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Meta Quest 2022.10.07

PICO 4とMeta Quest 2、買うならどっち? 乗り換えはアリ? 性能や特徴を比較してみた

10月7日(金)に発売された新型VRヘッドセット「PICO 4」は、「軽量・高画質・スタンドアロン」の三要素を備えた期待の一台です。しかし、一体型VRヘッドセットというカテゴリには、いまなお大きなシェアを誇る「Meta Quest 2」が存在します。

2020年からVR業界のスタンダードとして普及してきた「Meta Quest 2」と、それをしのぎ得るスペックを有する新星「PICO 4」。はたしてどちらを買うべきでしょうか?

本記事では、様々な観点から「PICO 4」と「Meta Quest 2」を比較。どちらを買うべきか、判断の助けとなるような情報を提示していきます。

スペック比較

PICO 4 Meta Quest 2
価格(税込) 49,000円(128GB)
59,400円(256GB)
59,400円(128GB)
74,400円(256GB)
ディスプレイ LCD LCD
レンズ パンケーキレンズ フレネルレンズ
解像度(左右の合計) 4320×2160 3664×1920
リフレッシュレート 72Hz, 90Hz 最大120Hz
視野角 105度(対角) 110度(対角)
トラッキング 一体型
6DoF
一体型
6DoF
重量 588.5g(実測値) 503g(※1)
ストレージ 128GB/256GB 128GB/256GB
RAM 8GB 6GB
IPD(瞳孔間距離) 62~72mm 58mm、63mm、68mm
イヤホンジャック なし あり
バッテリー稼働時間 2.5~3時間 2~3時間(※2)
コントローラー電源 1つにつき単3乾電池2本 1つにつき単3乾電池1本

※1:デフォルトの布ストラップ装着時の重量。「Eliteストラップ」などに交換するともっと重くなる。
※2:「バッテリー付きEliteストラップ」を装着時はさらに延長。

軽いのはどっち?

単純な重さで比較すると「Meta Quest 2」の方が軽量ですが、これはデフォルトの布製ストラップを装着している数値です。布製ストラップは重量が前方に偏るため、顔面全体で重さを受け止めてしまい、「重さ」を感じやすくなっています。

一方、「PICO 4」は重量バランスが前後で均等になるよう設計されており、重量が顔面と後頭部で分散するようになっています。このため、相対的に「軽さ」を感じやすくなっています。

ケースバイケースですが、総合的な「軽さ」を体感しやすいのは「PICO 4」です。

映像が綺麗なのはどっち?

解像度の数値を比較すると「PICO 4」の方が勝っています。ただし、実際にどちらを「より鮮明」と感じるかは個人差があります。

筆者の体感では、「PICO 4」の方が「Meta Quest 2」より僅差で「より鮮明」と感じます。しかし決定的な差ではなく、「Meta Quest 2」でも不足はないと言えます。

本体の拡張性は?

基本的には、ストラップフレームもフェイスクッションも自由に脱着できる「Meta Quest 2」の方が拡張性は高いです。公式でも、グリップ力を向上させる「Elietストラップ」が発売されているほか、サードパーティ製の優れたカスタマイズアイテムが多く出回っています。

「PICO 4」はまだ発売前のデバイスですが、ストラップフレームは本体から脱着不可なため、拡張性は乏しい可能性が高いです。

イヤホンは使える?

「Meta Quest 2」にはイヤホンジャックがあるので、好きなイヤホンを使うことができます。一方で「PICO 4」にはイヤホンジャックはありません。USB Type-Cポートはあるため、イヤホン変換アダプターを使えばイヤホンを使うことはできます。

遊べるゲームの数は?

正確な総数こそ不明ですが、正規ストアに加え「App Lab」でも配信されているゲームがあるため、遊べるゲームの数は「Meta Quest 2」の圧勝です。「Beat Saber」や「バイオハザード4 VR」といった人気タイトルを遊べるのも「Meta Quest 2」ならではの利点です。

一方で、「PICO 4」にもだいたい100本近くのゲームが配信されており、「After the Fall」や「Blade & Sorcery: Nomad」、「ALTDEUS: Beyond Chronos」といった人気タイトルも存在します。「PICO 4」の発売に合わせ、「ルインズメイガス」や「オノゴロ物語」といった国産VRゲームも配信が予定されており、今後ラインナップが充実していく可能性があります。

コンテンツ体験に差はある?

