Oculusが今年前半に提出した特許が、米国特許商標庁から公開されました。VRヘッドセットとPCを繋ぐワイヤレスのリレーシステムで、ユーザーが所定の範囲外に動いても信号のロスを防ぐとしています。
ユーザーが自由に動き回ることを実現
公開された内容によれば、この特許がカバーするのはヘッドセットとリレー、リレーとPC(ホストデバイス)の間のフィードバックをなくすための、ワイヤレスリレーシステムということです。
特許本文ではVR/ARヘッドセットを周波数60GHzで動作させる際を例に、現状の問題について次のように記述しています。
周波数60GHzでクライアント(HMD等)とワイヤレスに接続されたベースステーション(コンソールPC等)は、しばしばビームフォーミング(指向性のある電波の発射)を行い、信号のロスを補ったり、ワイヤレス接続の質を維持する等しなければなりません。コンソール側のカバーする範囲が限られていることもあり、HMDが範囲外に動くとワイヤレス接続が不可能なケースもあります。
一方、多くのVR/AR/MRシステムでは、HMDを装着したユーザーが自由に動き回ることを前提としています。従ってワイヤレスリンクの質が低下することは、ユーザーの体験にとって望ましくないものです。
較正プロセスに特許の重点
解決策として提示されるのが、HMDとPCが直接接続されていない際に、”リレー”を用いて強い接続を実現するというシステムです。特許内容を見ると、システムが動作する範囲よりも、PCやHMDとリレーとを”線でつないだ”関係に関するもののようです。またシステム全体ではなく、接続障害を低減するための較正プロセスに重点が置かれています。
Oculusはさらに次のように説明しています。
リレーは2つのアンテナ配列を備えています。1つはHMDと、もう1つはコンソール(PC)と通信するものです。これらのアンテナ配列が近くに置かれていると、2つのアンテナ配列間で望ましくないフィードバックが発生します。このフィードバックを低減させるために、リレーに備えられた較正モジュールが繰り返しノイズリダクションを行います。
この特許が製品展開されるか否かは、現時点でははっきりしていません。しかしOculusがPC向けVRヘッドセットOculus Riftかもしくは他の新たなデバイスに関するワイヤレス化の検討を進めていることは間違いないと言えそうです。
(参考)Road to VR
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