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話題 2021.12.04

サンリオがバーチャルライブに徹底的にこだわった理由とは? 制作チームにインタビュー

12月11日~12日の2日間にかけて開催されるSANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland。特設ワールド「バーチャルサンリオピューロランド」は、合計5フロアにも及ぶ広大かつ高クオリティなバーチャルワールドとなっており、ライブ開催前から早くも多くの訪問者を集めています。

本記事では、なぜサンリオがバーチャルライブを決行することになったのか、そしてバーチャル空間にどのようなこだわりを発揮したのかを、サンリオエンターテインメント佐藤哲さん、サンリオ町田雄史さん、Gugenka代表の三上昌史さん、異次元TOKYO篠田利隆さんにお聞きしました。

新しいテーマパークのあり方を探るために

――まず、今回のプロジェクトの企画の経緯を教えてください。

町田:

元々このXR関連事業に注力する前より、「SHOW BY ROCK!!」でバーチャルライブやバーチャル握手会を行ったり、サンリオピューロランド(以下ピューロランド)ではオンライングリーティングを行ったり、またNTTドコモ様と、MRアトラクションを作ったり、チャレンジ自体は行ってきていました。
コロナ禍で、キャラクターや人に会えない、イベントやライブに参加しても声が出せない、ということが続いて、それがニューノーマルになってきて、その中でサンリオが「エンターテイメント企業として新しいものをどうやってファンの皆さんに見せていくか」そして未来の事業として築いていくか、考えた時にこのバーチャル事業に行きつきました。事業化もまだこれからですが、バーチャルだからできること、サンリオだからできることにフォーカスして、段階的に中長期で推し進めていこうとメンバーを集めプロジェクトを立ち上げました。その選択の一つが音楽フェスでした。

佐藤:

「リアルのピューロランドとバーチャルな世界を共存させて、その境界線をなくしていきたい」という思いはコロナ禍以前からありました。
もともと、ピューロランドでもアーティストの方を呼んでイベントを開催していたので、今回も皆さんのお力を借りつつ、その一歩目を踏み出せたらと考えています。皆さんと協力しながら、新しいテーマパークやコンテンツのあり方を探っていくためのプロジェクトですね。


(写真左: サンリオエンターテインメントの佐藤哲さん。 写真右: サンリオの町田雄史さん。取材当日は本イベントのオリジナルアバター「Mochipoly(モチポリ)」で)

――今回のコロナ禍を経て、サンリオさんが「バーチャルなもの」をより推進する状況になったとも考えられそうですね。具体的な構想はいつごろからスタートしていたのでしょうか?

佐藤:

今回の件で篠田さんにお声がけしたのが2020年の12月11日だったんですよ。その手前、2020年2月くらいにはプロジェクトチームが発足していて、半年ほどかけてアイディア出しをしていました。しかし「あれもやりたい」「これもやってみたい」と考えていたら……正直に話すと、僕らもどういった方法が正解なのか悩んでしまいまして。サンリオで過去お付き合いのあったGugenkaの三上さんに相談しつつ、いろいろな企業さんとコンタクトを取っていたのですが、そのたびに「何が正解なのだろうか」「どうしたら良いものになるだろうか」と……。

――アイデアはたくさん浮かぶものの、具体的なものに落とし込むのが難しかったと。

佐藤:

チーム内の結論としては、最終地点の想定は立てたものの、経験を積む必要があると感じたのと結果的には、個別のプロジェクトを進める中でノウハウやアセットを獲得しつつ、これからの展開の仕方を起動修正していこうと。もともと僕は毎年、ピューロランドでオールナイトの音楽フェスをやっておりまして、「リアルなピューロランドをバーチャル空間に再現して行われるエンターテインメントの第一弾としては、コミュニケーションも取れる音楽フェスがいいんじゃないか?」という結論に至りました。

