Google社内にあるVR研究チーム「Daydream Labs」は、VRの中に居ながら(ヘッドマウントディスプレイを装着したまま)、自分の「手」を使って直感的に3DCGのアニメーションを制作できるツールのデモを公開しました。
手を使ってできる、直感的なアニメーション作成ツール
3DCGのアニメーション制作といえば、難しそうなCGソフトを使い、パソコンの2Dディスプレイに向かって地道で膨大な作業をひたすら……というのが現在のイメージかもしれません。
しかし、今回GoogleのDaydream Labsが公表したデモは、誰でも簡単に、物体を自分の望み通りに「運ぶ」だけでアニメーションが作れてしまうというもの。
難しいソフトウェアの操作を覚えることも、センサーを用意することも必要ありません。ただオブジェクトをつまみ、自分が動かしたい軌跡に沿って移動させるだけでOK。
今回のデモ制作を通して、Googleはいくつか気づいたことを公表しています。
・2Dのディスプレイ上ではなく3D空間内で3DCGアニメを作ることは、人間の直感に即しており、オブジェクトの位置設定などが極めて容易であること。
・VRでは、特別な技術を必要とせず、アニメ制作のために「学習」する必要がなくなること。これはつまり、どんな人でも「アニメーションを作ろう」と思い立ったら、その場ですぐに制作へ移ることができることを意味します。
・また、人はVR空間内が「遊んでよい場所」だとわかると、(VRの)モノを現実のモノと同様に扱うということも分かりました。中には楽しそうに声を上げて思い切り遊ぶ人もいたそうです。
以上に加えてDaydream Labsは、キャラクターの部位ごとに、個別のアニメーションを割り振ることができるデモも公開しています。
これはひとつのキャラクターに対して、手、足、頭・・・などと部位ごとに、別々のアニメーションを付与することができるというものです。
Daydream Labsの研究成果
Daydream Labsは、デザイナーとエンジニアがチームを組み、日々VRに関する研究をしているGoogleのVRチームです。今回のアニメーション制作ツールの他にも、自分たちの研究成果を公開しています。
Google Daydream Labs、コミュニケーションとVR体験の相互作用に関する知見を共有
GoogleのDaydream Labs、VR内でドラムを打つように文字入力を実現する「Drum Keys」の映像を公開
VRに関しては、明らかになっていない「知見」や「ノウハウ」がまだまだたくさん眠っています。このGoogleのスタンスのように、今後も開発者同士で積極的に情報を共有していけるといいですね。
(関連記事)
Googleの新プラットフォームDaydreamが加速するVR普及 ― すんくぼのWeekly VR第3回
空間に絵を描く新たなクリエイティビティ。Google、VRペインティングソフト『Tilt Brush』の新PVを公開
(参考)
Daydream Labs: animating 3D objects in VR – Google Developers Blog
https://developers.googleblog.com/2016/06/daydream-labs-animating-3d-objects-in-vr.html