Home » NVIDIA、「CloudXR」を発表。クラウドと5G経由でAR/VRコンテンツ配信


業界動向 2019.10.23

NVIDIA、「CloudXR」を発表。クラウドと5G経由でAR/VRコンテンツ配信

アメリカの半導体大手NVIDIAは、ロサンゼルスで10月24日(現地時間)まで開催中のMWC2019において、クラウド上でレンダリングしたAR/VRコンテンツを、5G回線を使って配信するプラットフォームサービス「CloudXR」のデモを公開しました。

同サービスはSteamVRおよびOpenVRですぐ使えるようになっており、企業がすぐにコンテンツを提供できるよう、ソフトウェア開発キット(SDK)も提供するとのことです。

クラウド上でAR/VRコンテンツを作成&配信

NVIDIAは「GPUベースのクラウドインフラを活用して、各企業が5G回線を通じてハイクオリティのAR/VRコンテンツを作成・配信できるようにしたい」とコメント。AR/VRコンテンツをクラウド上でレンダリングして配信することで、高性能なPCやスマホでなくともハイクオリティなコンテンツを楽しめるとしています。

NVIDIAではすでに「GeForce Now」という同種のサービスを提供していますが、こちらはAR/VRコンテンツではなく、従来のゲーム用途のもの。また、GeForce Nowでは企業にサービス一式を直接提供していますが、CloudXRはAR/VRコンテンツ配信のツールのひとつとして提供したいとNVIDIAは考えているようです。

この提供方法は5Gの特徴のひとつとされる「低遅延データ配信」を見越したもので、NVIDIAは同サービスを、5G回線を提供する各通信キャリアが顧客獲得の訴求ポイントのひとつとして利用してくれることを期待しています。

CloudXRのデモも披露

MWCの公演では、スマーフォンで動作するCloudXRのデモも披露されました。クラウド上でレンダリングされた自動車のハイクオリティ3Dモデルをスマートフォン上で表示しています(※表示にはAndoroidのARCoreを使用していると推測されます)。

(映像:CloudXRのデモの様子。ただし実際にクラウド上でレンダリング&配信しているのか、このデモのためにローカル上のデータを表示しているのかは不明)

同社によると「配信データは利用環境に応じてベストな画質に最適化される」とのこと。
また、デモではデータ遅延に関しては触れていませんが、ローカル上で生成されるデータと比べても顕著な遅延はないとしています。

データ配信方法についてはまだ検証の余地あり

CloudXRのシステム自体もデータ遅延を抑えるように設計されていますが、データ配信の方法についてはまだ検証の余地を残しています。

5G回線は既存のデータ通信よりも高速・低遅延だとされていますが、一方で、データセンターから配信先までの物理的な距離はデータ遅延に直接影響します。そのため、データセンターを分散させ、ユーザーに一番近いデータセンターからデータを配信する、エッジコンピューティング技術の活用も重要になってくることでしょう。

(参考)Road to VR
Mogura VRはRoad to VRのパートナーメディアです。


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード