11月6日、産業用スマートグラス/ARグラスメーカーの米Vuzixは、ARグラスの前方から光が漏れないようにする新技術「Vuzix INCOGNITO」を発表しました。この技術を採用することで、ARグラス利用者のプライバシー保護や省エネルギーにつながります。Vuzixは新技術で改良した部品の生産を開始し、自社製品に搭載します。
(左が従来の導光板採用、右側が「INCOGNITO」採用。「外から見た際に、ARグラスをつけている人が何を見ているか」等が分かりにくくなる。出所:Vuzix)
ARグラスの「光漏れ」を解消する技術
「Magic Leap 2」や「HoloLens 2」「Nreal Air 2」といった、「光学シースルー型」と呼ばれるのARグラスやMRデバイスでは、バーチャルオブジェクトを見やすく表示するため、輝度の高いディスプレイ/光学エンジンを採用するケースが多々あります。しかし、多くの場合はARグラスの前方に「光漏れ」が発生するという課題がありました。「光漏れ」はエネルギーのロスが発生するだけでなく、現実空間で話している相手とのコミュニケーションを阻害する可能性があります。さらにプライバシー面での問題や、軍事利用における隠密性の問題が生じます。
(光漏れによりARグラス使用者の視線が遮断されてしまい、話している相手等から表情が読み取れなくなる例。Vuzix以外にも、DigiLensなど複数のメーカーが対策を研究・開発している。出所:DigiLens)
「Vuzix INCOGNITO」は、ARグラスで採用されている導光板内部の光の反射を制御し、光漏れを最小限に抑えています。これにより、ARグラスの使用者が何を見ているか周囲から分かりにくくするほか、従来より低い光量でも、バーチャルオブジェクトが現実空間の明るさに埋もれにくくなりました。
同社は「新たな導光板は製造コストを増加させずに実現できる」として、防衛産業、製造業、法人向けソリューションなどの分野で技術導入を進めるとしています。将来的には消費者向けアプリケーションへの導入も目指すとのことです。
(参考)Vuzix