フェイスブックが一体型VRヘッドセット「Oculus Quest 2(オキュラス クエスト 2)」を発売するにあたり、主力製品のひとつであった「Oculus Rift S」が2021年中に終売決定となりました。
「Rift」シリーズは比較的歴史の長いPC接続型VRヘッドセット。現在、愛用しているユーザーからすれば「Rift SとQuest 2ってどう違うの? Quest 2に乗り替えても大丈夫?」と悩む方も多いはず。本記事では両者それぞれの特徴を比較します。
基本的にはOculus Quest 2が優勢だが……
結論から述べましょう。大多数の人にとっては、Oculus Quest 2への乗り換えは“アリ”です。
Oculus Quest 2は、ケーブルやPCなしで遊べるお手軽さが特徴。さらに、USBケーブルをPCと繋ぎ、PC向けのVRコンテンツをプレイできる「Oculus Link」という機能も備えています。解像度もOculus Quest 2の方が秀でており、Oculus Link利用時にも実力が発揮されるものと見込まれています。
実際、筆者が試した際には、Oculus Quest 2を用いたOculus LinkはハイエンドPC接続型VRヘッドセットに匹敵、あるいは凌駕しているような鮮明な映像を見ることができました。Oculus Rift Sと比較した場合、Oculus Quest 2は「遥かに鮮明」です。解像度の高さが体験の質に直結するVRにおいて、どちらが優秀かは明らかでしょう。
しかし「長時間(=数時間単位)装着し続ける」場合は、Oculus Rift Sの方が扱いやすいかもしれません。Oculus Rift Sはケーブルが顔に干渉しづらく、なにより重心バランスが良好なため、長時間の装着でも負担が比較的少なくなる傾向があります。
一方、Oculus Quest 2は初代Oculus Questよりも軽量化されているものの、構造上やや重心が前に傾きがちなため、装着し続けていると疲れを感じるケースがあります。またOculus Linkはその構造上、耳などにUSBケーブルが干渉する場合もあり、煩わさを感じることも。VR機器を長時間装着し続けるようなケースは、VRChatのようなコミュニケーションツールとして使う場合がほとんどです。「VRChatにログインし続ける」、あるいは「VRデバイスを用いて、VTuberとして長時間配信する」という人によっては重要なので、Oculus Rift Sを使い続けるのも一手でしょう。
将来性も考慮すると……
上記のように、基本的にはOculus Quest 2一択と言えるのですが、ごく限られた用途においては、Oculus Rift Sを選ぶ可能性も考えられます。VRChatやVTuber向けに利用する場合、より適したVRヘッドセットがありますが、PC向けの中では安価、かつ装着感が比較的良好なOculus Rift Sは、エントリーモデルとして考えると悪い選択肢ではありません。ただし終売するということは、サポートがそう遠くないうちに打ち切られる可能性がある、ということは念頭に置いておくべきでしょう。
またOculus Rift Sは、2023年までは「Facebookアカウントを使用しない形で、Oculusプラットフォームにログインできる」ヘッドセットです。Oculus Quest 2はリリース時点からFacebookアカウントが必要となるため、懸念点として考えている人には「アリ」な選択肢であると言えるでしょう。
Oculus Quest 2はアクセサリによる拡張性の高さが示唆されており、長時間の運用にも耐えられる機種へ化けることも十分に考えられます。こうした将来性も加味するのであれば、今後のOculus Rift Sは「特殊なケースでのみ優位性が生まれる」デバイスとなるのではないでしょうか。
執筆:浅田カズラ