検証のため、筆者は「Meta Quest 2」でプレイ済みの「After the Fall」「Eleven Table Tennis」「SUPERHOT VR」「Altdeus:Beyond Chronos」の計4タイトルを「PICO 4」にてプレイしてみました。

あくまで筆者体感ですが、標準的なVRゲームを遊ぶ上では、「PICO 4」も「Meta Quest 2」も大きな差はありません。「PICO 4」の場合、良好な画質とヘッドセットの軽さから、ゲームプレイの体験の質は少し良いかも、というところ。

PCとつないでPCVRはできる?

「PICO 4」も「Meta Quest 2」も、基本機能としてPCと接続してPCVR専用コンテンツをプレイすることができます。いずれも有線接続、無線接続のどちらにも対応しています。

「Meta Quest 2」の場合、基本機能「Air Link」以外にも、「Virtual Desktop」というアプリを用いてもPCVRゲームをプレイすることができます。「PICO 4」には現状「Virtual Desktop」が配信されるかどうかが不明ですが、仮に配信されれば可能となるでしょう。

どちらを購入するべき?

「PICO 4」か「Meta Quest 2」か、購入の判断材料として考慮すべきは「VRを買う目的はなにか」です。いくつかケースが考えられるため、以下にて考察してみます。

これからVRに触れてみたい

VRをはじめる第一歩としては、安価で、軽量かつ高画質を実現した「PICO 4」はオススメできます。VRゲームにのめりこめなくても、「YouTube」や「Prime Video」などを見るプライベートシアターとしての活用も見込めます。

一方で、「Beat Saber」や「バイオハザード4 VR」など、「Meta Quest 2」でしか遊べない特定タイトルもいくつかあります。「VRChat」や「cluster」も、現状は「Meta Quest 2」でのみ配信されています。こうしたものを遊びたい場合はもちろん「Meta Quest 2」が選択肢となります。

また、「Meta Quest 2」は発売から2年以上経過しており、トラブルが起きた時の知識が各所で蓄積されています。「PICO 4」にはこうしたハウツーの蓄積はまだ少ないと見込まれるため、その点を不安視するのであれば「Meta Quest 2」が安全な選択と言えるでしょう。

PCVRコンテンツも遊び倒したい

PCVRとしても使用できるモードは「PICO 4」にも「Meta Quest 2」にも備わっています。ただし、動作の安定度や、トラブル時のハウツー蓄積レベルは、発売間もない「PICO 4」より「Meta Quest 2」の方が上と思われます。「PICO 4」でPCVRも遊び倒したい場合、トラブルに対する自己解決能力は必要、と心がけましょう。

すでに「Meta Quest 2」を所持している

「Meta Quest 2」を持っている人は「PICO 4」に乗り換えるべきかは、「Meta Quest 2」の重量をどう捉えているかで検討しましょう。もし「Meta Quest 2」が重くてつらいという場合は、「PICO 4」への乗り換えはアリです。そうでない場合、まだ独占タイトルも少ない「PICO 4」へ乗り換えるメリットは小さいです。

なお、一体型VRヘッドセットは、Meta社が「Project Cambria」と呼ばれる新型機種を近々発表する可能性もあります。「PICO 4」とは大きく方向性の異なるデバイスとなる可能性がありますが、競合となり得ることは留意しましょう。

2022年現在も、「Meta Quest 2」の優位性はまだまだ健在です。しかし、より軽く、より高画質な「PICO 4」も、人によっては選択肢となり得るほど魅力的な一台です。日々使うVRヘッドセットになにを求めるか、よく吟味して選択するとよいでしょう。

「PICO 4」のレビュー記事はこちら。


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