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話題 2022.09.04

2022年のヴェネチア国際映画祭にVR映画やVRChatワールドなどが多数ノミネート

8月31日、イタリアでヴェネチア国際映画祭が開幕しました。今年の同映画祭は。過去2年間とは異なり、今回は”対面形式”で実施。「Venice Immersive」として、VRやARのコンテンツをノミネートする部門も設けられています。

ノミネート作品抜粋

今回ノミネートされたXRコンテンツは43作品。そのうち30のプロジェクトが、審査員によって「最優秀体験賞」「大陪審賞」「特別審査員賞」に選出される作品が、それぞれ選ばれます。以下は主な作品の紹介となります。

OKAWARI

4人のユーザーが、居酒屋「おかわり」の(物理的および仮想)テーブルの1つに座って、さまざまな料理、サイドメニュー、飲み物を体験するというもの。それぞれの体験は完全にユニークなものとなり、内容は参加者の選択次第となります。

PEAKY BLINDERS: THE KING’S RANSOM

人気海外ドラマ「ピーキー・ブラインダーズ」を題材にしたVRコンテンツ。1920年代のイギリスを舞台にしており、原作のキャラクターも登場。プレイヤーは、物語がどのように展開されるかを見極めながら、破壊の瞬間、願いの実現、物語の陰謀、そして手に汗握るセットピースの中で自分の進むべき道を選びます。

SHIINEUI BANG [POET’S ROOM]

20世紀半ばの朝鮮の詩人、尹東柱(ユン・ドンジュ)を題材にした作品。尹東柱が生きた時代を、彼の詩の世界を通して理解するために制作されました。尹東柱の手書きの原稿を開くと、詩とともに彼の生涯が語られるという展開で、夢という文学的な装置によって、彼の願いを代弁し、彼の崇高な犠牲を記念することができると説明されています。

Typeman

日本人のVRアニメーション監督、伊東ケイスケさんが監督を担当するVRコンテンツ。「Typeman」は、メタバース空間でアクター(演者)がリアルタイムに実演する演劇型のコンテンツです。

「VRChat」がコンテンツ制作に使用されており、Typemanを演じるアクターと複数の体験者が一度にひとつのバーチャルワールドに入り、間近でアクターの実演を鑑賞したり、アクターと体験者がコミュニケーションをとったりしながらストーリーを楽しむ作品となっています。

DAZZLE: A RE-ASSEMBLY OF BODIES

パフォーマンス、バーチャルリアリティ、ファッションを組み合わせた多次元振付と没入型インスタレーション。20世紀初頭のダズル迷彩やヴォルティシズムの芸術作品に影響を受けており、VR向けのダンス演目によって、観客に仮想空間と物理空間への重層的な視点を提供します。

「VRChat」ワールドも特集

「Venice Immersive」では、「VRChat」のワールドもいくつかピックアップされ、ノミネートされています。

DISTRICT ROBOTO

「District Roboto」の舞台は、人が姿を消し、ロボットと猫だけが暮らしている街を描いたワールド。街に暮らすロボットたちは表情豊か。身振り手振りを交えて会話している個体もいれば、壁を背にたそがれている個体、酔いつぶれたように倒れ伏す個体など、いなくなった人間のように振る舞っているのが特長です。

同ワールドは、サイバーパンクな街を猫になって冒険するゲーム「Stray」にインスパイアされる形で制作されました。

CUE [ARCHIVE]

VRChatクラブワールド「GHOSTCLUB」の代表0b4k3(おばけ)氏のワールド。2022年1月22日に渋谷パルコで開催されたNEWVIEW FEST 2021で行われたXR Live「CUE」の「アーカイブ」となっています。

オリジナルの「CUE」は、0b4k3によるDJミックスとphi16による映像/照明パフォーマンスという、VRと現実の両領域を完全な同期で繋いだ45分間のオーディオビジュアル体験でした。

I N I T I U M ⁄⁄⁄ イニシャル

INITIUMは、宇宙のさまざまな転生にまつわる生命の誕生と死に関する物語を説明する環境ストーリーテリング装置である。このシーンでは、伝説の「知識の木」が残したとされる7本の苗木のうちの1本が発見され、それがきっかけで地球が津波の洪水に見舞われるという不思議な出来事が描かれます。

「VRChat」ドキュメントの上映も

ヴェネチア国際映画祭では、VRSNS「VRChat」で撮影されたドキュメンタリー「We Met in Virtual Reality」の上映も行われます。

本作は、新型コロナウイルスの流行に伴うロックダウン期間中の「VRChat」を描いた作品。恋愛関係や、VRを使ったメンタルヘルス不調への対処などが描かれます。2021年に制作が発表され、クラウドファンディングも実施されました。7月から、大手放送局HBOの配信サービス「HBO Max」で配信が開始されています。

(参考)ヴェネチア国際映画祭


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