Home » VR/AR/MRはこうなる!業界キーパーソン30名が語る2017年と2018年【海外編】


活用事例 2018.01.01

VR/AR/MRはこうなる!業界キーパーソン30名が語る2017年と2018年【海外編】

2017年末、Mogura VRではVR/AR/MR業界のキーパーソンが2017年を振り返り、2018年の抱負を語るコメントを集めた記事をお送りしました。

本企画では、国内に比べて人数は少ないものの、海外のVR/AR業界のキーパーソン4名からもコメントを寄せてもらいました。本企画の趣旨に賛同し、忙しい年の瀬にコメントを送っていただいた皆様に改めて御礼申し上げます(編集長・久保田)。

目次

・パルマー・ラッキー(Oculus 共同創業者)
・Tipatat CHENNAVASIN(The VR Fund(※1) ゼネラルマネージャー )
・Carl White(VR Berlin(※2)共同創設者)
・Rebecca Liu(VRCore(※3)創設者)

※1 The VR Fund:The Venture Reality Fund。gumi代表取締役・國光宏尚氏もパートナーを務めるVR/AR専門ベンチャー・キャピタル。VR業界マップなどの公開でも知られる。
※2 VR Berlin:ドイツで活動しているVR/ARコミュニティ
※3 VRCore:北京を中心に活動している中国最大のVRコミュニティ

Q1 2017年のVR/ARを振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

2012年は現代のVRの進化が始まった年でした。2017年は、VRにとって、“本当の”ユーザー、“本当の”ヘッドセット、“本当の”コンテンツによって判断された最初の年でした。発売前に絶え間なく煽られていた誇大広告が現在のVR業界の厳しい真実に変わった年だったのです。

売上はアナリストたちが予測したように良いものだったでしょうか?もちろんそんなに良くありませんでした。VRのハードウェアやソフトウェアの開発者たちが予想していたよりもよかったでしょうか。確実に良かったと言えます。多くの観測者は、VRへの莫大な投資と実際に得られている小さな収益の大きなミスマッチについて指摘し続けるでしょう。このミスマッチは悪い兆候ではありません。何はともあれ、テクノロジー産業がVRを長期的に究極のプラットフォームだとどれだけ真剣に考えているか、ということです。

大企業には感謝の気持ちを贈りたいところですが、正直なところそれ以上に、小さなスタジオ、インディ開発者、全てを投げ打って彼らを支える人たちが多くいることに感激しています。彼らは投資家や株主を喜ばせるためにVRに取り組んでいるわけではありません。メタバースをコントロールしたいわけでもありません。VRを愛していて、信じているから取り組んでいるのです。彼らは、大きなリスクを犯して、個人的に多くのものを犠牲にして信念を追い求めています。彼らこそ真にVRを信じる人々であり、バーチャル世界の英雄たちです。

(もし、あなたが本当にVRを信じていて生き伸びようともがいているのであれば、私に連絡をください)

Q2 2018年のVR/ARはどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ

2018年にはとてもワクワクしています。数百万人もの人々が新たにVRの世界に参加するでしょう。VRに参加できる人たちは幸せです。なぜなら長い間開発されてきた意欲的なゲームが多く発売されるからです。多くの人が思ってしまっている360度動画=VRという考えから離れるタイミングになるでしょう。そして、個人的には最初のVRMMO作品が市場に登場するのではないかとワクワクしています。

私の個人的な願望をかなえることは以前よりも難しくなっています。もし今のVR業界が本当に私を必要としていないなら、ある意味において現行世代のVRはすでにうまくいっているということです。次の世代のヘッドセットは現在のシステムからさらに改善することで明らかにより良くなります。高解像度でより軽量で、プロセッサーを内蔵するでしょう。それは私が手を加えて改善することではありません。

今は、コンテンツ投資と真の次世代VRハードウェアに関心があります。その技術は一般消費者向けのビジネスを行う企業は投資したがらないものです。私たちはみなフルダイブ(完全没入)できるVRの実現を待っています。そして、私は他の人が(先に)“茅場晶彦”(※)のように現れるのをただ指をくわえて待ちたくありません。

(※)茅場晶彦:人気作品『ソード・アート・オンライン』に登場する天才科学者。フルダイブシステムを完成し、VRMMORPG「ソード・アート・オンライン」を作り上げる。サービス開始時にログインしたユーザーをVR内に閉じ込め、ゲームクリアまで脱出不能、VR内の死が現実の死につながる、という設定を課した張本人でもある。

Oculus共同創業者
パルマー・ラッキー

Q1 2017年のVR/ARを振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

2017年はVRとARにとって素晴らしい年でした。いくつか目立ったトレンドが見られました。1つ目には、PSVRの出荷台数200万台突破、Oculus Rift、HTC Viveの値下げによる順調な出荷、MRヘッドセットの発売などVRヘッドセットの力強い売上。2つ目は、40近いタイトルが100万ドル以上の売上を達成し、ソフトウェアの売上も心も強いものだったこと。こうした実績は、消費者のVRへの関心は強く、うまくいったVRスタートアップが収益を上げていることを示しています。VRコンテンツは、どんどんとより良いものが生まれています。『Carne y Arena』は初めて(アカデミー賞で)オスカーを獲りました。VoidのVR体験は人々を驚かせ続けています。AAAのスタジオからもインディの開発者からも素晴らしいVRゲームが登場しています。

