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メタバース最新動向 2023.10.03

ソフトバンク出資のメタバース技術企業Improbableが赤字幅縮小 AIでコスト削減も

英国のメタバース企業グループImprobableが、自社イベントで2022年度の業績を発表しました。法人向け事業の好調や事業売却・コスト削減などで赤字幅が縮小し、2023年度には黒字化する目途が見えたとしています。

Improbableは現地時間9月26日、自社イベント「Improbable’s Innovation Day」で、2022年度の業績報告を行いました。ゲーム開発支援や産業向けデジタルツインが好調で、売上高は前年比2.6倍の7,800万ポンド(約142億円, 2023/10/02時点)に到達。営業損失は前年比85%減の1,900万ポンド(約36億円)に縮小しました。財務改善の一因は、生成AI活用などによるバーチャルイベントの運営コスト削減だとしています。

今回の発表について、ImprobableのCEOであるHerman Narula氏は「本日私たちは、当社が情熱的で献身的なチームによって管理された素晴らしい製品群を有し、堅調な業績を達成していると実証しました」と述べています。ただし、CNBCによれば、同社は26日時点でイギリス政府機関を通じた正式な決算発表をまだ公表していないとのことです。

3Dゲームエンジン開発を出自とする事業投資会社

ロンドンに拠点を置くImprobableは、2012年に創業。英国政府などから資金提供を受けながら、大規模なマルチプレイオンラインゲーム開発のためのクラウドベースのプラットフォーム「SpatialOS」を開発していました。バックエンドサービスだけでなく、メタバースのエクスペリエンス構築も手掛けています。

2016年にソフトバンクやアンドリーセン・ホロウィッツなどから5億200万ドル(約567億円, 2017/05/15時点)を調達して以来、欧米各国で複数のゲームスタジオを買収するなど積極的な資本政策を進めてきました。近年では複数のグループ企業がオンラインゲーム・3Dシミュレーション関連事業を手がける多国籍企業に転身しています。

官民からの大型出資を背景に、黒字化を急ぐ

一例として、2019年にイギリス陸軍から大型契約を受注したほか(2023年に事業売却)、2020年にはマイクロソフトと軍事分野でパートナーシップを締結。米国オフィスを設立して事業参入を狙っていました(2022年に撤退)。

これまでに複数のゲームタイトルを開発中止とし、傘下のゲームスタジオを売却した一方で、2022年にメタバース分野への進出を表明。2023年には米国メジャーリーグのバーチャル球場「MLB’s Virtual Ballpark」をリリースしたほか、Web3メタバースの開発を目指してMSquaredを設立。傘下のゲームスタジオ「The Multiplayer Group」が、オープンワールドRPG「Starfield」の開発に加わっています。

(参考)プレスリリースCNBC


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