昔から実際の人間や彫刻、野菜・果物などが絵の題材になってきました。絵を描くためのいわゆるデッサンは描きたいモデルを置いて、少し離れたところで見ながら描いていくというのが一般的です。
塗り絵のように、実物が紙に直接浮き上がってくれれば、なぞるだけで綺麗にデッサンが描けそうなものです。しかし、そんなうまくはうかないもので、実物と自分が描いた絵を見比べて、あまりに似ていない自分の絵に落ち込んだことがある人も多いのではないでしょうか。
MRデバイスHoloLensを使い、デッサンをより正確にしようとするコンテンツが登場しました。今回紹介するMRコンテンツ『Artgram』は、2017年7月9日に都内某所で開催された『例のカノジョ ハッカソン』で制作されました。審査員の1人であるVRアーティストせきぐちあいみ氏から「すぐにでも使いたい実用的なコンテンツ」と称された入賞作品です。
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誰でも精確なデッサンが可能になる『Artgram』
『Artgram』はMRデバイスHoloLensを被ることで、現実空間に3Dモデルを出現させホワイトボードなど直接描ける平面に張り付け。張り付けたモデルの輪郭をなぞるだけで誰でも精確なデッサンをすることが可能になるというもの。
実際にホワイトボードへくっつくように置かれた3Dモデルの輪郭をなぞっていくと、描こうと思った場所から描き始めるため、通常のデッサンの描き方とは違ってきます。
今までなら、全体のあたりをとり、バランスを考えながら描いていきますが、髪の毛から書き始めることもできます。周囲の人はモデルを見ることができないため、描いている人が何を描いているか途中まで全くわかりません。
ホワイトボードからでっぱって張り付いているので、手前に飛び出ている部分と奥の方に伸びた手先では描きやすさなどは変わります。描き終わってみると斜めに体を向けて両手を真横に伸ばしたモデルでは、手前と奥の腕のパースがしっかり取れていることに驚きます。
他の参加者の作品を見てみると、同じ夕陽さくらを描くにも、どのポーズをさせるのか、どの角度から描くのかと個人差がでます。ホワイトボード一杯に描かれた沢山の夕陽さくら自体が作品のようです。
参加者はプロの方から普段全く絵を描かない人まで様々ですが、どの夕陽さくらも、一定以上の水準の絵になっています。
HoloLensを使って絵を描く補助をするツールは、これまでも面白法人カヤックが日本地図を描けるツールを制作し、話題となりました。
離れた場所に置いて見て描くことから、直接平面に浮かびあがらせてなぞればいいことで、最初が下手だから嫌になることや、パースの意味がわからないこともなく誰もが絵を描く楽しさに触れることができます。