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HoloLens 2019.03.04

マイクロソフトの新型MRデバイス「HoloLens 2」最新情報まとめ

マイクロソフトはスペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2019(MWC2019)」にて、新型MRデバイス「HoloLens 2(ホロレンズ 2)」を発表しました。HoloLens 2は2016年に発売された前世代機と比較して、様々な点が改良されています。

本記事では、HoloLens 2の特徴や前世代機からの改良点、スペック、価格、購入方法などをまとめて紹介します。

目次

「HoloLens 2」とは
HoloLensからの改良点
クラウドサービス「Azure」との連携
オープンなプラットフォームを目指す
価格と購入方法
HoloLens 2のスペック
HoloLens 2の最新情報を知りたい人へ

「HoloLens 2」とは

「HoloLens 2」とは、マイクロソフトのMRデバイス「HoloLens」の次世代機。目の前の現実世界とCGを融合して体験できる「Mixed Reality(複合現実)」を実現するデバイスです。透過型のレンズを通して、物理的な現実にバーチャルな3Dオブジェクトをあたかもそこに存在するかのように見せることができます。

HoloLensは、これまでにも産業利用を中心に、作業効率化やそれに伴う経費削減など、業務フローに変革をもたらすデバイスとして、実験的な導入が多数進められてきました。

HoloLensからの改良点

2倍以上の視野角・解像度を実現

HoloLens 2では片目2Kの解像度を実現しています。前世代機のHoloLensに比べ、視野角が2倍以上広くなり、ピクセル密度も2倍以上になっています。体験をしてみるとまだ視野角が広いとは言えませんが。初代HoloLensの課題の1つとして挙げられていた「視野角が狭い」という問題を解消に近づけるべく、広視野角で高精細なグラフィックスを実現しています。

ハンドトラッキングが大幅改善

前世代機では非常に限られていたジェスチャー操作が大幅に改善しています。HoloLens 2では、両手の10本の指の動きを認識することが可能に。これにより、表示されている3Dオブジェクトを文字通りつかむことや、細かく操作することができるようになりました。


(発表会では、現実には存在しないピアノを弾く様子を披露していた。HoloLens 2が装着者の手をきちんと認識・追跡していることが分かる)

視線追跡機能が追加

HoloLens 2では視線追跡機能の追加により、視線による操作や採虹彩認証によるセキュアなログインが可能となっていますす。

装着の快適性を向上


(後頭部のダイヤル)

HoloLens 2には様々な性別や人種、年齢をもつ数千人の頭の形状を元にした設計が施されています。デバイスの固定は、多くのVRヘッドセットでも主流の固定方法となっている「後頭部でダイヤルを回して固定する」形式に。電源は後頭部側面に、バッテリーやプロセッサーは後頭部に搭載され、重量バランスが快適になりました。

また、ディスプレイは不要な時は上に跳ね上げることのできる「フリップアップ機構」を採用しています。発表会に登壇したHoloLensの生みの親アレックス・キップマン氏によると、前世代機に比べ「3倍快適になった」として、より長時間快適にMR体験を続けられるようになったと語りました。

産業用にすぐ使えるアプリを追加

HoloLens 2は産業向けにフォーカスして設計されており、箱を開けたときからすぐ使えるアプリケーションがマイクロソフトにより提供されます。前世代機では、 現場での用途としてニーズが高い「レイアウト」や「リモートアシスタント」がHoloLens用に、Dynamics 365を通じて提供されています。HoloLens 2ではこれらも最適化されて利用可能になります。また、作業内容などマニュアルや操作方法を表示する「Dynamics 365 Guides」も発表されました。

企業別にカスタマイズも可能


(発表会ではTrimble社のカスタムHoloLens 2が披露)

建築などの産業用の現場ではヘルメットなどの装備とHoloLensを組み合わせる試みがなされてきました。HoloLens 2では、カスタマイズが可能な「HoloLens 2 Customization Program」が設けられており、用途に応じて調整・カスタマイズが可能です。

クラウドサービス「Azure」との連携

マイクロソフトはHoloLens 2と同社が展開するクラウドサービスAzureとの連携により、「Spatial Anchor」(スペーシャル・アンカー)と「Remote Rendering」(リモート・レンダリング)の2つの開発ツールを発表しています。