投資の観点では、2017年は約30億ドルの投資がVR/ARに行われたと観測しています。これは過去最高の投資額です。ビジネスでのVRは非常に大きく成長しています。ウォルマート、DHLなどではVRで従業員にトレーニングを行い初めました。Virtualiticsのようなスタートアップは、VRが10億ドル級のビジネスにどれほどインパクトを与えられるかを示しています。ビジネス向けのVRが成長していることに非常にワクワクします。そして言うまでもなく、Apple, Google, Facebook, SnapがいずれもモバイルARを推し進めていることもまたとても興味深い動向でした。

Q2 2018年のVR/ARはどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ

VRとARの普及が、消費者サイドでもビジネスサイドでも引き続き進みます。VRの認知度はVRアーケードの取組が広がっていくおかげで高まっていきます。そして、最初の一体型VRデバイスが市場に登場するでしょう。私は、ヘッドセットとコントローラーがVRで自由に動いてこそ本当のVRが実現すると考えていますが、Oculus Goのような安価な一体型VRヘッドセットが非常に大きなインパクトを与えると思います。VR/ARコンテンツを作るためのツールもより手軽に使えるようになり、さらに色々な種類のコンテンツを目にすることになります。

ARに関しては、Magic Leapがたとえ開発者版だとしても実際の製品を出荷できるかHoloLensの開発者版第2弾が判明すれば非常に大きな話題になるでしょう。しかし、2018年はモバイルARが本当に約束を果たせるのか、という話題が中心になりそうです。私自身は、ARコンテンツにソーシャルネットワークが構築され、開発者たちが満足するほど良いレベルにSDKが改善し、ARとしての体験がより豊かになることが楽しみです。

The VR Fund ゼネラルマネージャー
Tipatat CHENNAVASIN

Q1 2017年のVR/ARを振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

まず正直に言ってしまうと、私は2017年、VRが消費者に普及するタイミングが少し遅れていることもあり、積極的に業界を俯瞰することを止めていました。近いうちにヘッドセットにGPUが組み込まれて軽量で使いやすい一体型ヘッドセットが登場すると普及に資するのではないかと期待しています。

2017年に起きた良かったことで印象的だったのは、VRが依然として速いスピードで広がってることです。新たにVRに夢中になる人が増え続けており、驚くようなコンテンツも現れています。ベルリンで私達のコミュニティが開催しているミートアップは、2ヶ月に1回開催されており、今では参加者数は各回200名を超えて、総メンバーは2,500人以上います。どのミートアップでも新たなVRコンテンツを目にしました。最近ではdropboxのコンテンツをVRで見ることのできるアプリを作った人がいます。今年多く目にしたのは、トレーニングなどの産業向けのアプリケーションでした。エンターテイメント向けはゆっくりですが、徐々に面白いプロジェクトが登場しています。

Q2 2018年のVR/ARはどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ

2018年は、いくつかのブランドから移動可能な一体型VRヘッドセットか、より安く軽いものが登場して、より良い年になるでしょう。さらに多くの人がVRに夢中になり、コンテンツ制作が後押しされます。生活を変えるようなキラーアプリの登場も待っています。そうしたアプリは私たちがある一定の層までVRをリーチさせることができたときに登場するでしょう。そして、検討もつかないようなアイデアが登場するでしょう。それが今年起こるかどうかは確信はできませんが、私たちはとにかく、より多くの人にこの技術に関わってもらいたいと思っています。新しく、素晴らしい体験を発見することは非常に楽しいことです。

私自身は産業での活用に注目しています。ゲームほどワクワクするものではありませんが、売上の見込める分野です。トレーニングは多くの企業にとって素晴らしいツールになっています。学校教育も効果的ですが、コンテンツが学校で採用されるまで政府の審査などもあって時間がかかるとは思いますが…

VR Berlin共同創設者
Carl White

Q1 2017年のVR/ARを振り返って、印象的だった出来事・トレンド・コンテンツ

私にとって、最も印象的なことはつながりが生まれたことでした。
2017年には、中国最大のVRコミュニティとして、VRCoreは2つのイベントを主催しました。1つ目はグローバルVRハッカソンでした。世界中の6つのVRコミュニティがこのイベントに参加し、各国で地域のトップ作品を決め、中国でグランプリを開催しました。中国、米国、ドイツ、オーストリア、オーストラリア、シンガポールの素晴らしい開発者たちが一同に集い、アイデアを交わしました。世界中でいかに良いアイデアが生まれているか知ることができる絶好の機会でした。
2017年に開催したもう1つのイベントは、VRCOREアワード2017です。このアワードには、10カ国から286のコンテンツの応募がありました。表彰式には異なる文化を背景にした人々が集まり、アメリカ、ヨーロッパ、日本など各国のVR業界についても議論が行われました。
VR業界を前に進めるためにはコミュニケーションを活発に行い、ともに取り組むことが重要です。

Q2 2018年のVR/ARはどうなりそうか、展望や自身の抱負、読者へのメッセージ

2018年は、私たちは他の国との繋がりをより強いものにしていきます。ハッカソンやアワードへより多くの国や人々が関わってもらうとともに、各国の開発者がアイデアやコンテンツを世界中で共有できるようになることを望んでいます。

VRCore創設者
Rebecca Liu


本記事に掲載したコメントは、本人から英語で寄せられたコメントをMogura VR編集部の責任において翻訳・編集したものになります。英語への再翻訳は禁止します。

Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited. Even partially translation into any other languages is not permitted. All Rights Reserved. Copyright© Mogura Inc.


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード