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活用事例 2021.01.12 sponsored

「Mixed Reality Dev Days Japan」イベントレポート。ビジネスへのMR導入ヒントが盛りだくさん

2020年12月16日、マイクロソフト主催のMixed Reality Dev Days Japanがオンライン開催されました。「Mixed Reality Dev Days」はMR(Mixed Reality/複合現実)開発者向けの公式カンファレンス。今回のMixed Reality Dev Days Japanはその日本版で、多数の日本語セッションが行われました(※英語セッションは日本語字幕あり)。

各セッションではマイクロソフトのエンジニアや、同社製品の専門知識を持つMVP(Microsoft Most Valuable Professional)が登壇。MRデバイス「HoloLens 2」をはじめとするMR関連技術について、紹介・解説を行いました。

「日本のMRコミュニティは世界でもトップレベル」

カンファレンスの始まりを飾る基調講演は、「HoloLensの父」とも呼ばれるマイクロソフトのテクニカルフェロー、アレックス・キップマン氏からのメッセージでスタートしました。日本のMRコミュニティは世界的に見ても勢いがあり、MR領域におけるマイクロソフトが認定するMVPの割合がもっとも高いのも日本だそうです。


(「HoloLensの父」として知られるアレックス・キップマン氏。日本のMRコミュニティは世界的にも盛り上がっていると語る)

基調講演ではその他、マイクロソフトのジェシー・マカロック氏や株式会社ホロラボの中村薫氏らが登壇。中村氏は実際の開発者の立場から「HoloLensは“未来のデバイス”ではなく、“日常で使える便利なもの”になってきた」と語るなど、MR技術が一部の開発者だけのものではないことを強調しました。

(基調講演のアーカイブ動画)

現場への導入が進み、市場が拡大するMixed Reality

基調講演に続くセッション、「Mixed Reality 入門&最新情報」では日本マイクロソフトのテクニカルアーキテクト、鈴木あつし氏が登壇。セッションタイトルどおり、HoloLens 2やAzure Mixed Realityなど、マイクロソフトが提供するMRハードウェアやサービスについて説明しました。


(MRアプリ開発者向けにツールの利用権などが同梱されたHoloLens 2 Development Edition)

セッションではまず、2020年12月8日から日本でも発売開始になった開発者向けのHoloLens 2セット「HoloLens 2 Development Edition」を紹介。HoloLens 2本体のほか、500米ドルぶんのAzure利用権やUnity Proの3か月無償利用権などが付与されるだけでなく、HoloLens向けアプリがすぐに開発可能になるメリットを解説しました。


(マイクロソフトではMixed Realityを「第4のコンピューティングプラットフォーム」と位置付けている)

続けて鈴木氏はMixed Realityについての基礎を説明。Mixed Realityとは、PCやスマートフォン・タブレットなど、これまでのコンピューティングプラットフォームの延長線上にあるもので、ディスプレイという二次元の平面から抜け出し、デバイスとクラウドの活用によって物理世界とデジタルの世界を融合した複合現実の三次元の世界を実現する、新世代のコンピューティングプラットフォームである、と語ります。


(MRのグローバル市場は、今後5年で5倍以上に拡大することが予測されている)

マイクロソフトの調査によれば、MRのグローバル市場は2020年の61億ドル(約6,300億円)から2025年には343億ドル(約3兆5,000億円)まで拡大する見込みとのこと。中でも法人市場の伸びはめざましく、現在すでに導入が進んでいるファーストラインワーカー(作業現場で働く人々)向けのビジネスに加え、インフォメーションワーカー(いわゆるオフィスワーカー)向けのビジネスが大きく成長するとのこと。さらに、これまではハードウェアの売り上げが大きな比率を占めていましたが、最近ではクラウドやアプリの領域が急速に伸びているとも語りました。


(日本の武蔵精密工業における、MRソリューション導入による業務効率向上事例)

HoloLens 2が出荷開始されてから1年が経った現在、効果の実証(ROI)ができている事例が次々登場しているとのこと。セッションでは具体例としてロッキード・マーティン社による宇宙船組み立ての事例や、日本の武蔵精密工業による海外工場の立ち上げ事例などが紹介されました。

