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活用事例 2023.01.26

ENGAGEが法人向けメタバースでOpenAI製品を導入、接客NPCのキャラ名は「アテナ」

アイルランドのVR企業ENGAGEは1月23日、自社で運営するメタバースへのOpen AIの機械学習サービスを導入すると発表しました。接客チャット機能を担うNPC従業員「Athena(アテナ)」にユーザーが呼びかけると、情報検索、質問回答、画像生成などが行えます。


(出所:公式サイト)

2018年に創業したENGAGE(旧称:VR Education Holdings)は、2019年5月から法人向けメタバース「ENGAGE Link」(旧称:ENGAGE Oasis)を提供しており、3MやBMW、スタンフォード大学などが教育研修・イベント用のワールドを構築しています。2021年6月には900万ユーロ(約12.7億円)を資金調達して、さらなるサービス品質向上を進めていました。

一方のOpen AIはイーロン・マスクらが2015年に設立した研究法人。超大規模言語モデル「GPT-3」シリーズや、同シリーズを用いた文章・画像生成アルゴリズム「DALL.E」シリーズ、対話型言語モデル「ChatGPT」などを開発・提供しています。

発表によると、ENGAGEは「ChatGPT」と「DALL.E」を用いた接客チャットボットを「Atena」と命名。ワールド内の既存サポート機能とも接続できるようにします。この「AI従業員」にユーザーが簡単なプロンプト(質問)を投げかけると、質問回答や3Dオブジェクトの検索、画像生成、備忘メモなどを行うことができます。

OpenAIによる「ChatGPT」は公開1週間で100万人以上に使用され(公式発表)、2023年1月には一般向けAPIの予約申込を始めました。高品質な学習データの不足による情報汚染が懸念される一方で、マイクロソフトが今後数年で同社に数十億ドル(数兆円)を追加投資すると報じられるなど、特化型人工知能(ANI)の急速な実用化が現実視されています。

AI“キャラクター”の登場続く

日本でも「AIりんな(元女子高生)」が歌手・画家としてデビューし、画像生成系AI VTuber「絵藍ミツア」が倫理的配慮のある創作活動を目指すなど、NPC/AIの性能限界を活かした表現が模索されています。

ENGAGEは今回の発表において、「技術文書の読解や、ENGAGEプラットフォーム上で専門家となる訓練、より人間らしい受け答えができるような手助けを得ながら、彼女は学習を続けていきます」とコメント。「アテナ」がビジネスユーザーと交流することで、情報汚染リスクを抑えつつ、キャラクターの人気づくりと性能改善の両立に取り組む狙いがあると見られます。

(参考)ENGAGE


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