Home » PICO 4はVRChatに最適か? オススメ設定を探しながら相性を探る


Pico 4 2022.10.11

PICO 4はVRChatに最適か? オススメ設定を探しながら相性を探る

10月7日(金)に発売された新型VRヘッドセット「PICO 4」は、「軽量・高画質・スタンドアロン」の三要素を備えた期待の一台です。新型VR機器の登場に、ソーシャル「VRChat」のユーザーも気になっている人は多いはず。

果たして、「PICO 4」は「VRChat」に適したデバイスか? 以下で考察してみます。

結論:強くはオススメできない

注意点に触れておくと、現時点では「VRChat」の「PICO 4」向けアプリは配信されていません。そのため、ヘッドセットだけで「VRChat」を遊ぶことはできません。PCと接続してストリーミングする方法が必須となります。

そのうえで結論から先に入ると「VRChat」向けには強くオススメはできません。ただ、ヘッドセット本体の軽量感などはメリットとなります。以下、細かなポイントを列記します。

・装着時に「Meta Quest 2」より軽く感じやすく、トラッキング範囲は広め。
・コントローラーにはタッチセンサーがあるため、「Meta Quest 2」と同じ感覚でハンドサイン(≒表情)をつけられる。
・素早く起動できるフルカラーパススルー機能がある。飲み物などを取ったりするときに便利。
・「PICO 4」本体の内蔵マイクの性能は悪い。なにかしらの対策が必要。

PCVRストリーミングの方法と設定

先述の通り、10月7日(金)の発売時点では、「PICO 4」向けアプリとして「VRChat」は配信されていません。このため、PC上で動作する「SteamVR」版を、PCVRストリーミング機能を使ってプレイすることになります。

PCVRストリーミングを実施するには、PC側に「SteamVR」と「Streaming Assitant」を導入する必要があります。「Streaming Assitant」を起動後、有線接続か無線接続かを選択します。接続条件は以下の通りです。

・有線接続:USB3.0 Type-CでPCと「PICO 4」を接続
・無線接続:同じWi-Fi(5GHz以上)にPCおよび「PICO 4」を接続


PCの「Streaming Assitant」でストリーミング開始後、「PICO 4」側の「ストリーミングアシスタント」で接続したいPCを選択。接続が成功すると、「SteamVR」が起動するので、「VRChat」を起動すればOKです。

ストリーミングが開始するとこのような画面になります。ただし、初期設定の場合は解像度、リフレッシュレートがパフォーマンス重視で、マイクもOFF設定になっています。

六角形のアイコンから設定画面を開くことができます。「VRChat」向けに使う場合、声を発する人はここでマイクをONにしておきましょう。また、高画質にしたい場合は、解像度は「HD」に、「画像リフラッシュレート(※原文ママ)」は「90Hz」に設定するのがオススメです。

ただし、有線も無線もある程度は映像圧縮がかかってしまうため、上記設定でも「PICO 4」の4k画質はフルに発揮できないことが多いかもしれません。また、PC設定によっては重すぎる可能性もあるため、適宜設定は調整することをオススメします。

「Streaming Assistant」のダウンロードはこちら。「PICO 4」対応のものをダウンロードしてください。
https://www.picoxr.com/jp/software/pico-link

トラッキング範囲は広い!より自由なポーズも!


「PICO 4」はトラッキング範囲が広め。具体的には、頭部の側面より後ろも、ある程度トラッキングができます。


(具体的にはこのくらいまではトラッキングをカバーしてくれます)


(完全に後ろに手を回すとトラッキングが無くなります。勢いよく動かせば維持できます)

「両手がきちんと動く範囲が広い」ことは、アバターを動かすソーシャルVRで非常に重要です。より幅広いポーズを取れるようになるため、コミュニケーションが楽しくなるかもしれません。

コントローラーにはタッチセンサーあり

「Meta Quest 2」のコントローラーはボタン、トリガー、サムスティックの上に指を置くだけでセンサーが反応し、「VRChat」ではアバターの手の形として認識されます。「Pico 4」のコントローラーにも同様の仕組みが備わっており、感覚的には似たようなものとして扱うことができます。

「VRChat」アバターの多くは、手の形と表情が連動しているため、手の形を自由に動かせるのはコミュニケーションの上でとても重要です。

パススルー機能でVR飲みも怖くない?

「VRChat」ヘビーユーザーに役立ちそうな「PICO 4」の機能といえば、ヘッドセット右側面2回タップで起動するフルカラーパススルー機能でしょう。VRヘッドセットをかぶったまま、目の前のPCを少しだけいじったり、近くにある飲み物や食べ物を手に取る時に役に立ちます。

特に、「VRChat」にログインしたまま飲酒する「VR飲み」では、手元が見えない状態で飲み物を手に取るリスクを大幅に軽減できます。ただし、単眼カメラで表示するパススルー映像は、遠近感が正しく表現されません。物を手に取るときや、狭い場所を移動するときにはよく注意しましょう。

内蔵マイクには期待できない

ソーシャルVRで会話するときに欠かせないマイクですが、「PICO 4」のマイクは性能がよくありません。そのまま使った場合、筆者はフレンドに「トランシーバー越しに聞いてるみたい」と言われるほどで、実用的な音質ではないです。


対策はいくつかありますが、手っ取り早い方法はWindows側でマイク感度を落とすこと。声質によりますが、最低でも50%以下には下げるべきです。筆者の場合は20〜25%で比較的聞き取れる声と言われました。

それでも「だいぶマシ」になった程度で、内蔵マイクにはあまり期待できないと思うべきでしょう。音質を気にする人は、別途外付けマイクを調達した方が無難です。

まだ早いかもしれないが、適した機能も多め

「VRChat」用途のVRヘッドセットとしては、「PICO 4」は「Meta Quest 2」と比較すると一長一短です。

PCVRストリーミング一択になり、マイク性能が悪いなど懸念点も多いものの、軽さやパススルー機能など、適したところも見られます。「軽くて取り回しがよい」というメリットに重きを置き、オーディオまわりの問題を自己解決できる人(あるいは気にしない人)であれば、採用の余地があるかもしれません。

筆者も「PICO 4」で数時間「VRChat」をプレイしてみましたが、個人的には1~2時間以内で、サクッとワールド探索をしたり、一人で静かなワールドでゆっくりする用途に向いていそうだなと感じました。「HaritoraX」と併用すれば無線フルトラッキングもできるため、可能性はある方だと思います。

とはいえ、直近では「Project Cambria」、さらに時期は未定なものの「MeganeX」も発売を控えています。「VRChat」アプリが「PICO 4」向けにリリースされれば、評価はまた変わるかもしれませんが、スタンドアロンでも遊べる点や、価格が特に安価である点なども評価した上で、購入を検討したほうがよいでしょう。

「PICO 4」レビュー記事はこちら。

「PICO 4」と「Meta Quest 2」の比較評価記事はこちら。


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード