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投資 2019.08.15

目指すは“デバイス不要のVR” 開発企業が約30億円調達、将来的には家庭用も

3D映像ディスプレイを手がけるスタートアップ企業Light Field Lab(ライトフィールドラボ)が、2,800万ドル(約30億円)の資金調達を行いました。同社が目指すのは、VRヘッドセットや3D眼鏡などのデバイスを装着せずに、完全没入型のVR世界を体験する技術です。

資金調達はBosch Venture CapitalとTaiwania Capitalが主導し、NTTドコモベンチャーズなども参加しています。

デバイス不要のVR世界を実現

Light Field Labは2017年、3Dキャプチャシステムの古参企業「Lytro」の元メンバーを中心にカリフォルニアで創業されました。今夏の資金調達に先駆け、すでに700万ドル(約7.5億円)の資金を集めています

Light Field Labの技術では、現実と同様に動きに合わせて視点が移動する多数の視野角を生成。元となるのは、平行な光線を調節する、ウェーブガイドと一体化されたディスプレイです。この空間では、光の反射も正確、かつ視点を合わせる場所も自由なため、脳が見ているものを「現実である」と認識します。こうした技術により、デバイスなしにリアルな3D映像を実現します。

ロケーションベースから家庭用へ

CEOのJon Karafin氏は「当社の技術展開のスタートは、大規模で高い価値を持つエンターテイメントといった、非常に大きな製品になることを確かめたいと思っています。ただ映すだけでなく、ユーザーに合わせて映像が変化するという、これまでにない体験を提供します」と話しています。

その一方で、最終的に目指すのは一般ユーザーに向けた家庭用の技術だといいます。「確かに当社は、まず大型の装置や体験から始めています。ユーザーがどこかの場所を訪れて体験する、というタイプのものです。しかし今後は完全にインタラクティブなソーシャルコンテンツを作ろうとしています。あなたも、友人も、家族も、皆が同じ空間にいて、疎外感なく体験を共有できるようなものを」とKarafin氏は述べています。

戦略パートナーと幅広い市場へ

Light Field Labはまず、規模の大きいロケーションベース(施設型)のエンターテイメントコンテンツを足がかりとし、最終的には一般消費者市場に向け開発を進めています。今回の資金調達やパートナーシップも、より広い産業・市場へと拡大する戦略の一環です。


(Light Field Labの共同創設者。写真左からEd Ibe氏、Brendan Bevensee氏、Jon Karafin氏)

出資企業からは、Light Field Labのエコシステムに参加することへの、期待の声が寄せられています。

通信大手Verizonのベンチャーキャピタル、Verizon Venturesは「Light Field Labの革新的なソリューションは、当社が顧客、ビジネス、ネットワーク、メディアへ提供する、5G通信技術の将来像を描く助けとなります」とコメント。自社技術とのコラボレーションへ期待感を示しました。

「投資家のパワーからもわかるように、産業界からの反応は非常に熱狂的です」Karafin氏は語ります。「当社は生産、コンテンツ作成、販売に至るパートナーと連携し、(技術の)可能性を切り開いていくのを楽しみにしています。当社の技術を次のフェーズへと進め、幅広い市場へと拡大していきます」

Karafin氏によると、第2、第3世代の技術では、3D映像に触れたり、感じたり、インタラクションも可能なソリューションを実現したいということです。

(参考)UploadVR


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