NVIDIAは、AR向けディスプレイのプロトタイプ「Foveated AR」を発表しました。このプロトタイプでは、これまでのARデバイスよりも広視野で高解像度なディスプレイを実現しています。Foveated ARは、アメリカ・ロサンゼルスで、現地時間の2019年7月28日から8月1日にかけて開催されるSIGGRAPHにて出展されます。
広視野角を実現する「Foveated AR」
「Foveated AR」は、アイトラッキング(視線追跡)機能を搭載した、プロトタイプのARグラスです。NVIDIAは、「Foveated AR」を紹介する動画の中で視野の広さを示す視野角は180度程度とし、「Foveated AR」では水平85度×垂直78度(=対角は115度程度)と視野角が100度を超えている、と謳っています。
「Foveated AR」の視野角は、HoloLens 2(対角52度)やMagic Leap(対角50度程度と推測)など、現行のAR/MRデバイスよりも4倍程度以上広くなり、Oculus RiftやHTC VIVEなどのVRヘッドセットを装着しているときの視野の広さに近いARが実現することを意味します。
さらに、アイトラッキングを使うことで、動的な中心窩レンダリング(フォービエイテット・レンダリング)が実現。高解像度で現実になじんだ表現が可能になります。
「Foveated AR」には2枚のレンズが搭載されています。1枚が中心視野部分にある凹面型のハーフミラーディスプレイ(マイクロOLEDを使用)と周辺視野部分が広い視野角のディスプレイ(HOE、holographic optical element)です。
アイトラッキングに従って機械式のスライダーがHOEとマイクロOLEDを横方向に動かして、適切に合わせます。
これらのシステムを実装した結果、「Foveated AR」は現行の各種ARグラスと比較してより広範囲のFOVと高い解像度を実現している、とのこと。また本プロトタイプの存在は、NVIDIAのフォービエイテット・レンダリング技術の進歩を示していると言えます。
Prescription ARについて
NVIDIAは、「Foveated AR」と合わせてもう一つのプロトタイプ「Prescription AR」を発表しました。こちらは、重さ約50g程度でレンズが5mmと薄型のARデバイスです。ARコンテンツを起動中に利用者の眼の焦点を補正するためのイメージコンバイナーが実装されています。レンズの素材はプラスチックが使用されています。
(参考)Next Reality、UploadVR