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Meta Quest 2020.11.08

「Oculus Link」をQuest 2で試す ハイスペPCと繋ぐと優秀

一体型VRヘッドセット「Oculus Quest 2(オキュラス クエスト2)」は、PCと接続してVRコンテンツを楽しめる「Oculus Link」に対応しています。

この機能を使えば、PC向けVRヘッドセット「Oculus Rift S」向けのVRゲームやSteamで配信されているVRゲームがOculus Quest 2単体で遊べるようになり、遊べるコンテンツが格段に広がります。

今回は、「Oculus Link」を使用中のQuest 2とOculus Rift Sを比較し、グラフィックやトラッキングの違いなどを検証します。なお、本記事ではHTC VIVE ProやValve Index、HP reverb G2など他のPC向けVRヘッドセットとの比較は行っていません。

そもそもOculus Linkって?

「Oculus Link」は2019年12月に初代「Oculus Quest(オキュラス クエスト)」でOculus Rift S(以下Rift S)のVRコンテンツを体験できる機能としてベータ版で実装されました。

Questではこれまでも様々なVRコンテンツが遊べましたが、Oculus LinkによりPC向けに配信されているタイトルも手軽に体験できるようになりました。PC向けVRヘッドセットと比較し、解像度の部分で劣ってしまうという課題もありました。

Quest 2では、解像度が向上し、PC向けのVRヘッドセットと比べても遜色のない画質が実現可能です。また、描画の滑らかさを示すリフレッシュレートは72Hzと初代Questと同等ですが、今後アップデートで90Hzにも対応することが明らかになっています。なお、多くのPC向けVRヘッドセットは90Hzで駆動します。

「Oculus Link」を使用するには「Oculus Quest/Oculus Quest 2」と「USBケーブル(3.0規格または2.0規格)」、要件を満たしたPCが必要です。ケーブルは現在Questの公式サイトで購入できますが、ANKERのUSB3.0ケーブル(AtoC:税込1,199円)などでも利用可能です。(PCの推奨スペックについては末尾に記載しています

セットアップの流れ

「Oculus Link」は、まず公式サイトから、PC用のOculus公式アプリをダウンロードし、プライバシーポリシーなどを確認した上でインストールを開始。完了後は、自分のFacebookアカウント(or Oculusアカウント)でログインします。

フェイスブックは2020年8月に「Oculus」のアカウントをFacebookアカウントに統合を発表しています2020年10月以降に初めてOculus製品を使用する際は、Facebookアカウントでのログインが必須です。Oculusアカウントのサポートは、2023年1月1日をもって終了します。


(OculusアカウントとFacebookアカウントを統合している場合は、Oculusアカウントからではなく、Facebookからログインする必要があります)

次に「デバイス設定」から「ヘッドセットを追加」を選択。デバイスの中からQuest 2を選んで、Quest 2とPCをUSBケーブルで接続します。そして、Quest 2の画面に表示された指示に従って「Oculus Link」を有効にします。すると「Oculus Link」が利用できるようになります。

Oculus Quest 2でのOculus Linkの実力は?

まず、Quest 2でOculus Linkの実力を確かめるため「Rez Infinite」をプレイしてみました。この作品は、空中を舞いながら敵キャラクターを倒すシューティングゲームですが、何よりもビジュアルのインパクトが抜群。目の前に広がる無数の光の粒には圧倒されます。

Quest 2での体験はPC版と比較しても、ゲームの魅力は全く損なわれることなく、非常に美しい世界が広がっていました。光の微細な変化も見て取れ、何の違和感もなく作品世界に没入してしまいました。コントローラーの操作にもラグなどは感じられませんでした。

またノートルダム大聖堂の再現が見られるVRコンテンツ「Notre-Dame de Paris: Journey Back in Time」も体験してみました。大聖堂内のデザインはもちろん、細々とした装飾品も鮮明に映っており、その美しさに驚かされます。何より印象的だったのは窓や柱から零れる光の表現。物の陰影のグラデーションまで表現されているため、本当に大聖堂の中にいるかのような実在感を味わえました。

Oculus Rift Sとの比較

それではPC向けのVRヘッドセットとQuest 2でのOculus Linkの違いを比較してみます。今回は、Quest 2とRift Sをグラフィックとトラッキングの2項目に分けて検証します。

使用したPCのGPUは「RTX 2080Ti」(デスクトップPC)と一世代前の「GTX1080 MAX-Q」(ノートPC)の2種類で行いました。PC向けのVRヘッドセットでの体験の質はヘッドセットそのものの性能だけでなく、描画を行うPC側の性能に大きく依存するためです。一般的に、性能の良いGPUを搭載しているほど描画性能は高く、同じVRヘッドセットだとしてもより美しいVR体験をできる可能性があります。今回使用するRTX 2080 TiとGTX 1080 MAX-QはいずれもVR対応のGPUですが、性能差は約2倍程度あります。

