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テック 2018.06.06

アドビ、AR事業を本格展開 クリエイターのARコンテンツ制作後押し

「Photoshop」や「Illustrator」などのクリエイティブソフトウェアを提供するAdobe(アドビ)は、AR事業を本格的に進める「Project Aero(プロジェクト・エアロ)」を発表しました。プラットフォーマーと連携してのファイル形式標準化や、クリエイター向けの編集ツール提供などを進めます。

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ARのエコシステム構築に向け標準化を促進

アドビはかねてより、AR分野への強い参入意欲を示していました。ARはデジタルトランスフォーメーション(ITによる生活やビジネスの変革)の次なる波を起こし、新しいチャレンジと機会を生むものだとしています。

同社は今後1年で約10億台のAR対応スマートフォンが登場し、新しいデバイスも開発されていると指摘。産業をリードする企業がARデバイスの活用を進めている実態は、ARがメインストリームとなるための最初の波だと捉えています。

続けて同社はARの持つ可能性を最大限に活かすために、大規模なエコシステムの構築が必要だと主張しています。アドビがプロジェクトで取り組むのはこの部分です。すなわち、技術分野のリーディング企業と連携し、急速に拡大するARのエコシステムにおいて、コンテンツのモデルやファイルフォーマットの標準化を進めます。

同時にプラットフォームベンダーとも協業。AR向けフォーマット「USDZ」や、3Dファイル形式「glTF」といった形式のオープン標準化を促進します。

「USDZ」は現在アップル、ピクサーなど多くの企業が対応しており、「glTF」はグーグル、フェイスブック、マイクロソフトなどが対応しています。

クリエイターの作業をスムーズに

またプロジェクトでは、「Photoshop CC」、「Dimension CC」のような一般的なツールを使ってのARコンテンツ制作を可能にします。クリエイターは実際の空間でデザインを確かめることもできるため、ARコンテンツ制作をよりスムーズで直観的に行えます。技術面はアドビの機械学習技術「Adobe Sensei」でサポートし、クリエイターは創造的な作業に集中することができます。

完成したコンテンツをモバイルデバイス経由で公開することも、より早く、簡単に行えます。活用するのは、プロジェクト・エアロで立ち上げたクラウドサービスです。これによって、今まで2D画像や動画、3Dコンテンツを制作してきたのと同じように、ARコンテンツの制作を進めることができます。

これらのサービスの活用事例は、6月8日からサンフランシスコで開催されるアートイベント「the Festival of the Impossible」で見ることができます。AR/VR等の新しいメディアを使ったアート作品が出展されます。

ARKitを展開するアップルとも協業

アドビはこのプロジェクトの概要について、アップルの開発者イベントWWDC2018にて発表しました。ARフォーマット「USDZ」についてのアップル、ピクサーとの協業、Adobe Creative Cloudアプリでのサポートなどを明らかにしています。

さらにプロジェクト・エアロは、Creative Cloud、アップルのARKit、ARフォーマット「USDZ」を組み合わせ、ARの可能性を広げていくとしています。

(参考)Introducing Project Aero


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