東京大学大学院の廣瀬・谷川・鳴海研究室とUnityの簗瀬洋平氏が制作した、自分の足で無限に歩けるVRシステム『無限回廊 – Unlimited Corridor』を紹介した動画がYouTubeで公開されました。
『Unlimited Corridor』はRedirected walking(“視覚効果”を引き起こす技術)とVIsuo-Haptic Interaction(“触覚効果”を引き起こす技術)を組み合わせたシステムで、視触覚相互作用によって体験者の空間知覚を操作するものです。
Redirected walkingは、HTC ViveのようにVR世界を歩行できる体験の際に使用する技術。VRヘッドマウントディスプレイ(VRHMD)に映されるVR空間を微妙に回転させることで、HMDを被った体験者はVR空間を真っ直ぐに歩いているように感じているのに、現実世界では同じ円周上を延々と歩き回っているという技術です。狭い空間でも広大なVR空間上を歩き回ることができます。しかし、狭い空間といっても最低で半径にして22mかつ50m四方ほどの巨大な部屋を必要とします。
『Unlimited Corridor』ではこれに触覚を加えることで、7m×5mの空間さえあれば、体験者は無限に歩いていると錯覚を起こします。円形(直径5m)の壁に手を触れながら歩き回るというもので、さらに円形の壁の真ん中に通路を作ることで、直線的な歩行だけではなくなり、迷宮やダンジョンを歩いて探索するような体験も得ることができます。
左は現実の世界。右上はVR空間の世界で右下は現実世界にある壁とVR空間の関係性を表したものです。
実際は円形状の壁ですが、VRHMDを装着した体験者は真っ直ぐな壁と認知します。
『Unlimited Corridor』は7月に米国カリフォルニアで開催されるCG関連の国際会議「SIGGRAPH2016」に展示される予定です。日本国内での体験会、出展などは未定とのことですが、イベントやアトラクションでの活用などが期待されるところです。