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活用事例 2023.09.05

文化財の高精細3DCGデータをスタジオ撮影に、大日本印刷が提供

大日本印刷株式会社が、文化財・世界遺産の高精細3DCGデータを、インカメラVFX用途で提供します。第一弾として「神田明神」が、ソニーPCL株式会社のデジタル背景ライブラリー「BACKDROP LIBRARY」から利用可能になるほか、2023年11月以降に「仁和寺『金堂』」も掲載される予定です。


(出所:大日本印刷)

バーチャルプロダクション向けにデータ提供

バーチャルプロダクションの手法のひとつである「インカメラVFX」は、スタジオ撮影の背景にLEDパネルで3DCGを投影し、カメラの移動に合わせて背景をリアルタイムで描画することで、より現実感のある映像をスタジオで作り出す手法を指します。テレビドラマやCM撮影、映画のプリビズなどで使われており、現地の天候・時間帯に依存せず、制作期間の短縮が可能です。

大日本印刷は2015年頃から、文化資源の保存・活用にフォトグラメトリ(撮影データから3Dモデルをつくる手法)を取り入れ、さまざまなデータ活用手法を考案しています。今回対象となる「仁和寺『金堂』」は、2019年にウォークスルーの3DCGが8K解像度で制作されており、「神田明神」は2022年にVRアーティストせきぐちあいみ氏の上演作品に使用され、境内で奉納式も行われました。

同社によれば、今回の取り組みは「文化財の保存や活用と、映像制作における課題の解決を両立」する試みです。新たに制作された3DCGデータには、独自技術で精密なマテリアル(凸凹情報)やシャドウ(陰影情報)が施されています。データを加工すれば、アングル変更や配置転換、エフェクト(特殊効果)の追加なども行えます。なお、データ使用の対価は文化財の所有者に還元するとのことです。


(現実の神田明神。出所:大日本印刷)


(バーチャルプロダクション用高精細3DCGデータ。出所:大日本印刷)

同社はプレスリリースで、「関連サービスの展開や海外での販売も視野に入れて、2028年度までに累計20億円の売上」を目指すとコメントしています。

(参考)大日本印刷ソニーCPL


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