とはいえ、プロジェクト立ち上げ当初の僕らはバーチャルの「バ」の字もわからない状態でした。チームでVRヘッドセットやゲーミングPCを買って、いろんなバーチャルイベントに参加して学ぶことでスタート地点に立てたという印象です。

三上:

今だからこそ言える話ですが、あの頃はVR空間で合流するのも一苦労でしたよね(笑)

佐藤:

ホントにそうです(笑)

「混ぜるな危険」をあえて生み出す

――今回のイベントには0b4k3さんやAMOKAさん、キヌさんなど、VRChatを中心に活躍しているクリエイターさんたちも数多く出演されていますよね。この選出の意図についてお聞かせください。 (※インタビューが行われたのは11月上旬)

佐藤:

特にいま挙げていただいた方々については、総合演出をお願いした篠田さんのご協力があったからこそ出演が決まった部分も大きいです。いろいろと教えてもらいながら、0b4k3さんたちともつなげていただいた、という。

少し話が逸れますが、篠田さんと僕は同い年、かつお互いに「学生時代をずっと音楽好きとして過ごしてきた」という共通点がありまして。それゆえか、篠田さんの感性を完全に信じ切っている部分もあります。

篠田:

佐藤さんからお声がけいただいた際、「『ピューロランドの地下にVR空間がある』という設定で考えてほしい」というところから話がスタートしていて。それが自分のなかで、つくしあきひと先生の「メイドインアビス」のイメージと結びつきました。地下に行くにしたがってどんどん負荷が上がる、ハードルが上がる……言い換えると「潜るほどマニアックになっていく」ような構造にしたかったんです。


(異次元TOKYOの映像監督、篠田利隆さん。今回のイベントでは総合演出を担当。普段からVRChatに入り浸るコアなVRユーザーでもある)

もちろん、今回のフェスは様々なアーティストやクリエイターの参加する大きなイベントです。VRをやったことのない人も楽しめるようにきちんと考えなくてはいけません。ただそのなかでも、VRがすごく好きで普段からそこにいる人たちにこそ「おもしろそう」と感じてもらわないと、それ以外の人のところにもなかなか届かないんじゃないかと思いまして。一般層でも楽しめるアーティストが多く出演する上層部のフロアから、下へ向かってどんどんVR寄りになっていくような構造を考えたときに、やはり最深部の地下5階はいちばんの「深淵」で遊んでいる人たちがいいかなと。0b4k3さんに声をかけさせていただいたのはそういう理由です。

一方でAMOKAさんは曲もポップですし、VRChatで過ごしながらVTuber的な活動もされているので、バーチャルアーティストと同じフロアに出てもらうのがおもしろいかなと。VRカルチャーとVTuberカルチャーは別ジャンルのようなイメージもありますが、VR上のクラブではVTuberの曲も人気ですし、AMOKAさんはその両者をコネクトできるアーティストなんじゃないかな、という意図ですね。

キヌさんもVTuberとして活動されていますが、空間を利用したパーティクルライブの演出がすごく得意な方です。キヌさん自身もかわいらしい姿ですし、自分のことを「野生の蚕」であるという方ですから、サンリオのキャラクターと一緒に出てもおもしろいんじゃないかなと思いまして。一番自由なフロアであり、さまざまなVR体験も用意しているB4で、「ライブ」というよりも「体験」を提供していただければと思い、キヌさんにお願いしました。

――フロアによってはっきりと特色が分かれた形になっているわけですね。下に行けば行くほどアンダーグラウンド感が出てくる仕組みに。

篠田:

そういえばイベントの発表当時、Twitterにおもしろい呟きがありまして。「とうとう0b4k3さんたち『GHOSTCLUB』がメジャーに!?」とツイートした人が、しばらくして「よく見たら結局B5で、まだまだアンダーグラウンドですね」と。なんだか「あっ、そ、そうなんです……」みたいな気分に(笑)。

三上:

