【体験レポ】グーグルの一体型VRヘッドセット プロトタイプで既に安定した位置トラッキングを実現

5月17日から19日まで行われたGoogle I/Oにおいて、スマートフォンを必要としない一体型のVRヘッドセットをHTC及びLenovoと共同で開発していることが発表されました。発表されたヘッドセットは開発中ですが、初期のプロトタイプ版をRoad to VRの記者が体験し、そのレポートが公開されました。

グーグルは2年前から一体型のVRヘッドセットを検討中

今回体験したグーグルの一体型VRヘッドセットのプロトタイプは、内部で1年ほど前に試作されたものです。グーグルの担当者は、「ディスプレイを含む表示部分は2年前から検討しているが、このプロトタイプのレイテンシー(遅延)はまた改善する必要があり、フレーム落ちもあるかもしれない」と話していました。

デモを体験する会議室には、直径が約3mの大きな丸いカーペットが2つありました。その中心には黒いPSVRのような形をしたプロトタイプのヘッドセットが置いてありました。頭に装着し、後ろのつまみでストラップを締めると快適に装着できました。レンズの形状はHTC Viveのようなフレネルレンズを使っていること以外は、PSVRに似た形になっていました。また、ヘッドセットには視線トラッキング用のハードウェアが搭載されていましたが、グーグルの担当者はその機能について詳細は述べませんでした。従って、最終製品に視線トラッキング機能が搭載されるかは不明なままでした。下図はQualcommのリファレンスVRヘッドセットですが、レンズの見た目はこれによく似ていました。

非常に安定したトラッキングを実現する「World Sense」

ヘッドセットを被ると、半透明のクラゲが浮いている水中にいるシーンが映り、時々ウミガメが泳いでいるデモでした。グーグルはヘッドセットの仕様についてもあまり詳細に述べませんでしたが、視野はPSVRと同等の水平100度程度だと思われ、スマートフォンをヘッドセットに差し込んで使用するDaydream Viewよりも視野角は改善されています。

Daydream Viewと大きく異なる点として、グーグルが新たに発表した「WorldSense」と呼ばれるインサイド・アウト方式のトラッキング機能が利用でき、外部センサー無しで位置トラッキングを実現しています。

デモ体験では、丸いカーペットの中で快適に歩き回れました。周囲に浮かぶクラゲに近づくようにカーペットの端に足を踏み入れると、画面が黒くなり、体験エリアを離れようとしていることを知らせました。性能的にはカーペットよりも広い範囲で位置トラッキングができるかもしれませんが、ある部屋内でのトラッキングを想定しているようです。

デモは5分程度しか体験しませんでしたが、トラッキングの正確さとレイテンシーの少なさは非常に感動しました。少なくとも動き回ってコンテンツを見ているような比較的ゆっくりとした動きのケースではとても上手くトラッキングできており、HTC Viveと同等の(高い)トラッキング品質だと感じました。しかし、デモは近くに制止しているようなオブジェクトがなかったため、ジッターは正確に評価できませんでした。

WorldSenseはTangoチームとの合作

インサイド・アウト方式のトラッキングを実現するために、社内でTangoを開発しているチームに一体型のVRヘッドセットに最適化したトラッキングシステムを開発するように依頼した結果がWorldSenseだということでした。プロトタイプのヘッドセットは、2つの前向きのカメラと通常のオンボードIMUが搭載されていました。Tangoで採用していた深度センサーは使っていないことを確認しました。

試しに、2台のカメラを手で隠したりしましたが、破綻せずにうまくトラッキングしていました。グーグルの担当者は、いずれかのカメラが障害物に遮られたりする際は、単眼モードでも動作すると説明していましたが、基本的には2台のカメラでトラッキングを行っているとのことでした。また、床から30cm位の地点で頭を真下に向けて視界が床で埋まるようにしてみましたが、安定してトラッキングしていました。

体験エリアは事前にマッピングなどの前処理は行っておらず、体験時に初めてマッピングを行っていると説明されました。従って、同じ場所で繰り返し使っていくとよりトラッキングの品質が良くなると述べていました。

1年前のプロトタイプでも安定したVR体験ができるグーグルの一体型VRヘッドセット 今後さらに完成度を高めて登場か

1年前のデバイスでも一体型のDaydream VRヘッドセットのプロトタイプはとても良く動いていました。ここから最新のAndroid O(VR用にさらに最適化が進んでいる)へのアップデートや、ハードウェアの刷新(Qualcomm Snapdragon 835など)があることからさらに良くなっていることは間違いなく、一般への発売が望まれます。

(参考)
Hands-on: Google’s Standalone Daydream Headset Prototype with WorldSense Tracking – (英語)
http://www.roadtovr.com/hands-googles-standalone-daydream-headset-prototype-worldsence-tracking/

MoguraVRはRoad to VRとパートナーシップを結んでいます。

 

この記事を書いた人

  • あつぽん

    日本でMRシステムの開発に携わった後アメリカへ渡り、VR/MRシステムを企業へ導入するための検討・開発に従事。現在は日本在住。

    人間の能力そのものを拡張させるテクノロジー「ヒューマンオーグメンテーション」のコンセプトに惹かれ、その界隈の動向に強い関心を持っています。その中で実用化フェーズにあるVR/MRの盛り上がりをより広い範囲へわかりやすく伝えていきたいと思っています。

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