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AR/MR 2024.03.27

ハンドトラッキング&6DoFで空間コンピューティングの世界に迫る「XREAL Air 2 Ultra」

今までに35万台のARグラスを出荷し、グローバル規模で高いシェアを誇るXREAL。最新モデルである「XREAL Air 2 Ultra」が日本で発表されました。販売価格は9万9800円です。現在予約を受け付けていますが、3月31日までの注文分は5月末までに出荷することになるほど、世界中から注文が殺到しているそうです。

名称からすると昨年より発売されている「XREAL Air 2/XREAL Air 2 Pro」のアップデート版と感じますが、ハードウェアとしてのスペックは別物です。生まれ変わった存在だ、といっても過言ではないでしょう。

80gのなかに3Dセンサーも6DoFも組み込んだ

XREAL Air 2 Ultraは、1920×1080ピクセルの解像度を持つソニーセミコンダクタソリューション製0.68インチOLEDマイクロディスプレイを2枚搭載したARグラスです。

視野角は52度で、輝度は2Dモード30-500nits・3Dモード20-250nits、リフレッシュレートは2Dモード最大120Hz・3Dモード最大90Hzです。ヨロイ(グラスフレームの両端部)にデュアル3D小型環境SLAMセンサーを内蔵。デプスメッシュ(※奥行き検出に利用する機能)
、平面検出、画像追跡として使うほかに、ハンドトラッキングによる操作を可能としました(録画/写真撮影は未サポート)。

モーションセンサーも3DoFから6DoFへアップデート。ヘッドトラッキングだけではなく、空間アンカー機能を使うことでグラス内に表示している仮想ディスプレイや3Dオブジェクトを回り込むようにして見ることができます。

「XREAL Air 2 Pro」と同様に、3段エレクトロクロミック調光機能も備えています。現実空間を見通すことも、遮光して没入感を高めることもできます。2機ずつ内蔵されたスピーカー、マイクも既存モデルと同じ仕様かもしれません。

「XREAL Air 2 Ultra」と接続できるデバイスはAndroid、iPhone、iPad、Windows、macOS、Steam Deck、ROG Ally。接続コネクタはUSB Type-Cで、Display Portに対応しています。またオプションのXREAL Beamを使うことで、HDMI入力にも対応。ニンテンドーSwitchなどのゲーム機とも接続できます。

MacBookシリーズとの接続においては、Nebula for Mac Betaアプリを使うことで3画面の仮想ディスプレイを表示できます。すぐに、モバイルディスプレイとして使える環境が整っています。

重量は80g。「XREAL Air 2」の79g、「XREAL Air 2 Pro」の75gよりはわずかに重くなりましたが、機能・性能の向上を考えるとむしろ数グラムの増量で済んだことに驚きます。

軽量なパッケージを実現したのは、チタンフレームのおかげとのこと。目に入る範囲でもリムやヒンジにチタンが使われていることがわかります。

チタンフレームをエクステリアデザインに活かしたことで、良く言えばクラシカル、悪く言えばやや野暮ったかったフレームデザインが改善されました。「XREAL Air 2 Ultra」のほうが普遍的なファッションと合わせやすいでしょう。

従来のARグラスはウェアラブルなディスプレイという印象が強いデバイスでした。歩きスマホをしなくても情報を確認できる、移動中に溜め込んだNetflixやAmazonプライムの映画やドラマ、アニメを周囲に気兼ねなく見ることができるといったユースケースがフォーカスされてきました。

しかし「XREAL Air 2 Ultra」は、アップルが提唱した空間コンピューティングの軸となる要素を取り入れてきました。XREALは「XREAL Air 2 Ultra」を開発者向け機材としてアピールしていますが、Apple Vision Proに興味を抱いているエンジニアやアプリベンダーに、アップル以外の選択肢があることを伝えようとしているのでしょう。

空間コンピューティングをローコストで体験できるデバイスに

実際に「XREAL Air 2 Ultra」を装着すると、AR表示される様々なウィンドウやウィジェットが目に入ってきました。とはいえApple Vision ProやMeta Quest 3のようなMRヘッドセットと比べると視野は狭く、目線を動かしただけでは複数のウィンドウを見て確認することはできません。

それでも、従来のARグラスと比較すると視野は良好です。視野角46度だったXREAL Air 2/XREAL Air 2 Proよりは視界が広くなりましたし、フルHDの解像度であっても表示エリアが限られているぶん鮮鋭感も維持しています。細かい文字も見やすく、ビジネス系アプリも快適に使えそうだと感じます。

ただし、ハンドトラッキングはいま一歩の精度ですね。デュアル3D小型環境SLAMセンサーはやや下向きにセットされているとはいえ、ある程度腕を上げて操作しないと認識してくれません。Apple Vision Proのように、座った状態で膝の上に手を置いていたとしても操作できるくらいの認識力はほしかったところ。

とはいっても、10万円を切る光学シースルー型ARデバイスでハンドトラッキングができる楽しさ、面白さは想像以上のものでした。現実空間が歪まず、いくら頭を振っても無遅延で見え続けるなか、コントローラの類を持たずジェスチャーで操作できる感覚が得られるのですから。

だからこそ、ファームウェアのアップデートでハンドトラッキング精度を改善してくれることを期待したいところです。

好みのカラーに仕立て直せるカスタムスキンにも期待

ところで「XREAL Air 2 Ultra」の発表会は、XREAL Airシリーズを用いたファッションショーから始まりました。この記事内で「XREAL Air 2/XREAL Air 2 Pro」のことを「悪く言えばやや野暮ったかったフレームデザイン」と記しましたが、フレームを彩れるXREAL Kaleido Kit(カスタムスキン)を使うことでファッショナブルな雰囲気に変身しました。

こういったカスタムスキンもXREAL Air 2 Ultra用に販売してくれないか、とも期待したくなりますね。


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