軍や公共機関のセキュリティ製品を手掛ける米企業のアクソン(Axon)は、VR(バーチャル・リアリティ)を活用した新しいトレーニングプログラムを発表しました。本プログラムは、警察官が自殺願望を持つ対象者への対応を学ぶことを目的として開発されています。
(画像:ABC News)
アクソンのVRトレーニングプログラムは、警察官が、うつや幻覚、幻聴などの精神疾患を抱える人への対応方法を学ぶよう設計されています。2019年5月にシカゴ警察が導入したVRトレーニングでは、統合失調症や自閉症の症状を抱える人との接触方法を学ぶ内容となっており、今回発表されたトレーニングは、それに続くプログラムになっているとのこと。
精神疾患者への警察官の対応方法が求められる
アメリカ国立精神衛生研究所(National Institute of Mental Health)の統計によると、どの年を取ってみても、5人に1人のアメリカ人が精神疾患に罹っているとのこと。例として、2018年に発生した警察による発砲で992名が死亡し、そのうち213名が精神的な病気に罹っていたことが判明しています。アクソンのVRプログラムは、この深刻な状況を改善するために真正面から問題解決に取り組んでいます。
アクソンのトレーニング部門のシニア・ディレクターを務めるローラ・ブラウン氏は本プログラムについて次のようにコメントしています。
危機的な状況において、精神疾患を抱える対象者とのファーストコンタクトを担う警察官が、共感と自信を持って接触することができるようトレーニングが設計されています。私たちは、自殺の念に駆られている人々の最後の頼みの綱になり得る警察官をサポートすることをとても誇りに思います。
アクソンのVRプログラムは、危機的状況にある精神疾患を抱える対象者と、対応する警察官の2人の視点から学ぶことができます。同じ状況下において、それぞれどのように見て、感じ、聞こえるのか当事者の立場になって体験できるようプログラムが構築されています。
(参考)POLICEONE.COM