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空間保存・報道 2017.08.03

VRでの現場再現など 刑事司法におけるVR活用、始まる

アメリカでは保安官のトレーニング施設や、犯罪者の社会復帰支援、法廷での証拠提示にVRが活かされる事例が現れています。現在、VRの用途として現在目立っているのはゲームやエンターテインメント分野ですが、VRはエンターテインメントにとどまらない様々な分野で活用できす。

刑事司法制度の中でもさまざまな活用がされており、米メディアVR Scoutでは、いくつかの活用例が紹介されています。

保安官が緊急事態時にも冷静に判断できることを目指すVRシミュレータ

ニュージャージー州モンマス郡の保安官は、VRシミュレータ「VirTra V-300」と呼ばれるシステムを導入し、訓練を受けています。この訓練では、保安官が犯罪や危険なシチュエーションから身を守るためのトレーニングが行えます。

このような訓練は、保安官が緊急事態に対してより早く、効率的に対応する技術を学ぶことができ、年間500件以上発生する発砲事件を減らせるのではないかと望まれています。
マンモス郡保安官であるShaun Golden氏は、このトレーニングの目的を以下のように述べています。
このトレーニングの主な目的は、保安官がさまざまなシチュエーションを経験し、瞬間的に判断ができる意思決定能力を持つことです。また、瞬間的な判断だけでなく、異なるシチュエーションをどのように扱い、指揮するのかについてポジティブな結果が出始めています。」

警察と市民との関わりについても360度動画アプリ『Perspective; Chapter 2: The Misdemeanor』を通じて体験できます。

その他にも、ソノマ郡の保安庁は食事療法のトレーニングにもシミュレーターを使用しています。しかし、VRの応用は保安官のトレーニングだけにはとどまりません。

犯罪を犯した人が日常へ復帰するのをサポートする「Virtual Rehab」システム

Virtual Rehab」社は犯罪を犯した人が日常へ復帰するのをサポートするスタートアップです。同社のシステムは、日常に戻った後に再犯するのを防ぐことを目的としています。Virtual Rehabを使うと、囚人は正式な教育、職業訓練、心理的教育や矯正教育といったリハビリを受けることができます。

法廷の場での証拠提示にOculus Riftを利用

VRはまた、法廷の場での利用も検討されています。スイスのチューリッヒ大学の法医学研究所の研究者は、弁護士が写真やビデオといった証拠を提示する方法と同様に、犯罪現場を裁判官に歩き回って確認できるシーンを作るためにOculus Riftを使用しました。

これらの技術はやがて一般化して誰もが使うようになる

紹介したような新たな技術がアメリカの司法制度に及ぼす影響を研究しているオレゴン大学法学部のCarrie Leonetti准教授は、VRが目新しいものから、普通に使われるツールとして扱われるようになると予測しています。VU Dreamでは、Leonetti氏は以下のように述べています。
「私は、VRが最終的にパワーポイントのような存在になるターニングポイントがあると思っています。」
そして、より多くの警察関係者などがVirTraのようなトレーニングシステムを使うようになれば、安全を確保しつつ、バーチャルで体験した体験をリアルなものとして感じることができるのではないでしょうか

(参考)
Here’s How VR is Reshaping the Criminal Justice System – (英語)
https://vrscout.com/news/vr-criminal-justice-system/

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