グラフィックの比較用のVRコンテンツには、オープンワールドVRゲーム「Stormland」とチュートリアルアプリ「Oculus First Contact」(無料)を使用しました。Oculusアプリのグラフィック設定は「品質を優先」に設定、 ゲーム内のグラフィック設定は最高のものにしています。

RTX2080Ti:グラフィック重視のゲームだとその違いが明らかに

Rift SとQuest 2とのディスプレイ解像度は「Rift S:1,280×1,440、Quest 2:1,832×1,920、いずれもLCDパネル」とQuest 2の方が高解像度です。美麗さがウリの「Stormland」のグラフィックにおいても、その持ち味は発揮され、Rift S以上の美しさでした。視野は広くなり、特に遠景の表現がよりくっきり映し出され、木の葉を拡大するとその違いがよく分かります。


(Rift S)

Rift S/Quest 2のチュートリアルアプリでありながらロボットとのコミュニケーションが楽しめ非常に評判が高い「Oculus First Contact」。こちらも見比べてもどちらがQuest 2か分からないほど遜色ない美しさです。Quest 2では、「Stormland」同様に部屋の後ろに設置されている工具や上部奥にあるチューブなど細かに表現されています。

「RTX2080Ti」搭載のPCでの体験は、「Stormland」のようにグラフィック重視のゲームの場合、Rift SとQuest 2の違いが瞬時に分かりました。VR対応の中でも高性能なGPUを搭載しているPCを持っている人は、Quest 2の方がキレイに映せると思います。

GTX1080:差はそこまで感じられないレベル

GTX1080を搭載したPCでも「Stormland」と「Oculus First Contact」をそれぞれのヘッドセットで体験しました。こちらは、ハイエンドGPUほどグラフィックの差は感じられませんでした。編集部内でRift SとQuest 2のどちらがキレイに映像を映せているかを検証したところ、意見が分かれる結果となりました。VR対応の中でも中位から下位のGPUを搭載しているPCを持っている人は、Quest 2でRift Sのグラフィックと同等な体験ができるということになりそうです。

トラッキングの精度は十分

トラッキングの精度はVR体験の質を話す上で外せない要素です。トラッキング用の内蔵カメラは、Quest 2には4基、Rift Sには5基搭載されており、カメラの数だけ見ると「Quest 2の方がトラッキング範囲が狭い」ということになります。

トラッキングの広さの良し悪しは各ユーザーのプレイスタイルに左右されるので、一概に断言するのは難しいところ。筆者の場合は先述した2タイトルのプレイ中、問題や違和感はありませんでした。

また、リアル志向のVRサバイバルFPS「Onward」もプレイしました。マガジン挿し込みボトルをリリースしてコッキングしたり、コントローラーを顔に近づけて照準器を覗いたりといった動作が問題なく行えました。

結論:Quest 2はRift Sを超える場合もある

Quest 2での「Oculus Link」、特に2080 Tiを搭載したPCでの体験は大満足なものでした。。この結果は、高性能なGPUを持っている場合、ヘッドセットの性能差が如実に発揮されるということを意味します。すでにRift Sで満足している人にもぜひ体験してもらい、その違いを体感してほしいです。

体験の質という観点では、長時間の体験や重心の構造など、そのほかの要素を比較する必要もありますが、3万円代でこの体験ができるのであれば、Quest 2が現状最高だと感じます。今後、Oculus LinkでQuest 2での体験の質をより向上させるアップデートに期待です。

Oculus Rift SからOculus Quest 2へ乗り換えるか悩んでいる人に向けた解説記事はこちら。

補記:PC推奨スペック確認用

Oculus Linkに必要なPCの要件は下記の通りです。

コンポーネント

推奨スペック

プロセッサ

Intel i5-4590 / AMD Ryzen 5 1500X以上

グラフィックカード

以下のGPUの表を参照

メモリ

8GB以上のRAM

オペレーティングシステム

Windows 10

USBポート

USBポートx1

GPU

NVIDIA GPU

サポート

現在サポート無し

NVIDIA Titan Z

 

NVIDIA Titan X

 

NVIDIA GeForce GTX 970

 

NVIDIA GeForce GTX 1060デスクトップ、3GB

 

NVIDIA GeForce GTX 1060デスクトップ、6GB

 

NVIDIA GeForce GTX 1060M

 

NVIDIA GeForce GTX 1070(すべて)

 

NVIDIA GeForce GTX 1080(すべて)

 

NVIDIA GeForce GTX 1650

 

NVIDIA GeForce GTX 1650 Super

 

NVIDIA GeForce GTX 1660

 

NVIDIA GeForce GTX 1660 TI

 

NVIDIA GeForce RTX 20シリーズ(すべて)

 

AMD GPU

サポート

現在サポート無し

AMD 200シリーズ

 

AMD 300シリーズ

 

AMD 400シリーズ

 

AMD 500シリーズ

 

AMD 5000シリーズ

 

AMD Vegaシリーズ

 

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