ウィズコロナ/アフターコロナの「ニューノーマル」にもMixed Realityは有効

続いてのセッション「Mixed Reality ビジネスモメンタム」では、日本マイクロソフト Mixed Realityグローバルセールスチームの村中徹氏が登壇。日本国内におけるMRの広がりや実際の現場への導入状況について、事例を交えながら紹介しました。


(マイクロソフトのMRの取り組みの歴史。2010年のKinect for Xboxから今年で10年)


(顧客・パートナー企業・開発者、3者の関わりがイノベーションを促進する)

村中氏によれば、MR市場においては「2025年には法人市場が個人消費者向け市場を超えていくだろう」と説明。マイクロソフトのMRへの取り組みの歴史も振り返りながら、MRのイノベーションを推進するものとして、顧客・パートナー企業・開発者の3者の関わりが重要であると語ります。


(コロナ禍においてマイクロソフトが掲げる3つのミッション)

特に2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大もあり、MRのイノベーションが加速したと語る村中氏。ウィズコロナ/アフターコロナの「ニューノーマル」の中でビジネスを進めていく主要な軸としてマイクロソフトが掲げる3つの要素、「Remote Everything(より多くのコトをリモートに)」「Automate Everywhere(すべてのコトを自動化で)」「Simulate Anything(あらゆるコトに道しるべを)」について、事例とともに説明しました。


(ベルシステム24、DataMesh「コールセンター・ワークスタイル・イノベーション・プロジェクト」)

ベルシステム24とDataMeshによる「コールセンター・ワークスタイル・イノベーション・プロジェクト」では、コールセンター業務にHoloLensを活用したソリューションを導入。コールセンター業務のリモート化や地方での勤務、パートタイム労働を可能にします。


(長谷工コーポレーション、アウトソーシングテクノロジー「匠AR」)

アウトソーシングテクノロジーが開発した「匠AR」では、マンションの外壁タイル打診検査にMixed Realityを活用。HoloLens 2を活用したソリューションで業務量を30%削減、ソーシャルディスタンスの確保や人の移動を削減できるとしています。


(トヨタ技術会「モノづくり挑戦企画」)

トヨタ自動車に勤める有志で運営する「トヨタ技術会」では、モノづくりの楽しさを伝える企画や社内外の交流を促進する活動を行っています。そのなかでHoloLens 2を使ったMRアプリケーション開発も行っているのに加え、GitHubやTeamsなど、メンバーの開発熟練度やコロナの状況に応じたツール利用やコミュニケーションを行うなど、技術の取り入れに熱心な様子が伺えます。

村中氏は最後に「このコロナ禍において、Mixed Realityを軸としたソリューションやアプリケーションで皆様の生活をより良くしたい。MR市場を成長拡大させたい」と語り、セッションを締めくくりました。

HoloLens 2やAzure Mixed Realityの技術を徹底解説

午後からはHoloLens 2やAzure Mixed Realityに関する技術セッションが続きました。各分野の専門家が実演や事例を交えて詳細に解説をしていましたが、共通していたのはどのツールやサービスに関しても、サンプルやドキュメント類が非常に充実していることです。これはMR開発者だけでなく、ツールやサービスを自社ビジネスで使いたい人にとっても、導入検討の手がかりとして役立つでしょう。


(HoloLens向けアプリの開発に必要な環境と手順を解説。講演内容を動画だけでなくドキュメントでまとめているセッションも)


(サービスの解説では、機能だけでなく利用ケースについての紹介も)

(各ツールやサービスには豊富なドキュメントが用意されている。アプリ開発の手助けになるだけでなく、導入検討している担当者にとっては調査資料にもなる)


(HoloLensとKinectの組み合わせで実現した3次元オンライン診療システム「Holomedicine」)

セッション動画は全編YouTubeで視聴可能

記事冒頭の基調講演以外にも、Mixed Reality Dev Days Japanの全セッションがYouTubeで公開されています。MR開発者はもちろんのこと、HoloLens 2やAzure Mixed Realityサービスに興味がある人はぜひ一度視聴することをおすすめします。

特にビジネス活用を考えている人は、基調講演に続く2つのセッション「Mixed Reality 入門&最新情報」「Mixed Reality ビジネスモメンタム」は必見です。

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