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テック 2018.06.07

大日本印刷、鮮明な360度映像を作る技術開発 自由視点移動も

大日本印刷株式会社(DNP)は、2地点から撮影したパノラマ写真(静止画)だけで、高品位な360度のパノラマ VR映像を容易に作成できる技術を開発しました。この技術を利用することで、従来の360度パノラマVRで発生しがちな画像の重なりや歪みを抑制でき、場面の移動を鮮明かつスムーズに表現できます。


(高品位パノラマVR導入前(左):青い丸囲い部分に画像の重なりが顕著。高品位パノラマVR導入後(右):画像の重なりが発生せず、鮮明な画像で表示)

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技術開発の背景

写真を使用して作成した360度パノラマVRでは、視線を移すことで上下左右の好きな場所を見ることができ、あたかもその場にいるような体験ができます。またCGを使ったVRと比べ、制作の作業負荷が低減できるというメリットがあります。この技術はインターネット上での不動産物件の見学や街中・施設を案内するサービスなどに広く展開されています。

しかし実物を撮影した写真を使った360度パノラマVRの場合、VR空間を自由に移動ができず、また場面の移動時に不自然な切り替わりや表示の歪みが発生しがちという課題がありました。

DNPはこれまで培ってきた画像処理・情報処理に関する技術・ノウハウを駆使し、これらの課題を解決する高品位パノラマVR技術を開発しました。

高品位パノラマVR技術の特徴

高品位パノラマVR技術は、画像解析(コンピュータビジョン)と描画(コンピュータグラフィックス)の理論を組み合わせ、撮影した2地点間のどの位置からでも人が見る光景を再現できる、新しい手法によるものです。

撮影地点間で自由に視点を変更できる

従来の360度パノラマVRは、撮影した位置から360度を見回す表現はできましたが、撮影した位置以外から見た光景は表示できませんでした。高品位パノラマVR技術では2つの地点で撮影したパノラマ写真における被写体の位置を解析することで、撮影した2地点間のどの位置からでも360度の光景を再現できます。

視点変更時も鮮明な表現

複数の写真を組み合わせた従来の360度パノラマVRは、次の場面に移る際に不自然な切り替わりや画像の歪みが発生し、スムーズな場面の移動が表現できませんでした。高品位パノラマVR技術を利用した場合、CGで制作したVRと同様に鮮明な画像のまま、2地点間を歩いて移動するような、滑らかな場面の移動が表現できます。

VR制作のコスト削減、期間短縮

CG制作には比較的高額な制作費と一定の制作期間が必要です。一方で高品位パノラマVR技術の利用により、複数の地点で撮影したパノラマ写真だけで容易にVRコンテンツが制作できるようになります。このため、CGによるVRと比べて低コスト・短期間で手軽にVRコンテンツが制作できます。

DNPは2018年内に本技術を実用化し、歴史的建造物のアーカイブや工場施設・不動産物件の見学、観光地のナビゲーションなどのコンテンツ制作や配信プラットフォームに活用していきます。また、VR制作・配信サービス事業者やカメラメーカーへの技術提供も目指すとしています。

(参考)大日本印刷株式会社ニュースリリース


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