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MoguraVR

2018.01.19

実写系VRの新スタイル「180度動画」とその先―CES2018に見るトレンド第2回

CES2018での展示からVRに関するデバイスのトレンドを追う本連載、第1回に続いて第2回でもカメラとVRの関係について紹介します。

360度カメラとVRの関係に関して、第1回では360度カメラをVRのために使わない「あとから切り出す」機能を紹介しました。第2回ではVRコンテンツの観点からのトレンドを紹介します。

第1回はこちら

「360度カメラはVRのためのものではない」GoPro参入の理由をCEO語る―CES2018に見るトレンド第1回 | Mogura VR

「360度カメラはVRのためのものではない」GoPro参入の理由をCEO語る―CES2018に見るトレンド第1回 | Mogura VR

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実写のVRコンテンツといえば360度カメラ

VRコンテンツには大きく分けると、実写のものと3DCGのものの2種類があります。他にもその2種類を合成したり、実写から3DCGを作成する方法もありますが、2018年1月時点では多くはカメラで撮影された実写とゲームエンジンで作成された3DCGの2種類が主流です。

実写のVRコンテンツの多くは、360度撮影が可能な360度カメラ(全天球カメラ)かGoProなどの通常のカメラを360度組み合わせて撮影されています。前後上下左右、周りを見渡せるというVRヘッドセットの特長と360度どの方向も撮影してある360度動画・写真は相性が良く、スマートフォンなどでも手軽に体験できるVRコンテンツとして観光・音楽・映画・不動産・アイドルなど様々なものを題材にしたものが現れています。

ハコスコなどのような360度動画の投稿・配信プラットフォームも現れているほか、YouTubeがいち早く360度動画に対応、Facebookでもフィード上で360度動画・写真をアップロードして共有できるなど各種サービスも“360度”に対応してきました。

Mogura VRでもこれまで様々な360度動画を紹介、実際に撮影もしてきました。

PSVRで見れる!おすすめ360度動画9選 | Mogura VR

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360度美女に囲まれて笑顔 年始から眼福になれる記事詰め合わせ | Mogura VR

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しかし…グーグルが主導するVR180

「実写VRといえば360度動画」の定説を崩すかのような規格を発表したのは、どの動画配信プラットフォームよりも多くの360度動画がアップロードされていたYouTubeでした。

YouTubeは、2017年6月のイベントでVR向けの新たな規格「VR180」を発表しました。そしてCES2018では、VR180に対応したカメラ2機種がレノボとYi Technologies(中国のメーカー・シャオミの海外展開向けブランド)から発表されました。


カメラの形状からも分かるようにVR180は前方180度を撮影するカメラです。レンズを2つ搭載したいわゆるステレオカメラです。左右の目の距離に基づく見え方の違いを視差と呼びますが、ステレオカメラを使い、左右それぞれ視差のある撮影をすることで、動画や写真をVRデバイスでみたときには立体感のある、奥行きのあることで「まるでその場にいるような」映像・写真を視聴することができます。

https://www.youtube.com/watch?v=TH_MMXinRsA

ライブストリーミングも可能ということで、遠く離れた祖父母とのやりとりで使うと「遠くはなれているのにまるで目の前にいる」かのように話せるようになるかもしれません。

なお、VR180はVR以外の視聴にも対応しています。PCやスマートフォンで見た際は普通の動画・写真として表示されます。その良さを最大限に引き出すにはVRデバイスでの視聴が最適な選択となります。

「360度を見ない」ユーザー

YouTubeはVR180の発表を行った際に、「視聴者の多くが360度動画で180度も見ていない」という分析結果を披露しています。360度見回せるといっても、実際に見回す人は少ないようです。CES2018での発表会で登壇したGoogleのVR担当副社長クレイ・ベイバー氏は、「何が大事かが分かるほうが重要」とし、180度ステレオ撮影の重要性を強調しました。

GoogleのVR担当副社長クレイ・ベイバー氏

前方180度ステレオ撮影を行う手法はすでに、日本でもアイドルものやアダルトのVRコンテンツなどでは主流になっています。180度のVRコンテンツでは後ろを向くと暗黒の空間が広がっていることがほとんどです。しかし、見回すのではなく、「目の前に人がいる実在感」、「観ているものがまるで現実と同じように感じる没入感」を制作側・ユーザー側とも価値として見出している傾向にあるということを指し示しているのでしょう。

https://www.youtube.com/watch?v=aCfwB5xlHS4

180度ステレオ撮影にこだわったアイドルコンテツ「透明少女」シリーズ

360度カメラを使ったVRコンテンツ作成は撮影のシチュエーションなどにもよりますが、ノウハウも確立されておらず、ハイクオリティな作品を作ることは比較的難易度が高くなっています。

