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3Dアバターにまつわる倫理と権利の課題、開発者が取れる対策【CEDEC2019】

今年の9月4日から6日にかけて開催されたゲームを中心とする開発者向けカンファレンス「CEDEC 2019」。本記事では6日に実施されたセッション「3Dアバターにおける権利と倫理、開発者が出来る対策」についてレポートします。

登壇したのは株式会社メルカリのxRエンジニアである中地功貴氏。VRに深く関わるサービス開発者の視点から、現在利用が拡大しつつある3Dアバターに関する権利・倫理の諸問題や、それらに対し取るべき対策が語られました。

「人格」を持つ3Dモデル

最初は3Dモデル利用の拡大をもたらした背景事情について紹介。2017年末からブームが起こった「バーチャルYouTuber(VTuber)」は、バーチャルキャラクターが動画投稿や生放送を行う新しい形のYouTuber。現在その総数は9000人を超え、昨年のネット流行語大賞で金賞に選ばれるなど勢いのあるコンテンツとして知られています。

VTuberの大きな特徴は、3Dアバターを用いたキャラクターが文字通り「人格を持って生きる」という点。今まで3Dキャラクターはたとえ人間的な振る舞いであっても根本的には物語の中の人物であると認識される場面が多かったですが、VTuberは我々と同じ形の感情や尊厳を持って生きる存在です。これらの隆盛はアバターも人と同じように人格を持ちうるというパラダイムシフトを世に広く与えた文化と言えます。

そして3Dモデルの利用機会を大きく増やしたのはソーシャルVRサービス「VRChat」。VR空間に自分のアバターで入り込み交流できる自由度の高いサービスとして人気を博しています。一度に長時間利用するような熱心なユーザーも多数。

サービス内で使用される3Dモデルの入手方法はさまざまです。ネットショップで多数販売されているほか、自身でモデリングする人やモデラーに制作を依頼する人も居ます。
VRChat上で開催されるモデル等の展示即売会「バーチャルマーケット」は大きな注目を集め、今年3月に行われた第2回では12万人を動員しています。

こうした時代に生まれたのが人型3Dアバターのファイルフォーマット「VRM」。昨年4月に株式会社ドワンゴが提唱し、現在はコンソーシアムに移譲されています。

VRMは3DデータをVRアプリケーションでより便利に使えるよう共通化する規格。
それまでは3Dモデルは個々の仕様がバラバラなのが普通で、制御のためには適した調整を一つ一つしなければなりませんでした。VRMはそれらの仕様を共通のテンプレートで統一することでプラットフォームを超えたモデル使用を容易にし、3Dモデルを扱う環境に大きな影響を与えたといいます。

VRMの大きな特長としてライセンスを3Dモデルに付加できることが挙げられます。他者が使用する際にアバターを操作することが許されるか、暴力表現や性的表現は可能かなどのアバターに特化したライセンスも存在。より尊重した扱いが可能になります。

VRMが発表されて以降、規格に対応するサービスは数多く生み出されてきました。
まずは「Vカツ」や「セシル変身アプリ」といったVRM形式モデルをエディットし作成するサービス。パラメータや色などを指定していくことで自分なりの3Dモデルを作り上げることができます。出来上がったモデルはUnity向けの標準実装「UniVRM」等で変換可能で、その著作権は作者に帰属することとなっています。

スマホアプリ「VPocket」などのように、VRMモデルの閲覧に特化したVRMビューアも存在。

「バーチャルキャスト」等を利用すればVRMモデルをインポートして配信活動を行うことも可能です。

VRMの3Dモデルデータを管理するHubサービスも存在します。こちらは他サービスとの連携機能を持ち、データのやりとりを媒介する役割があります。

3Dモデルにまつわる権利とその課題

ここまでは3Dモデル利用の拡大状況や共通規格のVRMについての解説でした。
こうした現在の背景事情を踏まえ、本セッションでは3Dモデルの利用に関して考えていかなければならない「権利」と「倫理」の問題について議論が行われました。

まずは3Dモデルの利用に関するライセンス等の知識を整理し、注意が必要な課題について語る「権利」の話。

著作権は作者が創作物に対して持つ権利。著作性の認められるもの全てに発生し、他人が利用する場合はライセンス等による許諾が必要となります。侵害を行い訴えられたときは損益分を請求されることとなり、雑誌の総回収などの大規模な事態になる例も。

既存の著作物を改変して新たに作られた「二次的著作物」は、原作の著作権と二次的な著作権の二つが内包されているのでより複雑になります。

利用許諾に関するライセンスにはクリエイティブ・コモンズやオープンソースソフトウェアなどの形式が存在。クリエイティブ・コモンズでは4種の選択肢を複合してライセンスを表示できます。

よくあるパターンとしてライセンスが詳細に示されておらず「ご自由にお使いください!」とだけ書かれている場合がありますがこれには注意が必要とのこと。アバターの場合の人格付与やセンシティブ表現、再配布の可否など、どこまでが「ご自由に」の範囲にあたるかが考慮されていない可能性があるからです。アバター利用の円滑化に際してはライセンスの明確化が不可欠となります。

