米国の調査会社ガートナーは、小売業におけるAR/VRの普及について見解を発表しました。消費者へ魅力的な購入体験を提供する必要性や、5G通信により導入が拡大。2020年までには、100万人の消費者がARを使って商品を購入すると予測しています。
AR/VRは小売業に変革を
2018年に同社が発行したレポートでは、2020年までに46%の小売業者がARまたはVRの導入を計画すると推計しています。
ガートナーの主席リサーチアナリストHanna Karki氏はAR/VR普及の背景について、売手は実際の店舗の存在意義を示し、在庫管理を行う必要に迫られていると指摘。一方消費者は、購入体験から得られる価値を求めているといいます。その結果、「販売者は、店舗の内外で消費者へ一体的なショッピング体験を提供するために、ARやVRを検討し始めている」と述べています。
Karki氏は「AR/VRは小売業に変革をもたらす」とし、ARの効果については「販売者はARをブランド体験の拡張に利用し、消費者をひきつけて利益を得られます。（中略）また販売後も店舗外でARを活用し、顧客満足度を高めたりブランドをさらに好きになってもらうことができます」と説明しました。
またVRの活用は、製品デザインの効率性を高め、コスト削減を実現します。またビジュアル化を進め、情報を伝えやすくすることも特長です。ガートナーはトライアル例として、アリババのバーチャルショッピング等を挙げています。
カギを握る5G通信
この他に、小売業界でのVR/AR普及のポイントとしてガートナーが指摘するのは、第五世代通信（5G）です。5Gにより、リアルタイムの動画ストリーミングや、コンテンツダウンロード時間の短縮、没入体験の店舗外への展開といった、VR/ARの活用の幅が拡大します。
「5GとAR/VRの導入により、顧客満足だけでなく製品のマネジメントサイクルも変わる」と解説。在庫管理や店舗の導線分析も効果的に行われると期待を寄せています。
