8月31日から3日間にわたって開催されたCEDEC2017ではVRに関するさまざまな講演が行われました。
今回は、ディライトワークス株式会社の塩川 洋介氏により行われた「Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライトを支える、“非常識”な企画術。」についてレポートしていきます。本セッションでは、人気のスマホゲームのVRコンテンツとなる『FGO VR』を企画する上で考えた3つのコンセプト、そしてそこから繋がるどんなゲーム制作に役立つヒント、について語られました。
『Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト』とは?
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『Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト』は人気スマートフォンゲーム『Fate/Grand Order(FGO)』のPlayStation VR(PSVR)向けコンテンツです。FGOに登場するヒロインに焦点を当てたFateシリーズ初のVR作品であり、2017年冬配信予定となっています。
『Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト』PV 第2弾
FGO VRを支える3つの“非常識”なコンセプト
ここからはFGO VRにおける開発コンセプトの話に移ります。
コンセプトその1「特別な日常」
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最初のコンセプトとして「本編のFGOでは体験できない内容にする」という部分で「特別な日常」をテーマにし、ターゲットを全FGOプレイヤーにしたとのこと。しかしFGOを遊んでいるユーザーはスマートフォンゲームをメインに遊んでいる層でありスマホ以外で遊ぶFGOという物に対しハードルが高く、これを乗り越えるための策として「全マスター(プレイヤー)が遊べる」・「全マスターが遊びたくなる」という2つを考えたと塩川氏。
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「全マスターが遊べる」では始めたばかりのプレイヤーでもやりこんでいるプレイヤーでも
使うことのできるキャラクターであるヒロインのマシュ・キリエライトを使ったコンテンツにすることでどんなプレイヤーでも遊べる物にしたとのこと。
「全マスターが遊びたくなる」は「パーソナル・トレーニング」というマシュとトレーニングをするシーンが再現されたアイテムがあり、そちらをモチーフにしたと述べていました。
「FGOの世界の日常をそのままVRで再現しても面白みが浅く、あったかもしれない妄想を楽しめるようにすることで全マスターが遊びたくなるような内容にした」と塩川氏。
1つ目のコンセプトのまとめとして、「特別」と「日常」の両立をすることで居続けたいと思えるVR体験にしたとのこと。
コンセプトその2「マシュ詣(もうで)」
FGO VRは構想段階から体験会を想定した企画であり、「体験会に行くとマシュに会える」という所から2つめのコンセプトを「マシュ詣(もうで)」としたとのこと。
FGOユーザーはスマートフォンでいつでもマシュに会うことができます。それでも絶対会いたいと思えるような物にするために「会いに行った人だけに、特別感を」「会いに行くイベントごと、演出を」という2つのことを考えたと塩川氏。
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「会いに行った人だけに、特別感を」に関しては初報のPVで内容の詳細をあえて出さずに
体験した人だけが分かるような物にしたとのこと。
『Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト』PV
「会いに行くイベントごと、演出を」では体験会でどうやってVRがある所まで行くのか、
体験が終わった後にどのような感想を得るのかといった「遊ぶまでも、楽しませる」を重点に置いてコンテンツの設計をしたと述べていました。
2つ目のコンセプトのまとめとして、「会いに出かけたくなる、VR」を目指して開発を進めていったとのこと。
コンセプトその3「5秒に1マシュ」
ここまでの段階で居心地がよく会いに出かけたくなるVRにすることができた。しかしこれだけでは「今日、FGOVRやってきましたー」で終わってしまい、シェアできる物が何もないと塩川氏。
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そこで「5秒に1マシュ」というコンセプトで、「マシュが近くに来てドキドキさせる」・「ここでしか見られない絵柄のコマンドカードを出す」などのように5秒ごと見せ場を事細かく決めていったとのこと。
実際に体験したユーザーからの感想では、語彙を失ったような感想が多く予想通りだったと塩川氏。
3つ目のコンセプトのまとめとして、「声に出して言いたくなる、VR」という部分で拡散できない弱点を無くしていったとのこと。
まとめ
これら3つのコンセプトはVRの特徴を考えると当たり前に思えることであるが、きちんと実現できているタイトルは少なく、そういった思いからFGO VRでは積極的に入れていったと塩川氏。
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セッションのまとめとして「顕在化している声は納得を生むが、顕在化していない声は爆発を生む。VRに限らすどんなゲームでも顕在化していない声を探すことでゲームをより面白くしていくことができるのではないか」と述べ締めくくりました。