中国のVRスタートアップ、Shenzhen Arashi Vision社製のプロフェッショナル向け360度カメラ「Insta360 Pro」がMogura VR編集部に届きましたので、開封の儀を行いたいと思います。
まず、パッケージから。パッケージというよりもケースでした。サイズは大きめですが、片手で持ち運びもできそうです。測ってみたところ「42×30×16(cm)」でした。この中にカメラが入っています。
ケースを開けると、球型のカメラと付属品が。早速カメラを取り出してみます。
カメラには6個の魚眼レンズがあり、球体の本体を一周するように配置されています。専用のレンズカバーも付属していました。高い製品であるのと、レンズの破損などの修理は中国のメーカー対応となる可能性がありますので、カバーでレンズを保護して管理した方が良さそうです。
カメラは思ってたよりも小さい印象。サッカーボールやバレーボールよりは小さく、片手で持てるハンドボールくらいの大きさです。重さは約1.2kgとやや重量感があります。気軽に持ち出すというよりも、撮影用に持っていくという感じでしょうか。プロフェッショナル用なので、そこは仕方がないところです。
カメラ本体の高さは意外とコンパクトでTHETAと比べてもそれほど変わりませんでした。カメラ下部にある台座も取り外し可能で、カメラ本体と台座に三脚を取り付けることができます。
「Insta360 Pro」の付属品は下記の通り。
・バッテリー ×1個
・DCアダプター ×1個
・ACケーブル ×1個
・LANケーブル ×1個
・USB2.0 イーサネットアダプター ×1個
・USB Type-Cケーブル ×1個
・クイックスタートガイド ×1個
・ショルダーストラップ ×1個
こちらに上述したカメラ本体にケース、レンズカバーを加えたものが「Insta360 Pro」の内容です。付属品もそれぞれ写真を見ていきます。
バッテリーは1個が付属しています。バッテリー容量は5,000mAh。オプションでバッテリーを追加で購入もできます。追加のバッテリーの価格は16,200円です。
カメラ本体背面にバッテリーとSDカードのスロットがあります。バッテリーは本体に装着してDCアダプターとACケーブルを使って充電する方式。なおモバイルバッテリーでの給電は未対応とのことです。
撮影は専用のPC/iOSアプリを使い操作します。接続方法は有線と無線(Wi-Fi/ダイレクトWi-Fi)の両方に対応。LANケーブル、USB2.0 イーサネットアダプターは接続用として、USB Type-Cケーブルはデータ転送用として付属されています。
ショルダーストラップというものも付属されていました。外箱の段ボールにはケース一式入った状態で約5kgと表示されていたのですが、さすがに5kgを肩に掛けるのは……ケースも硬いので当たると痛そうです。
本体正面にはレンズの間の中心にディスプレイ、電源/設定/リターンボタンが配置されています。また、非常に見ずらいのですが、写真から見てレンズの外側にマイク穴があります。正面と背面の左右にそれぞれ1つずつ、合計4つのマイクが付いていました。
カメラ底面部分の側面にある2つの凹みの箇所には、コネクタがあります。
左からHDMIコネクタ、USB3.0コネクタ、USB Type-Cコネクタ、そしてスピーカー。
左から電源ケーブルコネクタ、LANケーブルコネクタ、3.5mm オーディオ入力コネクタ、そしてリセットピンホール。
実際に「Insta360 Pro」で撮影を行うとすれば、付属されていない三脚や一脚もあった方が便利です(安定性を考慮すると三脚の方が無難かと思われます)。台座だけでも自立することができますが、撮影する場面がテーブルの上などに限定されてしまいます。THETAのように手で持って撮影するのも、重量から考えると辛いものがあります。
Nokiaの「OZO」と比較すると価格面と3D撮影ができる点で優位性が見られる
「Insta360 Pro」のスペックカタログを見ると、最大8K品質の360度静止画/動画、4K3Dの360度静止画/動画、4Kライブストリーミングが可能とのこと。また、通常の360度動画で30fps、3Dの360度動画でも同じく30fpsでの撮影ができるとされていますが、公式サイト(英語)には100fpsの撮影も可能とあります。
100fpsの撮影に関しては、クイックスタートガイドには記載が無く、詳細のチュートリアル(英語)を参考と案内がされていました(チュートリアルには120fpsの撮影が可能なハイスピードモードがあるという記載もありました……)。
これまでにプロフェッショナル向けの360度カメラではNokia製の「OZO」が有名でしたが、国内代理店の三友株式会社による販売価格は550万円と、その高価格な設定からプロフェッショナル用途でも手の出しにくい製品と言えます(株式会社アスクも国内代理店として「OZO」を取り扱っています。こちらは価格は未公表で要問い合わせです)。またその価格の高さを背景として、レンタルサービスも展開されています。このレンタルサービスの料金は約30万円/1日からです。
「Insta360 Pro」は3D撮影ができる点など「OZO」には無い利点もあり(逆に「OZO」で可能な3Dサラウンド収録は「Insta360 Pro」ではできません)、価格的にも45万円と比較的に手を出しやすいプロフェッショナル向けの360度カメラと言えます。現在「Insta360 Pro」は株式会社ハコスコと株式会社アスクで取り扱いがされています。ハコスコからの購入の場合は価格が45万円で入荷時期は問い合わせが必要、アスクの製品ページには2017年7月上旬発売予定と記載がありますが価格については公表されていませんでした。
また、「Optical flow image stitching」というスティッチング(写真を繋ぎ合せて360度の静止画/動画を制作する技術)ができるPCソフト『Insta360 Pro Stitcher』も無料でダウンロードできるとのこと。ただし、「Optical flow image stitching」を快適に行うには高性能なGPUが必要で、いわゆる「VR Ready」のPCが必要とのことです。他にもスタビライザー機能などがあり、こちらは定点観測的では無いカメラワークで動きのある動画の撮影で活躍しそうです。
左が通常のスティッチ、右が「Optical flow image stitching」
Mogura VRでは『360度カメコ』シリーズなど、コスプレイヤーさんやコンパニオンさんを360度カメラで撮影した記事の連載も行なっており、今後は「Insta360 Pro」を使用することも計画しています。また「Insta360 Pro」使用後のレビュー記事の配信も計画中です。
「Insta360 Pro」スペック表
レンズ | F2.4 200度魚眼レンズ×6 |
解像度 |
静止画/3D静止画:最大 7680 x 3840(8K) ビデオ:【リアルタイムステッチ/ライブストリーミング】最大 3840 x1920(4K)30fps、【後処理ステッチング】最大 7680×3840(8K)30fps 3Dビデオ:【リアルタイムステッチ/ライブストリーミング】最大 3840×3840(4K)25fps、【後処理ステッチング】最大 6400×6400(6K)30fps |
マイク | マイク×4、AUX |
ファイル形式 | MP4、JPG、RAW |
ストレージ | SDカード、USB 3.0接続ストレージ |
コネクタ |
HDMI 2.0 Type-D Wi-Fi |
撮影用ソフトウェア | PC(Win/Mac)、iOS |
カメラ本体サイズ | 直径143mm |
カメラ本体重量 | 1,228g |
バッテリー | 5,000mAh |
連続撮影時間 | 最大75分間 |
電源入力 | 12V 5A DCアダプター |
ちなみにMogura VR編集部内にあったダルマより一回り大きいサイズでした。
【2017年7月追記】ハコスコ社にてInsta360 Proの無料体験会が毎週火曜日に行われています。