Home » ソフトバンクが5億ドル出資 VRスタートアップImprobableが目指す“世界構築”


活用事例 2017.05.15

ソフトバンクが5億ドル出資 VRスタートアップImprobableが目指す“世界構築”

2016年に一般販売が始まったVRデバイス。映画『マトリックス』に登場するようなVRの世界を現在作り出すのはまだ難しく、途方もない計算量や、あるいは新たな方法論が必要となると考えられます。

ロンドンの本社を置くImprobableはこの難題に挑戦しています。同社からソフトバンクから5億200万ドル(約567億円)の資金調達を達成しました。

Improbableは主力製品として、オンライン上で作業が可能な、クラウドベースの3Dグラフィック製作のプラットフォーム「SpatialOS」を手がけています。本プラットフォームは、シームレスにつながった複数のサーバーとゲームエンジンにより世界を作り上げる仕組みとなっており、これまで以上に大規模な世界の構築ができるとのこと。


Spatial OSの仕組みを示した図(Improbable公式サイトより)。左が1台のサーバーにより管理される現在のアプローチ。Improbableが目指しているのは右の複数台のサーバーによって管理する『Spatial OS』

 

今回、Improbableに5億200万ドルの資金提供を行なったのはソフトバンクでした。ただし、この提供額でも取得した株式数は全体の半数に満たないとのことです。このため、Improbableの評価額自体はこの2倍の10億ドル以上であると算出されます。

また、過去にImprobableに資金提供を行なった幾つかの企業も、あらためて同社に投資をする予定とのことです。これらの投資企業としては、シリコンバレーのAnderessen Horozitz、香港のHorizon Ventures、シンガポールのTemasek Holdingなどがあります。

ネットワーク通信を伴う3D空間構築の難しさ

これだけの大規模な投資が行われたということは、それだけImprobableが取り組んでいる技術が、これからのデジタル製作を大きく変えうるものだと言うことができるでしょう。

今日、ネットワーク化された3D空間の体験といえば、オンラインゲームでの対戦などが挙げられます。大体のゲームにおいて、その3D空間はとても小さく、限られた環境でしかありませんが、それでも実現するためにはサーバー上で大量の計算が行われています。たとえば、平均的なオンラインのシューティングゲームでは、キャラクターの全ての移動、発射された銃弾、そして爆発などが、大きな遅れや不備がなく伝えられています。

こういった情報のやりとりを、何百、何千というユーザーが同時に動き回り、なおかつ空間を同時に複数作り上げるとなると、計算量はあまりにも膨大となり実現する術はありませんでした。しかし、こういった空間の構築をImprobableが実現させようとしています。

Googleの莫大な計算資源がひとつの鍵である可能性

Improbableは、2017年のはじめに「SpatialOS」の開発者向けのベータ版のリリースと合わせて、Googleとパートナーシップを結びました。なお「SpatialOS」はVRに特化したプラットフォームというわけではありませんが、早速、活用されている例としては、現在製作中のVRコンテンツであるMetaWorldがあります。

(参考)
Improbable Raises Over $500 Million To Create The Tools That Will Build The Metaverse(英語)
https://uploadvr.com/improbable-500-million/

SpatialOS公式サイト
https://spatialos.improbable.io/


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード