フェイスブックが運営する「Oculus Store」でアプリ配信を行う際、開発者は売り上げの一部をプラットフォーム利用料として支払う必要があります。この仕組みに対し、ソーシャルVRアプリ「Bigscreen」を開発・提供するBigscreen社のCEO、Darshan Shankar氏が苦言を呈しています。
手数料問題はここでも。30%は高いか安いか
Oculusストアのアプリ内決済システムの手数料は30%とされており、この数字は決して「安い」ものではないようです。Bigscreenはアプリ内で3D映画レンタルサービスも展開していますが、Shankar氏によれば「映画配給会社側の取り分はレンタル料金の60~80%」とのこと。これにフェイスブックによる30%の“VR税”も加えると、Bigscreen側にはほとんど利益が残らないばかりか赤字になる場合もあり、ビジネスとしての継続は難しい状態です。
Bigscreen loses >100% for every dollar of revenue, while Fandango can make money in VR.
Sucks that I've poured 6 years into building software for the Oculus Platform.@ID_AA_Carmack gets to bring Fandango into VR, but Facebook won't help devs that have been here from day 0
— Darshan Shankar (@DShankar) September 24, 2020
(BigscreenのCEOによるツイート)
海外メディアUploadVRは、「フェイスブックはFandangoやネットフリックスのような動画配信プラットフォームとは特別な契約を結んでおり、アプリ内決済システムの手数料を免除されているのではないか」と推測。これら2社は利益を上げられるのに対し、その他のアプリ開発会社側は不利になる、と指摘しています。
通常のアプリ配信でプラットフォーム利用料として30%を取られることは、アプリの配信費や宣伝費と考えればまだ正当性があると言えますが、アプリ内でのコンテンツ購入に対しても同様のルールが適用されるのはフェアではないという考えです。
Shankar氏は自身のTwitterと、UploadVRがYouTubeで定期的に配信している番組の中で持論を述べています。番組の中でShankar氏は、この問題はデジタルアプリだけでなく、家具など実体のある商品を販売するアプリでも同様の問題が起こりうると述べています。
https://www.youtube.com/watch?v=r1EfXyZvQJU
(Shankar氏がゲスト出演したUploadVRの番組より、同氏の発言部分を抜粋したもの)
Appleも同様の問題で紛糾
アップルも先日、「フォートナイト」のアプリ内課金に関してEpic Gamesと対立。その後、音楽ストリーミングサービスのSpotifyがEpic Gamesを支持する立場を表明するなど、同様の「税金問題」が起こっています。
Oculusストアの場合は、プラットフォーム利用料に対して「SideQuest」という“抜け道”がありますが、SideQuestを利用するにはOculus製ヘッドセットのほかにPCが必要なだけでなく、アプリの更新なども手動で行わなくてはいけません。ほかにもWebXRアプリと選択肢がありますが、VR空間内で商品購入のための各種情報を入力するのも手間になります。
この問題の解決には、Web上での決済を簡単にする共通規格「Payment Request API」の仕組みが今後貢献するかもしれない、とUploadVRはまとめています。
(参考)UploadVR
Mogura VRはUploadVRのパートナーメディアです。