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テック 2021.01.13

ライトフィールドディスプレイのCREAL、ピントの合うVR/ARデバイスのプロトタイプ発表

ライトフィールドディスプレイ技術を手掛けるスイスのスタートアップCREALは、CES2021に合わせて同社初となるARヘッドセット及びVRヘッドセットのプロトタイプを発表しました。形状には課題が残るものの、中心部のみライトフィールド技術を採用するなど、高解像度の実現に向けて進んでいます。

現実の見え方に近づけるライトフィールドディスプレイ

「ライトフィールドディスプレイ」は、現実に極めて近い見え方を実現します。一般的なVR/ARデバイスは、2つの平面画像を用いて立体的な像を作り上げているため、対象との距離に基づいてピントを合わせるのが困難です。他方、ライトフィールドディスプレイ技術では、VRでは対象との距離に合わせて焦点を変更可能。ARでは現実世界に対して違和感なくバーチャルオブジェクトを投影できます。

なお、CREALは自社でのVR/ARデバイス開発は目指していません。CES2020ではデバイスに組み込む前のディスプレイをデモ展示していましたが、1年後のCES2021ではヘッドセットタイプのプロトタイプを発表しました。CREALは今回のプロトタイプを”評価用ユニット”と位置づけ、2022年までにさらなる小型軽量化を計画しています。

ARヘッドセットは眼鏡型目指す

まずARヘッドセットのプロトタイプを見てみます。解像度は1,000×1,000、視野角は60度です。現時点では、インテルのRealSenseセンサー等を外付けで接続しており、マイクロソフトのMRデバイスHoloLensのような重厚な外観をしています。

CREALによれば、2022年後半までには眼鏡のようなスタイリッシュな形状への改良を狙っているとのことです。そのために、視野角の中心30度の部分にのみライトフィールド技術を用いる、とのこと。フォービエイテッド・レンダリング(※)に似た「フォービエイテッド・ライトフィールド」というアプローチを採るとしています。

※Foveated Rendering、画面をレンダリングする際、人の中心視野ほど高解像度で、そして視野の外側に行くに従って低解像度で描画する手法

下の画像からは、異なる距離の対象物に対して、正確に焦点を合わせる様子が確認できます。

VRヘッドセットは中心部のみライトフィールド技術採用

次にVRヘッドセットのプロトタイプを概観します。こちらは既に、前述のフォービエイテッド・ライトフィールド手法を採用しているとのこと。視野角の中心30度はライトフィールド技術を用いて解像度1,000×1,000、周辺部分(最大視野角は100度)ではライトフィールド技術を使わず、解像度1,600×1,440を実現しました。中心部分の1度当たり解像度は40PPDと、人の目レベルとされる60PPDに近づいています。

※参考:人の眼レベルの超高解像度を謳うVarjoの最新モデルVR-3は、中心部の解像度70PPD、外縁部が30PPD以上

サンプルムービーを見ると、レンズを通して見る様々な距離(深度)の対象に、自在にフォーカスしていることが分かります。

ARヘッドセット同様2022年後半までの軽量化を目指し、トラッキング用のハードウェアを独自仕様として、デバイスの小型化に繋げる計画です。

(参考)Road to VR
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