Spatial Anchorは、キップマン氏が「Internet of holograms(ホログラムのインターネット)」と呼んでいる機能で、空間情報を端末同士でで共有するものです。複数台のHoloLens 2で同じものを見ることが可能となります。またiOSやAndroidとも連携し、プラットフォームを超えて空間情報を複数人で共有できるほか、“空間への保存”が可能です。

Remote Renderingは、HoloLens単体では難しい高ポリゴンの3Dモデルをクラウド上でレンダリングし、より精細なモデルを表示する手法です。HoloLens 2では、プロセッサにクァルコムのSnapdragon 850が採用されています。発表会ではHoloLens単体では10万ポリゴンでしか表示できない3Dモデルを、Remote Renderingを使って1億ポリゴンで描画する様子も披露されました。


(左が10万ポリゴン、右が1億ポリゴン)

オープンなプラットフォームを目指す

マイクロソフトは、HoloLens 2をより“オープン”にしていくことを明らかにしました。オープンになるのは、「ストア・Webブラウジング・プラットフォーム」の3つです。

ひとつめの「ストア」については、アプリの配信はマイクロソフトの専用ストア以外でも可能となり、キップマン氏は「Steam(※)のようなプラットフォームでも配信できる」と話しました。

(※Steam……米Valve社が運営する世界最大級のPC向けゲーム配信プラットフォーム。大手からインディーまで、数多のゲーム企業がソフトをリリースしている)

「Webブラウジング」では、マイクロソフトが提供するWebブラウザ・Edge以外でも利用できるようになります。合わせて、Webブラウザ「Firefox」を提供するMozillaがFirefoxのHoloLens版を発表するなど、複数のブラウザが利用可能となる見通しです。

そして「プラットフォーム」の面では、開発者に向けてより開かれた開発環境を提供します。発表会では、エピック・ゲームズのCEOティム・スウィーニー氏が登壇し、主にゲーム開発用に使用されているソフトウェア・Unreal Engine 4がHoloLens 2に対応することを発表しました。

価格と購入方法

HoloLens 2のデバイス単体(商用版)の価格は3,500ドル(約35万円)です。日本国内向けの価格は、2月末時点では発表されていません。また、リモートアシスタントツールがセットになった月額パッケージ「Dynamics 365 Remote Assist with HoloLens 2」は125ドルから提供されています。

HoloLens 2の予約は2月25日より開始されていましたが、2019年3月4日時点、公式サイトからプレオーダー案内ページへのリンクは削除されています。

HoloLens 2のスペック

公式サイトで明らかになっているスペックは以下の通りです。

・ディスプレイ

光学方式

シースルー・ホログラフィック・レンズ(ウェーブガイド方式)

解像度

2k 3:2 light engines

ホログラフィック密度

>2.5k radiants (light points per radian)

目をベースにしたレンダリング

Display optimization for 3D eye position

・ センサー

ヘッドトラッキング

アイトラッキング

デプス

Azure Kinect sensor

IMU

加速度センサー、ジャイロセンサー、地磁気センサー

カメラ

 8MP(静止画) 1080p30 (動画)

オーディオ&マイク

マイクアレイ

5ch

スピーカー

内蔵、空間音響対応

人間の動きの把握

ハンドトラッキング

Two-handed fully articulated model, direct manipulation

アイトラッキング

リアルタイムトラッキング

音声認識

Command and control on-device, Natural Language with internet connectivity

・ 環境認識

6DoF tracking

World-scale positional tracking

Spatial mapping

Real-time environment mesh

Mixed reality capture

Mixed hologram and physical environment photos and videos

・プロセッサと接続

SoC

Qualcomm Snapdragon 850 Compute Platform

HPU

2nd generation custom-built holographic processing unit

WiFi

802.11ac 2×2

Bluetooth

5.0

 USB

USB Type-C

・装着
Single size(サイズは1種類)
Fits over glasses(メガネでも装着可能)

・ソフトウェア 
Windows Holographic Operating System
Edge
Dynamics 365 Remote Assist
Dynamics 365 Layout
Dynamics 365 Guides
3D Viewer ・OneDrive for Business

HoloLens 2の最新情報を知りたい人へ

Mogura VR Newsでは、HoloLens 2に関する最新情報を随時掲載しています。「HoloLens 2のことをもっと知りたい!」という方は、下記をチェックしてみてください。

https://www.moguravr.com/tag/hololens-2/

2019/3/4 13:06 予約に関する記述を修正しました。


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