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活用事例 2015.03.30

「VRの中で歩く」ための挑戦と課題。新たに2つのデバイスがKickstarterで支援募集中

現時点では、VRで歩くためにはコントローラーのスティックで操作するなどの、いわゆるゲームの操作方法しかありません。せっかくなら手をフリーにして移動したいものです。そこで「VRの中で歩く」ための周辺機器が複数開発されています。

Ocuus Riftの登場以降、まず登場したのがルームランナーのような大型の歩行用コントローラー『Virtux Omni』です。専用の靴を履き、ハーネスで身体を固定して使用します。2013年7月にKickstarterを行い、目標金額15万ドル(約1500万円)を大幅に上回る110万ドル(約1億1000万円)の支援を集めました。現在製品版につながる最終デザインを確定したということで2015年夏頃には出荷の見込みです。

image013月のGDC2015で展示されていた『Virtux Omni』製品版直前のバージョン。

また、2014年6月にはOmniと似ていますが、専用の靴が不要でジャンプやしゃがむなどの動きも可能な『Virtualizer』が登場し、こちらも目標金額25万ドル(約3000万円)を上回る36万ドル(約4000万円強)を集めきりました。こちらも2015年8月に出荷の見込みです。

image002014年9月の東京ゲームショウで展示されていた『Virtualizer』

「VRの中で歩く」というと、この2つの機器が注目を集めていましたが、いずれも数十キロに及ぶ大型の機器で、手軽に使えるとは言えません。家に設置するにはかなりの覚悟が必要でしょう。

今回、新たに『STOMPZ』、『Gournd Control』という2つの手軽なデバイスがKickstarterで支援を募集しています。この2つの機器は足に取り付けるタイプのデバイスになっています。

STOMPZ

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『STOMPZ』は足の甲に装着する非常に軽量で小型のデバイスです。3月にサンフランシスコで開催されたVR Mixerで筆者も体験しましたが、装着している感覚はほとんどありません。

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『STOMPZ』を装着した状態で足を持ち上げるとそれを認識し前進可能です。また、回転することで方向も変えることができます。歩くというよりは軽く足踏みをするという動きになりますが、実際に歩いている感覚に近くなります。

課題としては、足を動かした感覚と実際に動く距離だったり前進するときの動きが必ずしも現実と一致しないため違和感が大きくなります。人間が実際に歩いている時は、決して一歩歩いて止まっているわけではなくスムーズに連続して動いています。しかしVRで歩くときに、一歩一歩をバラバラに入力してしまうと一歩動いた後、一瞬でも動作が止まる瞬間が発生してしまうため、不自然に感じてしまいます。
先ほど紹介したVirtualizerの開発者は、動きをスムーズに滑らかに入力するためのソフトウェアを開発していると述べており、自然な歩行を可能にするための工夫が見られます。

支援の募集は、4月11日まで、目標金額は10万ドル(約1200万円)です。製品は95ドル以上の支援者に送られます。

Kickstarter
https://www.kickstarter.com/projects/stompz/stompz-the-world-of-virtual-reality-at-your-feet/description

Ground Zero

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「Gournd Control」はペダル型のデバイスです。立ったまま上に乗って歩くのではなく、座った状態で足を乗せて傾かせるという仕組みになっています。足で操作するジョイスティックのような仕組みで、傾ける角度によって移動スピードが、傾ける方向によって移動する方向が変わります。

課題としては、向きを変えたいときに、頭の向きと足の向きをどのように一致させるのだろうかという疑問が残りますが、移動のために手を使わなくていいという点では便利なのかもしれません。

支援の募集は4月23日まで、目標金額は25万カナダドル(約2360万円)です。製品が送られてくるのは、210カナダドル(約2万円)以上です。

Kickstarter
https://www.kickstarter.com/projects/260847652/ground-control-get-your-feet-in-the-game

現在開発中の4つのデバイスを紹介しましたが、いずれもまだVRの中で歩くためのデバイスとしては一長一短です。腕の動きに関しては、ただ動きを物理的に認識するだけでなく、アームバンド型デバイス『Myo』のように筋電を利用した装置も登場しています。足の動きに関しても、他にも新たなデバイスが登場することが期待されます。

Written by 久保田瞬(すんくぼ)

(参考)
Virtux Omni(英語)
http://www.virtuix.com/

Virtualizer(英語)
http://cyberith.com/product/

STOMPZ(英語)
http://www.stompzvr.com/

Ground Control(英語)
http://vrgroundcontrol.com/


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