3Dモデルの性質上、プラットフォームによっては利用時にクレジットを表示することが難しい場合が多々あるといいます。
またVRoidで制作されたモデルには着せ替えテクスチャを制作・配布する文化が存在しますが、それらを使用したモデルは二次的著作物にあたり、服についてのクレジット表記はどのように盛り込むのかなどのさらに複雑なケースも考えられます。

VRoid HubにおいてはVRM形式モデルの商用利用項目を法人か個人か、非営利目的の同人ならOKかなどより詳細に設定できるようになっています。
アバター特化ライセンスとして、こうした項目の粒度は現在の利用状況を汲み取りそれに沿うような形に変化させていくことが必要です。

3Dモデルにまつわる倫理とその課題

アバター利用の倫理を考えるにあたっては、多様化したアバターと利用者の関係を捉える必要があるとのこと。自己そのもの、あるいは在るべき自己として分身のように捉える場合もあれば、愛でる存在とする場合も、単に便宜上の操り人形としてアバターを使用する場合もあり得ます。

例えば「アインシュタインのアバターを使用した人に認知機能の向上が見られる」といったゴーストサイエンスの効果のように、アバターへの人格付与は一方的ではなくそこには双方向的な密接な関係が生まれていると言えます。

アバターに人格が与えられるということは、そこにハラスメントも生じうるということ。
以前、3Dアバターが広告の素材(それも不快感を与えかねないもの)に不正利用されたという事例が伝えられています。このような事例は単なる著作権の問題にとどまらず、「アバターの人格を毀損する」迷惑行為にもなると捉えられます。

ただしこの毀損の線引きも単純ではありません。どこまでが人格を持つ振る舞いとみなされるのかという基準は複雑で、例えば硬派なイメージのキャラクターで可愛らしいモーションを再生するのはそれだけで人格の毀損となるのか、など様々なケースが想定できるといいます。

性的な表現や暴力表現などのセンシティブな表現に関しても、意図に反して行えば当然アバターの人格を傷つける行為となります。現実で行うのと同じことにもなりかねないので慎重に扱わねばなりません。
これは明確な不正に限らず、3Dモデルビューワーの回転機能でモデルによって下着が見えてしまう問題など、仕組み上セクシャルハラスメントに繋がりかねない例も存在します。

3Dアバターのセキュリティ上の問題としては、

・性質上VRMライセンスは不正な書き換えが行いやすい(遵守が保証されない)
・オンラインで他人のアバターを表示させる際には環境へのダウンロードが必要なため、理論上そこから抽出が可能

といったものが提示されていました。

セキュリティとデータの扱いやすさはトレードオフの関係。VRMはクリエイターにとっての使いやすさを追求する規格であるため、セキュリティについてはある程度性善説的な仕組みとなっているといいます。そのためいかに権利や倫理を守るかについては開発者と利用者の双方が真剣に考えていくべき課題と言えます。

諸問題に対してできる対策

まずは開発者のできる努力について。
権利を守るためには言うまでもなくライセンスの確実な設定と表示が必須になります。不正な意図によるデータ利用だけでなく、利用者が自覚なしに権利侵害を行ってしまうケースも防がねばなりません。VRM上での設定をしっかり行った上で、アプリ側でも実装を行い利用者に情報が届くシステムを確立することが必要です。

ライセンス書き換え等の不正行為に対しては検証の手順を挟む、認証や報告のシステムを整備するなど信頼性向上の仕組みで対策することが求められます。

また、ここで有効とされているのが前述のデータを管理するHubサービス。こちらはVRMのデータを他の利用者に渡すことなく連携サービスに送ることが可能なため、その分不正が行われる余地を減らすことができます。ただし連携サービスの開発者による不正は可能であるため完璧な仕組みではないことは留意しておかなければなりません。

ブロックチェーンのシステムに関してはGugenkaが採用したデジタルコンテンツの証明書付与技術「A trust」やVRM対応のデジタル証明書売買SNS「Conata」等の例が存在するとのこと。

実際の事例として紹介された「モーションキャスト」は中地氏が個人で開発を行っているVRM対応のモーション再生アプリ。このアプリの特徴は性的表現が前提にある点であり、コンセプト上不正な利用は特に気を付けて防止しなければなりません。

このアプリケーションでなされている対策はライセンスデータの表示や厳密なバリデーション、VRoid Hubに対応したセキュアな連携。つまりはこれまで紹介されてきたような開発者として出来る諸対策を一つずつ着実に取り入れていくことが肝要だということです。

利用者側が権利保護のために持つべき意識は著作権に対する正しい認識を持つこと、そして自分のアバターがどうなって欲しくないかを考えながらライセンスを設定していくことだといいます。最初は大丈夫だと思っていたことでも使っていくうちに感じ方が変わるかもしれません。
場合によってはサービスを限定したりオフラインのみの使用にすることも考えられます。

以上の通り、VRアバターの扱いやすさとセキュリティはトレードオフの関係であり、対策には技術的な限界が生まれることは避けられないといいます。
だからこそ、3Dアバターの権利が守られ適切に使用されるための意識を携わる人間すべてが大切にしていき、可能な限りの対策を行うべき、という総括が語られました。

最後にVRM関係の勉強会の宣伝をもって、本セッションは締めくくられました。


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