孔間距離(IAD)の調整方法
※左目と右目の瞳孔の離れている距離を表す。デバイス本体で調整可能
ダイヤルで自動調整可能(デバイス側で確認画面あり) ダイヤルで自動調整可能
処理能力
※ゲームやアプリが快適に動作するかに関わります。
PS5の性能に依拠 SoC : Snapdragon XR2 Gen2
DRAM : 8GB

メリット2.PSVR2独自の機能による体験が格別

PSVR2には、「ハプティックフィードバック」「アダプティブトリガー」と呼ばれる、映像以外で没入感をより高めてくれる機能が存在します。

「ハプティックフィードバック」は、VRヘッドセット自体が振動し、ゲーム内の敵の攻撃から風のゆらぎなど、さまざまな触覚をこちらに与えてくれる機能です。このような機能を搭載したVRヘッドセットは現状ほとんど無く、ゲーム体験をよりリアルにしてくれます。

「アダプティブトリガー」は、PS5の「DualSense ワイヤレスコントローラー」と同様に、ゲームのシチュエーションによってトリガーボタンを押したときの抵抗感が変化する機能です。これにより、モノを掴む、弓を引くといった動作の触覚の違いを表現しています。

総じて「視覚」だけでなく「触覚」にも重点をおいたデバイスとして、独自の立ち位置を誇っています。著者がPSVR2を長く使用して大きなメリットとして感じているのは、この「触覚」の再現にあります。

「アダプティブトリガー」については下記の記事でも紹介されています。

メリット3.PS5の高クオリティなVRゲームを遊べる

PSVR2はPS5と接続できる唯一のVRデバイスであり、PS5のみに提供された人気コンテンツを遊べるのが強みです。

例えば、Horizonシリーズの最新作Horizon Call of the Mountainは、現状PS5でしか遊べません。体験としても、巨大な機械獣が頭の上を通り、ヘッドセットの振動で緊迫した戦闘に没入できるなど、ここでしかできない体験を味わえます。

また、「バイオハザード7」「バイオハザード ヴィレッジ」「バイオハザード RE4」といったバイオハザード最新タイトルは、非VR版はSteamなどで遊べるものの、VR版はPSVR2のみ。これらは本編全編をVRで体験できるので、ボリュームも申し分ありません(なお、Metaストアにはリメイク前のバイオハザード4が配信されています)。

同じく「グランツーリスモ7」もVR版はPSVR2のみとなっています。映像のFPSが安定しており、快適な運転を体験可能。主観視点ならではの情報量の多さによる臨場感も本作の魅力です。

これらのリッチなゲームを存分に遊びたいのであれば、まず買って損はありませんが、後述する現状リリースされているソフトの少なさが難点となっています。

デメリット1.デバイスのズレやすさ、画面の調整が面倒

他のデバイスと比較した際、いわゆるバーチャルの画面がはっきりと見える範囲(スイートスポット)が狭いのも難点です。少しずれるとすぐボヤける問題があります。ストラップが頭のおでこ部分周りで支える仕様となっているため、どうしてもプレイ中に動くほどズレが起きやすくなっています。

また、初代PSVRから大幅改善されたとは言え、PS5と接続するコードは、やはり邪魔になるときがあり、取り回しの面倒さを感じます。

デメリット2.深刻すぎる専用ソフト不足

PSVR2は本デバイスでしか遊べないリッチなゲームが用意されていますが、一方でVRゲームの総数でいうと、Meta QuestやPICOよりもかなり少ないのが現状です。QuestでもPSVR2でも遊べるマルチ対応のタイトルも多く「Meta Quest 3でも遊べるのであれば、わざわざPSVR2を購入する必要がない」と思ってしまう点が残念なところです。

PCVR向けデバイス(もしくはQuestシリーズをPCと接続できる環境)を持っているのなら、Steamに大量のVRゲームが配信されているため、ソフト数では及びません。ちなみに、初代PSVRのソフトとの互換性もないため、「クーロンズゲートVR」や「エースコンバット7」のVR版なども遊べません。

そうなると、PSVR2の性能を活かした大型タイトルは限られてくるため、バイオシリーズやグランツーリスモなどの専用機になってしまうのが痛いところです。

PC接続型のVRヘッドセットとして購入するのはアリなのか?

6月3日、専用アダプターの接続でPCへの対応が対応が正式発表されました。アダプターは取り扱い店舗にて税込8,480円で発売予定です。

上記のストアの問題点が解消されますが、同時に懸念点もあります。

大きな問題となるのが、PSVR2の強みと言えるHDRやヘッドセットへのハプティックフィードバック、アイトラッキング、アダプティブトリガーなどの一部主要機能がPCでは利用できなくなること。特にフィードバック関連はPSVR2ならではのメリットが無くなってしまい、没入感が損なわれてしまいます。解像度などのグラフィック性能でMeta Quest 3の方が上回っており、「PC接続のみを目的にPSVR2を購入する」はベストな選択肢とは言えないでしょう

一方、PSVR2とPCは持っているが、Meta Quest 3は持ってない人にとっては朗報でしょう。PC接続のPSVR2は、Quest 3には性能面で劣るものの、現環境のソフトを快適にプレイする分には十分な性能です。Meta Quest 3への買い直しは手痛い出費となるため、使い続ける分には問題ないと思います。

PCでPlayStation VR2を使うための必要スペック

OS Windows 10 64ビット版 / Windows 11 64ビット版
プロセッサー Intel Core i5-7600 / AMD Ryzen 3 3100(Zen 2以降のアーキテクチャ)
RAM/メモリー 8GB以上
GPU/グラフィックカード – NVIDIA GeForce GTX 1650以降(※Turing以降のアーキテクチャ)
– NVIDIA RTXシリーズ
– AMD Radeon RX 5500XT以上 / AMD Radeon RX 6500XT以上※快適に遊ぶには「NVIDIA GeForce RTX 3060以上またはAMD Radeon RX 6600XT以上のグラフィックカードの使用を推奨」。
DisplayPort DisplayPort 1.4
※標準のDisplayPortまたはMini DisplayPort出力ポートが必要
USB 直接接続のみ
Bluetooth Bluetooth 4.0以降
※Bluetoothアダプターの互換性の問題により、一部のBluetoothアダプターが正しく動作しない可能性あり。詳細についてはPlayStation VR2 Pアダプター発売前に告知予定

結論:
・すでにPSVR2を持っている人にとっては有難いアップデート、アダプタを買うのをおすすめ
・PSVR2ならではの性能の魅力はPCでは発揮されないので、PC接続目的のみで買うのはおすすめしない
・PSStoreとSteamの両方をどうしても一台のデバイスで遊びたいという人は購入を検討しても良いかも

公開されている情報を見る限り、基本的にPSVR2はPS5向けのVRデバイスであることは変わらず、PC用VRデバイスを買うなら、Meta Quest 3を買ったほうが満足できると思います。なお、コントローラーのフィンガータッチ機能、シースルービューなどの一部機能はPCでもサポートされているので、今後発信される情報を追っていきたいところです。

執筆・検証:ゆりいか
執筆補助:ノンジャンル人生

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