キャスティングに対しての反応は良かったですね。

佐藤:

キャスティングの流れは、ピューロランドのメロディフェアさんと一緒にやっているオールナイトイベントでのやり方を踏襲しています。そちらでは大御所からエッジの効いた若手アーティストまでごちゃまぜにラインナップしているので、そこでの経験値が活きているところはあるかもしれません。ただ今回はバーチャル上のイベントなので、「ネット発のアーティスト」は強く意識しています。

ラインナップが出たとき、あまりに想定内だとつまらないと思うんですよね。そこは意識して作っていかないといけないな、と……なんて言うんですかね、「混ぜるな危険」ではないですが、そんな感じのイメージを持っています(笑)。

篠田:

キャスティングについては、僕は0b4k3さんをはじめとするVR系の人たちを、佐藤さんたちはリアルアーティストを、という形だったのですが、VTuberについては異次元TOKYOのもう1人のプロデューサーと佐藤さんが相談したうえでお声がけしています。ただ、オタクカルチャー全般において「混ぜるな危険」は結構ありまして。過去にいろいろな「混ぜるな危険」があったなかで、さっき佐藤さんが仰っていたネットカルチャーを軸にしたバランスの取り方は、相当時間をかけて話し合いました。

佐藤:

めちゃくちゃ話し合いました(笑)。キャスティングをするのはやっぱり楽しいんですけどね。一番ワクワクしながら仕事をしている部分ですし、篠田さんとそういう話をするのは楽しかったです。

もともとはさっき篠田さんがおっしゃったように、僕が「ピューロランドの下に地下空間を作りたい」という漠然としたイメージをお話したのですが……。

篠田:

佐藤さんの「地下空間」は、僕のなかでは「メイドインアビス」として解釈されたっていう(笑)。

佐藤:

僕のイメージから篠田さんがレイヤーを分けて、しっかりと「エンターテインメント」にしてくれたわけです。そういう作業はやっぱりすごくおもしろいですよね。いろいろな人が携わって、ひとつのアイデアが良い方向にどんどんブラッシュアップされながら、形を変えて進んでいくのは。エンターテインメントの醍醐味というか、この仕事の楽しさや喜びに直結する部分ですね。

「世界で通用するイベント」には演出家が必要

――これまでの体験取材なども通して、今回のバーチャルライブの企画は非常に練り込まれたものである、「なんとなくやりました」ではなくきっちりと詰めて作られているように思います。

三上:

準備期間が長かったというのもありますが、「バズワードに引っ張られてなんとなくやりました」ではなく「僕らはどうあるべきか」を深く考えたイベントになっているとは自負しています。


(写真左:Gugenka代表の三上昌史さん。今回のプロジェクトでは、Gugenkaがワールド、アバターやデジタル商品の制作を担当している)

佐藤:

このあたりは設計は三上さんや篠田さんにアドバイスをもらいながら構築しています。

三上:

もともとサンリオさんからの要望が「世界で通用するようなイベント」だったので、ユーザー数や熱量、自由度といった要素が最も高いと思われるVRChatをメイン会場に選びました。かつ、GugenkaとしてはVRChatさんの公式パートナーという部分もありまして。これだけ大型の有料イベントはこれまでVRChatでも多分なかったと思いますが、VRChatさん側もすごく協力的で、楽しみにしてくださっています。

篠田:

三上さんはVR空間でいろいろなことをやっているプロで、サンリオさんはエンターテインメントのプロだと思うのですが……一方の僕自身は、VRに関してはただのユーザーというか「VRChatでただ遊んでる人」みたいな立ち位置だったので、三上さんや佐藤さんたちに声をかけてもらったときも、最初は「僕で大丈夫ですかね……?」と思っていました(笑)。