グーグルは、モバイルVRプラットフォーム「Daydream」を推進しており、対応スマートフォン専用ゴーグルを市場に投入しています。2018年にはPCやスマートフォンを一切使わない一体型VRヘッドセットも4万円以下で発売します。

VR180の背景には、VRをより多くのユーザーが手軽に体験できるようにしたい、という方向性が見え隠れします。より多くのユーザーがVRを手軽に使うためにも、再生機器としてのDaydreamのヘッドセットとコンテンツ発信・作成機器としてのカメラをセットで押し出すことを想定しているようです。


レノボのVR180対応カメラ「Mirage Camera」とDaydream対応一体型VRヘッドセット「Mirage Solo」を同時に発表

手軽さがピンポイントに埋め込まれたVR180

レノボとYi Technologiesの発表したVR180対応のカメラ2機種は、いずれもその方向性を反映させたかのように手軽さを前面に押し出したデザインになっています。

たとえばカメラのサイズは、名刺入れと同じくらいの非常に小さなサイズです。ポケットに入れてさっと取り出せます。

また、スマートフォンと無線接続してアプリでの操作もできますが、カメラ自体がWi-Fiを備えており、撮影した動画・写真をYouTube、Google Photoにカメラから直接アップロードすることができます。レノボのMirage Cameraに至ってはSIMカードを挿せるLTEモデルも登場予定です。

レノボのVR180対応4Kカメラ「Mirage Camera」(左)、Yi TechnologiesのVR対応5.7Kカメラ「YI Horizon VR180 Camera」(右)

グーグルはレノボとYi Technologies以外にも中国のZ CAMと提携しているほか、パナソニク・LGといった国際的なブランドからもVR180対応のカメラが登場する予定です。

ユーザーの反応のみならずメーカーの動向にも注目したいところです。

次世代の360度カメラも

180度ステレオカメラに注力しているのはグーグルだけではありません。CES2018で、Kodakが展開する360度ブランドSP360のブースでは次世代機と称してユニークなカメラが展示されていました。

担当者が笑顔で目にかざしているこちらのカメラ。180度ステレオカメラのようで、よく見ると中心に線が入っています。

https://www.youtube.com/watch?v=TCIBVuEt-QA

実はこのカメラは折りたたむことができます。360度カメラにも180度ステレオカメラにもなるというもの。プロトタイプのため製品化の予定は不明とのことですが、180度ステレオ撮影を見据えた製品開発を行っていることが伺えます。

これからは180度ステレオカメラで撮影されたものをVRヘッドセットで楽しむというスタイルが主流になるかもしれません。

“ステレオ”の次は何か

最後に、“ステレオ”のその先に実現する技術について少し触れたいと思います。

こちらは中国のArashi Vision社が展開するブランドInsta360がCES2018で展示したライトフィールドカメラのプロトタイプです。128個のレンズを搭載し、180度の方向ではありますが、空間そのものを記録することができます。その結果、VRで体験したときはその中をわずか(約0.5m立法)ですが動くことができるようになります。

Insta360はすでに現在発売中の360度カメラInsta360 Proで8Kクオリティのステレオ(3D)撮影を可能にしています。360度カメラの次に来るものとして彼らが開発しているのがこのライトフィールドカメラです。

ライトフィールドカメラのように奥行きだけでなく、空間そのものを記録し、VRで動き回れるようにする技術はInsta360だけでなく、フェイスブックや、Lytro、インテル傘下のHypeVRなど複数社が開発を進めています。

VR向けの実写コンテンツは360度撮影から、奥行きの付与による「現実と同じ見え方」の再現、そして動き回れる「空間記録」へと変わっていくでしょう。


第1回で書いたように、360度カメラはVR以外の用途に使われ始め、一方で実写のVRコンテンツは360度カメラだけでなく180度ステレオカメラで撮影されるという作成方法が出現しました。2018年は、360度カメラと実写のVRコンテンツが徐々に変わっていくと考えられます。

この記事を書いた人

すんくぼ(久保田 瞬)

慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、環境省に入省。環境白書の作成等に携わる。ECベンチャー勤務を経て、現Mogura VR編集長、株式会社Mogura代表取締役社長。VRジャーナリスト。
VRが人の知覚する現実を認識を進化させ、社会を変えていく無限の可能性を感じ、身も心も捧げている。VR/AR業界の情報集約、コンサルティングが専門。また、国外の主要イベントには必ず足を運んで取材を行っているほか、国内外の業界の中心に身を置きネットワーク構築を行っている。

Twitter:@tyranusii

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