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業界動向 2023.08.22

「スノウ・クラッシュ」の作者らが構想するオープン・メタバース「LAMINA1」とは?

「メタバース」という単語のルーツとして知られるSF作家のNeal Stephenson氏が、ビットコイン投資家のPeter Vessenes氏と共同で、オープン・メタバースの実現に向けたデジタル資産管理ツール「LAMINA1」の開発を進めています。8月14日、プロトタイプ版が公開されました。

メタバースのためのオープンなブロックチェーン

「LAMINA1」は2022年6月に発足したプロジェクトで、クリエイターがより低い手数料でデジタル資産を直接取引できるシステムを構築しようとしています。いわゆるオンラインゲームサービスではなく、イーサリアムのように、暗号通貨の決済インフラを提供する「レイヤー1ブロックチェーン」の開発に取り組みます。

公表されたホワイトペーパーによると、このプロジェクトはプライバシー侵害やデータの誤用といった「Web2」の問題を乗り越え、個人データに関する権利を尊重しながら、既存のレイヤー1ブロックチェーンと比べて中央集権性の低いサービス設計・運用を目指しています。クリエイター・投資家にシステム開発への参加を呼びかけ、特定の大手メタバースプラットフォームとも距離を置くなど、オープンな運営姿勢を示しています。

基幹機能の開発が進む

「LAMINA1」はUnityとUnreal Engine向けのSDKを公開しており、開発者が暗号通貨ウォレットやNFT、スマートコントラクト機能などを実装しやすくする見通しです。2023年8月に公開されたベータネット版では、2要素認証やプロフィール画面、専用トークンの送信/受信画面が実装されました。


(LAMINA1のサービスデモ。出所:LAMINA1

コミュニティ向けの告知ページによれば、「LAMINA1」には今後、デジタル資産の出品管理や契約管理、オープンID管理、3Dグラフィックなどの機能が追加されるとのこと。


(LAMINA1のサービスデモ。出所:LAMINA1

共同設立者のNeal Stephenson氏は1992年に発表したSF小説「スノウ・クラッシュ」で「メタバース(Metaverse)」というアイデアを生み出し、「セカンドライフ」や「Oculus」の創業者など、多くの業界関係者がその影響を公言しています。2014年にはMagic Leapのチーフ・フューチャリストに就任するなど、産業界への貢献も続けてきました。

また、2022年にはビデオゲームの台頭と3Dグラフィックの普及を「予想できなかった」としつつ、「手頃な価格のヘッドセットが将来的に成長するという選択肢を残しながらも、多くのメタバース・コンテンツは(市場が存在する)スクリーン向けに構築される」と予測していました。複数の英字メディアがNeal Stephenson氏の将来構想に関心を寄せています。

(参考)プレスリリースLamia1


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