「Unityで自分のアバターはめっちゃ改変するけど、そういうことしかやってない人間ですけど……」と恐縮していたのですが、三上さんに「作っている側じゃない人の発想を入れたい」ということでお声がけいただいて。VRChatでいろいろ体験したことを欲張って提案しているので、逆に三上さんたちには大変な思いをさせてしまっているんじゃないか、という心配もあります(笑)。

佐藤:

当初の僕は「サンリオとしては、Gugenkaさんと一緒に作っていけばいいんだ!」という感覚を勝手に持っていたのですが、三上さんがしきりに「演出家が欲しいんです」と言うんですよ。

三上:

そうですね(笑)。

佐藤:

Gugenkaさんはこれまでも多くのプロジェクトに携わっているから、今回も演出をお願いできればとずーっと思っていたのですが。三上さんがしきりに「演出家が必要なんです!」というお話をされていたところに、僕とFacebookで友達だった篠田さんがしょっちゅうGHOSTCLUBに行っている様子が目に入ったんですよ。「篠田さん、いっつも楽しそうなクラブで遊んでるなあ」と思って。聞いてみると、三上さんも篠田さんのことをご存知だったんです。

篠田:

過去に東雲めぐさんのMVなどでご一緒したことがありまして、その縁ですね。

佐藤:

それで、冒頭にお話した2020年の12月11日に篠田さんに連絡した、という流れですね。

篠田:

当時の僕は、プラットフォームのなかでも特に「VRChat大好き!」と言っていた頃で。VRChatを始めてちょうど1年くらい経ったタイミングで、やっとUnityの使い方もわかって……いや、わかっていませんけど。「わかった」なんて言えない(笑)。 ともかくそんなVR熱が最高潮のときに相談が来たので、いいのかなと思いつつも「やります! やります!」と。

佐藤:

実際、そのときの篠田さんの返信を見るとおもしろくて。「今、頭の中、ほぼバーチャルです」って言ってますね。

篠田:

正直恥ずかしいです(笑)。

――これだけ大規模なイベントになると、実現に際しては非常に苦労されたのではないかと思います。

三上:

大変といえば、今回はVRChatをやっていない方たちも参加されると思うんですよ。バーチャル空間に行って、イベントに参加して、アバターを着替えて……という一連の流れを、初めてVRChatへログインする人に説明するのが難しくて。自分たちが慣れてしまっているがゆえに見落としている説明などがないかどうかは、一番苦労するポイントになりそうな気がしますね。

――SPWNなどのプラットフォームもライブ鑑賞のために導入されていますが、これもさまざまな環境のユーザーを想定してのことでしょうか?

佐藤:

その点はスタートの時点から決めていました。体感値は違うにせよ、「どのデバイスでも楽しめるようにしてほしい」というのは、初期の段階からGugenkaさんにリクエストを出していましたね。それぞれのアクセス方法でどのプラットフォームを使うかは、当初の計画と変わっている部分もありますが。それでもやはり、海外のお客さまも含めて、いろいろな層の方が楽しんで見られること。最高なのは、すべてのプラットフォームでコミュニケーションができること。そのような当初のイメージとのズレはないですね。

三上:

現在はイベントを開催できるプラットフォームもすごく増えてはいるのですが、選ぶならやはりその空間を愛している人たちがたくさんいる場所のほうがいいのではないか、と。そして重視するポイントとしては、バーチャルイベントとしての質の高さ。スマートフォンの小さな画面でスマホゲーム的な表現をするよりは、やはりVRだからこそできる演出を考えて、「VRヘッドセットをかぶって没入してもらう」という映像体験を本当は味わってほしくて。ただ、それを見られない方々も当然いるので、篠田さんたちにしっかりとディレクションしてもらいつつ、映像としても楽しめる場所を用意している。今回はそのような分け方をしています。中途半端に分けるのではなく、「最高峰のバーチャル空間あって、そこからの映像がスマートフォンへ配信される。リアル世界と同じように両方の手段を用意している」という感じですかね。

新しい「サンリオらしさ」を作り上げていく

――今回のバーチャルライブの会場では「サンリオらしさ」といった雰囲気を感じられたのですが、こういった部分の演出はどのようになされたのでしょうか?

