ヒントはユーザーの行動分析にあり 人気VRゲーム開発者を驚かせたデータの数々

VRゲーム『Raw Data』は、10月5日にOculus RiftとHTC Vive向けに正式リリースが決定しました。PlayStation VRでも10月10日にリリース予定です。このゲームは、1年以上前に開発中のゲームをリリースするアーリーアクセスを開始し、ユーザーからのフィードバックを集めました。

9月21、22日に行われたVirtual Reality Developer Conference(VRDC)2017において開発元のSurvios社CTOであるAlex Silkin氏とデザインディレクターであるMike McTyre氏がアーリーアクセス中のプレイヤーの情報を分析した結果を公開しました。

プレイヤーの行動を収集し分析する重要性

『Raw Data』を開発するSurvios社のSilkin氏とMcTyre氏は壇上において、VR開発者へ向けて、プレイヤーの行動を収集し、分析することが重要であると強調しました。両氏は、『Raw Data』からプレイヤーのデータを集め、分析するまで、その重要性を軽視していたようです。しかし、一度分析してみると、プレイヤーがどのように遊んでいるかや、アップデートをどのように伝えれば良いのかについて多くの驚きがありました。

プレイヤーが要望するものと実際の行動は明確に異なる

Silkin氏とMcTyre氏は多くのユーザーからの要望として、より多くのマップとミッション、そいてユーザー同士の対戦機能があったと述べています。しかし、これらを望むユーザーは実際はそこまで多くははありませんでした。

分析したデータを見てみると、全部で10個以上のミッションが用意されているにもかかわらず、5つめのミッションをクリアしたのはわずか21%のプレイヤーでした。また、プレイヤーが最も望んでいたプレイヤー同士の対戦機能は、開発と保守に多くのリソースが取られましたが、たったの13%のプレイヤーしか試していないことが分かりました。

プレイヤーは意図通りにはプレイしない

『Raw Data』は攻めてくる敵から拠点を守るアクションゲームです。プレイヤーには敵を倒すための武器以外に、防具や、旋回砲塔、フォースシールドなど拠点に配置できるアイテムが用意されています。これらはプレイヤーが生き残るための重要なアイテムですが、わずか1%のユーザーしか使っていないことが分かりました。テレポーテーションなども活用されていないことから、開発者はプレイヤーに対して道具などを使うヘルプシステムを追加した方が良さそうであると述べています。

ゲームにおいて新たなプレイ可能なヒーローであるボスキャラ:「the Street Merc」を公開するとき、開発者としてはとても興奮してプレイしてくれると考えました。しかし、データが示すのは7.5%のユーザーしか彼を選んでいません。その理由を探っていくと、彼の能力が複雑すぎてプレイヤーが使いこなせていなく、他のキャラよりもむしろ弱く感じられていることに気がつきました。そこで開発者は、より理解し易くし、より魅力的な選択肢となるように仕様を変更しました。

RiftとViveの比率と好ましい操作方法

『Raw Data』は当初HTC Vive向けに開発され2016年7月にリリースしました。その後、Oculus RiftとTouchに対応してリリースしたのが2017年3月でした。このような背景からユーザーの80%はViveユーザーで、残りの20%がRiftユーザーとなっています。

ゲームでは大別して3種類の操作系(Sticky、Toggle、Hold)がありますが、ヘッドセットによって多く利用される操作が異なるという特徴が出ています。

  • Sticky:グリップボタンを押すと武器やアイテムを拾えます。拾ったアイテムはプレイヤーが他のアイテムに触れるまで手元に残ります。
  • Toggle:グリップボダンを押して武器やアイテムを拾えます。もう一度グリップボタンを押すと持ったアイテムを離します。
  • Hold:グリップボタンを押したままにすると、武器やアイテムを拾い使用できます。グリップボタンを放すとアイテムを離します。
 

Vive

Rift

Sticky

79%

21%

Hold

3%

72%

Toggle

18%

7%

以上のように、プラットフォームごとにユーザーが好む操作手法は異なるため、開発者はオプションを提供することが重要です。

マーケティングのTips:バンドル版の設定やプラットフォームのセール期間に注目

『Raw Data』は今までに発売されたVRゲームの中で最も売れたゲームの一つであり、以下に述べる販売に関するアドバイスは価値があると考えられます。

顧客は複数のゲームを詰め合わせたバンドルが登場すると、良く反応するとのこと。”バンドルを頻繁に”が彼らの勧めです。また、プラットフォーム全体で行われるセールイベントにおいて販売数が急上昇すると述べています。例えば、SteamやOculus Homeは季節ごとやホリデーをテーマにしたセールを年中行っています。両氏は、多くのユーザーがストアページには来ており(ウォッチリストに入れて値下げのタイミングを見計らっている)ため、セールに参加するよう勧めています。Silkin氏は、「単純な2ドルか3ドルのディスカウントでも驚くべき結果になるかもしれません」と述べています。

そしてもちろん、可能な限りより多くのVRプラットフォームに対応することが重要だと述べています。現時点でのVRのマーケットのサイズを考えると重要なことです。そして、Windows Mixed Realityのような新たなプラットフォームがまもなくリリースされるため、開発者は、設計の初期から移植の簡便さを念頭に置いて開発すべきであり、多くのプラットフォームに対応すればより多くのユーザーに届けることができる、と語りました。

(参考)
‘Raw Data’ Devs Share Player Metrics & Insights Ahead of October’s v1.0 Launch / Road to VR(英語)
https://www.roadtovr.com/raw-data-devs-share-player-metrics-insights-ahead-of-octobers-v1-0-launch-vrdc-fall-2017/

MoguraVRはRoad to VRとパートナーシップを結んでいます。

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この記事を書いた人

  • あつぽん

    日本でMRシステムの開発に携わった後アメリカへ渡り、VR/MRシステムを企業へ導入するための検討・開発に従事。現在は日本在住。

    人間の能力そのものを拡張させるテクノロジー「ヒューマンオーグメンテーション」のコンセプトに惹かれ、その界隈の動向に強い関心を持っています。その中で実用化フェーズにあるVR/MRの盛り上がりをより広い範囲へわかりやすく伝えていきたいと思っています。

    Twitter:@atupon

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