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HoloLens 2018.06.08

中国は世界二番目のMR市場へ 中国HoloLens一周年イベントレポ

DataMesh株式会社、マーケティングマネージャーの安井です。DataMeshは北京に本社があり、中国・アメリカ・日本を中心にヨーロッパや南米など、世界各地でMR(複合現実)を使ったソリューションを提供しているグローバルスタートアップです。

今回は5月18日、北京にあるマイクロソフト中国にて開催されたMRデバイス「HoloLens」上陸1周年記念イベントの様子をレポートします。

DataMeshグループ(弊社)は中国第一号のマイクロソフト社MR認定パートナー(MRPP)として、中国でHoloLensを使ったサービスを展開している企業と共に、マイクロソフト中国CEOのアラン氏や本社から訪中されたロレイン氏に1年間の活動報告を行いました。 

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中国で急成長を遂げるMR市場

HoloLensが上陸してわずか1年、中国はアメリカに次ぐ世界二番目のMR市場に成長しました。そして今や、数多くのHoloLensを使ったイノベーティブなサービスが生まれる場所になりました。中国のMRPPは12社になり、教育や医療、建設、製造、航空/宇宙そしてテレビなど、人々の生活に欠かせない主要産業にもHoloLensを使ったソリューションが導入されています。

(最前列に座る、中国MRPPのパートナーたち)

マイクロソフト社は中国におけるMR市場の成長を積極的に支援しています。何万人ものユーザー、パートナー、開発者に対し、HoloLensを使った様々な種類の技術トレーニングやソリューションを提供しています。

また、マイクロソフト中国では中国教育部(日本の文部科学省に相当)と戦略的パートナーシップを締結、将来に向けて新しい技術を生み出す才能を共同で発掘・育成するMixed Realityラボを構築しています。 

マイクロソフト幹部も注目する中国市場

イベントではマイクロソフト中国CEOのアラン・クロジェ氏が登壇。「クラウドコンピューティング、 Internet of Things(IoT/モノのインターネット)、人工知能(AI)、MRどの一連の新興テクノロジーによってもたらされるデジタルトランスフォーメーション(ITによる生活やビジネスの変革)は、世界中の企業や様々な業界に大きな発展の機会をもたらしています。」「マイクロソフトは今後もMRに対する投資を強化し、パートナーが独創的・創造的なサービスを生み出すこと、より多くの中国ユーザーが新しい視点でデジタル変換を加速することを支援します」と話しました。(マイクロソフト中国CEOのアラン・クロジェ氏)

また、このイベントには先日の開発者カンファレンス「de:code 2018」でも来日したマイクロソフト本社のMixed Reality Studioゼネラル・マネージャーであるロレイン・バーディーン氏も出席。ロレイン氏は「中国は世界で最も革新的でダイナミックな市場であり、中国の開発者やパートナーは革新的でエキサイティングなアプリケーションやソリューションを様々な業界にもたらしています。」と語りました。(ロレイン・バーディーン氏)

中国のMR活用事例をご紹介

今回のイベントでは建築、医療、教育、製造の4つの主要産業から、特別に4社が登壇の機会を得ました(弊社DataMeshグループもその一つです)。各企業の詳細を紹介します。

1社目:華建数創

(編集部注:写真は公式サイトの別日プレスリリースより引用)

華建数創は建築設計分野の代表としてクラウドコンピューティング、IoT、AI、MRなどの新技術を積極的に採用しており、建築プロジェクトのプロセス全体にデジタルソリューションを使用しています。

HoloLensとMR技術は、彼らの「スマート+エンジニアリング」ビジネスの核であり、マイクロソフト社と共同でエンジニアリングアプリケーションラボを構築、すでに「中国建築エンジニアリングの、ホログラフィックテクノロジープラットフォーム」開発の第一段階を完了しているとのこと。

華建数創のゼネラルマネジャーである李嘉軍氏は「マイクロソフト社のMRは、BIMモデルと現実世界を融合させるための非常に優れたブリッジツールです」と述べていました。

また、華建数創は、設計者・ユーザー・建設会社・その他のエンジニア間で現実世界における複雑な建築プロジェクトの設計と進捗状況を表示・変更・共有することで、三次元の視点や設計・建設における効率化をもたらしています。 

2社目:維卓致遠(Visual3d Medical Technology Development Co., Ltd)

医療・健康分野の代表として、維卓致遠COOのAndy Reim氏はHoloLensを活用した臨床医学・医学教育、および医学研究ソリューションを紹介しました。現在は手術計画の立案、医師/患者間のコミュニケーション、手術支援など、全国の100を超えるトリプルA病院(優良だと格付けされた医療機関)で使用されています。武漢協和病院の整形外科医である葉哲偉教授は、2017年に彼が行った世界初のHoloLensを使った遠隔での整形外科手術の事例を発表しました。 

3社目:聯想煦象

こちらは教育業界での事例です。Lenovoの子会社である聯想煦象は、プロジェクトの実施先の1つである上海清華中学校と共同でにマイクロソフト社のMR技術、Azure Cloud ServiceおよびOffice 365に基づく「Elephant Innovation Classroom」ソリューションを発表しました。聯想煦象社のゼネラルマネージャである沈文氏からは「高いスケーラビリティ、豊富なアプリケーション、便利な操作性など、MRとAzureやOffice365を組み合わせることで大きな利便性をもたらした」とのこと。

上海清華中学校の教師である周斌氏は「MRは生徒の学習効率を大幅に改善しました。例えば、避難訓練でのMR活用は最たる事例で、伝統的な教育方法では実現できない効果をもたらしました。現在、上海清華中学校では6つのクラスで4つのMRを使った学習コースを実施しています」と話しました。 

4社目:DataMeshグループ(弊社)

HoloLensは自動車業界でも活用されています。ホンダ中国現地の法人である広気ホンダのプロジェクト責任者・何建鋒氏とDataMeshグループ(弊社)CEOの李劼は、自動車工場における車の生産工程をMRで再現した事例を発表しました。中国では工場見学は人気のあるコンテンツですが、安全性の問題から、全てを来訪者に見せることはできません。そこでMRが価値を持ちます。

この事例は新人スタッフの研修でも活用されており、大幅な省スペース化・コスト削減・安全性の向上に寄与しました。また、広気ホンダのカーディーラーにおける、VIP顧客向けの販促ツールとしても活用されています。(写真右奥:イベントで登壇したDataMeshグループCEOの李劼)

(広気ホンダ社の何建鋒氏と共に、中国でのHoloLens活用事例を紹介)

今後が楽しみな中国MR市場

今回のイベントでは、国内外の業界関係者と中国MRPPパートナーが集まり、今後の展望についてディスカッションをする場もありました。DataMeshグループからはCEOの李と広気ホンダの何氏が参加し、HoloLensの現場活用等についてのディスカッションを行いました。HoloLensは中国においてコンピュータ室の運用・保守、博物館のアプリケーションなど、至るところで活用されています。 (ディスカッションの様子)

 マイクロソフト社のHoloLensおよびMR技術は新世代のテクノロジーであり、IT技術に関心が高く、社会に積極的に取り入れていく中国の文化と非常に相性の良いものです。HoloLensを活用したサービスが日々登場し、弊社のようなスタートアップも続々と生まれている、中国MR市場の今後が楽しみでなりません。


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