三上:

「演出」が必要だと感じたのは、まさにその点が理由です。僕らはこれまでに数々のバーチャル空間のイベントに携わってきたからこそ、先ほどの「映像」と「バーチャル空間」という参加方法を考えたときに、それぞれのディレクションをする方が必要だと思っていました。

篠田:

自分が特に意識したのは、「サンリオキャラクターのかわいらしさやファンタジー要素を、フロアごとにどのように再現するか」という部分ですね。と同時に、全体の流れとして「どんどん地下に進んでいく」感じも盛り込みながら。

サンリオのアトラクションに入った感覚が一番強いのは、バッドばつ丸くんに迎えてもらえるB1のチュートリアルフロア。B1とエントランスはエレベーターで移動できるようになっていますが、これはポータルを使ってワールドを移動することなく、「バーチャルサンリオピューロランドの地下のフェス会場に入った」という実感を得られるようにしています。

B2は、夜のファンタジックなピューロランドのイメージ。佐藤さんたちが夜のピューロランドで開催していた、オールナイトのイベントのイメージも踏まえています。そういった部分に加えて、リアルアーティストが出演するフロアでもあるので、サンリオさんらしさは強めですね。

B3から徐々に変わっていって、VTuberが出演するB3フロアはフューチャーなデジタルっぽい雰囲気。一方のB4は、くつろげるスペースでサンリオキャラクターズが出演するフロアということもあり、サンリオらしい雰囲気があります。

B5は地下深くの作り途中のクラブになっていて、0b4k3さんが僕の「地下へ進んでいく」という話を聞いて考えてくださった、「工事中」というコンセプトがあります。0b4k3さんたちが作るアンダーグラウンドな雰囲気と演出はキープしつつも、ちゃんとピューロランドにも紐づけて考えてくれました。

――ファンシーさやかわいさの振り分け方を考えつつ、全体の深さとも連動しているわけですね。

篠田:

当初はもっとサンリオ感を強めに出そうと考えていたのですが、そもそも「音楽イベントを作りたい」というお話だったので。最初から「サンリオさんによる音楽フェスティバル」という、リアルのフェスに近い音楽寄りのイベントとして考えていた部分はあるかもしれません。これまでのピューロランドのイベントを拝見しても、出演されているアーティストの方々の中にはサブカルチャー色の強い方もいらっしゃいますし、他コンテンツのコラボでもオタクカルチャーと接近することもあったりと、サンリオ自体が非常にオールラウンダー的な存在なんですよね。キティちゃんが本当に万能だからこそ、今回のプロジェクトもうまく企画できたのではないかと。

佐藤:

僕らサンリオ側としても、特に僕が自分自身で企画する際には、企画自体にひとつの「歪み」ではありませんが、「今までとは違った見え方や新しさがあるかどうか」を重要視しています。

今回、篠田さんと三上さんに相談させてもらったときにも、「バーチャル空間のピューロランドに地下を作る」「そこで音楽フェスをやる」といった大枠のところはサンリオ側で考えたものになります。しかし、そこから先は割と自由にしておく必要がある。変に「サンリオだからこうですよね」「かわいくしなきゃ」としてしまうと、やはり想定内のものになってしまうこともありえますから。基本的には大枠を外れなければ、僕らとしてはOKかなと考えていましたね。

――サンリオファンにも、そしてVRユーザーにも届くようなものを制作する苦労もあったのではないでしょうか?

