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テック 2018.11.11

デバイス不要の完全没入型VRシステム 環境が動きに反応して変化

VRヘッドセットを使わずに、VRにいるように感じさせる技術は研究が続いています。SFシリーズ「スター・トレック」に登場した「ホロデッキ」のようなVR環境の開発に向けて、米企業がパートナーシップ提携を行いました。

サンノゼに所在の3D映像ディスプレイを手がけるスタートアップLight Field Labと、LAを拠点としクラウドベースのハイエンドグラフィック技術を専門とするOTOYがタッグを組み「ホロデッキ」の実現へと向けて乗り出しています。

SF要素が詰まったテクノロジー

「スター・トレック」の「ホロデッキ」は、VRヘッドセットや3D眼鏡などのデバイスを装着せずに、完全没入型のVR(バーチャルリアリティ)世界を体験する仮想空間です。このアイデアは、テクノロジーの世界では長年の夢とされてきました。今回のプロジェクトの目的は、3D映像を映し出すだけでなく、「ホロデッキ」のように、ユーザーの動作に合わせて3D映像が移動したり変化したり、触ることをも可能にさせることだといいます。

開発は設立2年目の米スタートアップ

今年10月にサンフランシスコで開催されたVRS2018(VIRTUAL REALITY STRATEGY CONFERENCE)のイベントで、Light Field LabのCEOであるJon Karafin氏は、VRとARの先にある次世代のテクノロジーについて研究し、アイデアを構築していくことを語っています。同社は昨年設立したばかりでますが、すでに700万ドル(約7億8千万円)の資金調達に成功しています。

現在のプロトタイプのフォーマットは、わずか2フィート(約70センチ)四方の3D映像ディスプレイパネルで構築されていますが、このパネルが「ホロデッキ」のような仮想空間へと拡大していくことが可能であるとの見解を示しています。このプロジェクトに多額の資金を投じているベンチャーキャピタル、Khosla VenturesのCEOであるVinod Khosla氏は、Light Field Labに関して次のように評価しています。

Light Fiedl Labは、私たちが普段見ていることや、メディアのインタラクティブなアプローチ方法をがらりと変え、今はSF映画の中でしか体験できないようなことも、実現させる可能性がある。

本家も認可するプロジェクト

「スター・トレック」の生みの親であるGene Toddenberry氏によって設立されたEndeavor and Roddenberry Entertainmentも、この新しいテクノロジーを活用したオリジナルコンテンツの製作に賛同しています。Endeavor and Roddenberry Entertainmentは、「ホロデッキ」の権利を所有しており、現在はGene氏の息子であるRod Roddenberry氏が運営しています。Ron氏は「スター・トレック」に登場するテクノロジーが実現することを長年待ち望んでおり、「ホロデッキ」が近い将来、実際に体験できることを確信していると語っています。

元Lucasfilmの役員の経歴を持ち、現OTOYのアドバイザーを務めるRichard Kerris氏いわく、今までに数多くの会社が高精細3Dディスプレイの実現を試み、未だ成功例が出ていないものの、Light Field Labのディスプレイ技術とOTOYの3Dコンテンツ開発が「ホロデッキ」の実現を可能にすると考えています。

「ホロデッキ」の実現プロジェクトの今後の動向に注目したいところです。

(参考)VRScout
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