佐藤:

設計の苦労はありますね。サンリオファンやピューロランドファンの方々は、やはりまだデジタルとは遠い場所にいるようにも感じていて。その距離感をどのように埋めていくのかは、今後クリアしていく必要のある課題だと思っています。今回で言えば、まさにさっき我々が体験した「お、ピューロに来たんだ!」という感動を創出していく重要さを感じています。ただ一方で、サンリオファンやピューロランドファンと、既存のバーチャルファンには共通する部分があるとも思っています。

だから、そこは逆にクロスオーバーさせるような形にすることで、それぞれのファンの方々に入ってきてほしいと感じています。そのためにはやはり、今後ますます活躍していくであろうクリエイターの方々に、逆にサンリオ側が引っ張っていってもらいたいと思っています。新しいカルチャーと既存のカルチャーを、もっとゴチャ混ぜにしていきたい。そのなかからサンリオらしさやピューロランドらしさ、新しいカルチャーを創出していきたいと思っています。

――今後も新しい「サンリオらしさ」が生み出されていくわけですね。

佐藤:

そうですね。サンリオはコミュニケーションを大切にしている企業であり、ピューロランドも新しいコミュニケーションの形態を生み出すエンターテインメントパークとして成長していこうという方向性なので、そういった部分を意識しながら、常に新しいことも発信していきたいですね。その結果、「新しいエンターテインメント、カルチャー、コミュニケーションがサンリオから発信されている」ということが世の中にも認知されると、なお良いのかなと思います。

――今こうしてサラッと話されていますが、実践するのはとても大変なことだとお察しします。だからこそ、新しいエンターテイメントの創出に挑戦し続けているサンリオの姿勢には素直に驚かされます。

篠田:

その気持ち、わかります。僕もプレゼンをしながら、「コレ通るんだ!」と毎回驚かされていますので。最後にキャスティングしたのはたしかキヌさんだったと思うのですが、「すごくおもしろい人がいるんですよ」とキヌさんの映像を見せたときに「これこそVRじゃないですか!」という反応が返ってきて嬉しかった思い出があります。

佐藤:

覚えてます(笑)。映像を見せていただいて「うお〜! かっこいい!」と思って、「ぜひお願いします!!」と(笑)。

「サンリオピューロランド」に来た感覚を楽しんでほしい

――あらためて、今回のバーチャル会場を初めて訪れるユーザーの方々に向けて、ぜひ見ていただきたいポイントはありますでしょうか?

佐藤:

今回の会場のなかでは、僕らも一番最初に入ったのがピューロランドのエントランスだったんですよ。僕はサンリオ側の人間なので、やっぱりチームメンバーで感動してしまって。なぜかリアルのピューロよりも美しく感じられて、テンションが上がりましたね。だからその「ピューロランドに来たんだ! この世界でも!」という感覚を持っていただきたいです。

――最初に目に入るエントランスの外観と、その中に踏み入ったときの感じを体験してほしい、と。

佐藤:

そこは本当に体験してほしいですね。

篠田:

どのフロアにもそれぞれ楽しみ方があるので、お答えするのが難しいのですが、どのカルチャーの人も楽しめるようにフロアを考えているので、逆に自分の趣味ではないフロアに行ってみるとおもしろいかもしれません。リアルだと自分の趣味にお金を出すだけで精一杯かもしれませんが、チケットさえ買っていただければ、趣味以外のところにもポンと行けるのがVRのおもしろさだと思うので。どのフロアもおすすめですが、そういった楽しみ方をしてもらえるといいなあと思います。

――ありがとうございます。今後の展開も非常に楽しみです。

佐藤:

ありがとうございます。このプロジェクトはアジャイル的にやっているので、音楽フェスの第二弾の開催については、正直に言えば今はまだわかりません。今回の反応と結果次第でしょうか。このの経験を元に、次はまったく違う見せ方にするかもしれません。

僕はピューロランドの人間ということもあり、リアルとバーチャルを行き来する新しいエンターテインメントを作っていきたいと思っています。そういった構想を持ちつつ、イベントが終わったら、またいろいろなことに着手していきたいですね。

©’21 SANRIO 著作(株)サンリオ

(了)


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