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投資 2021.11.11

Unityが有力VFXスタジオWeta Digitalを1800億円超で買収、各種ツールや技術をクリエイター向けに提供

ゲームエンジン「Unity」を開発するUnity Technologies(以下Unity社)が、VFXスタジオであるWeta Digitalを買収しました。本買収はWeta Digital独自の視覚効果(VFX)ツールや技術を、クリエイターやアーティストに提供することを目的としています。

Unity社が今回買収したWeta Digitalは、1993年設立のニュージーランドに拠点を持つVFXスタジオ。「アバター」や「猿の惑星」など、さまざまな受賞歴のある映画やテレビ番組において高品質な映像技術を提供しています。Weta Digitalの共同設立者であり会長でもあるピーター・ジャクソン氏は、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズなどの映画監督としても知られています。

契約に基づき、Unity社はWeta Digitalを現金と株式の組み合わせで16億2500万ドル(約1840億円)で買収します。買収は2021年第4四半期中に完了する予定です。Weta Digital内のアカデミー賞を受賞したVFXチームは、「WetaFX」という独立した組織として存続。Unity社のメディア・エンタテインメント分野における最大の顧客となることが期待されています。

多数のツールを買収、クリエイターに提供

Unity社は今回の買収で獲得するWeta Digitalのツールを、同社のブログ内で多数紹介しています。例えば、個々の木や森林バイオマス全体の成長や積雪の追加などを行うことができる「Totara」や、動きや風によるリアルなダイナミクスを実現するシミュレーションに対応したヘアやファーの調整などが行える「Barbershop」などが挙げられています。また、都市や自然環境、動植物、人間、人工物、マテリアル、テクスチャーなどが含まれたアセットライブラリーも、今回の買収によりUnity社が獲得します。

Unity社はこれらのツールをクラウド化し、アーティストが既に使用しているワークフローと容易に統合できるようにすることを目指すとのこと。同社は「これらの高度な機能を、MayaやHoudiniなどのデジタルコンテンツ制作(DCC)ツールで直接利用したり、コンテンツをUnityどに移動して操作したりすることが簡単にできるようになるはずです」とコメントしています。

Weta Digitalは発表の中で、「ツール群がUnityプラットフォームに統合されれば、次世代のRT3D(リアルタイム3D)クリエイティビティを実現し、メタバースの未来を形作ることになります」と述べています。

Unity社は今回の買収を通して、両者の開発力などが組み合わさることによって「メタバースの可能性を最大限に引き出すツールを提供することを目指しています」とコメント。また、「メタバースがどのようなものであれ、またどのようなものになるのであれ、それはあなたのようなコンテンツクリエイターによって構築されるものと信じています」というコメントなど、メタバースへの展望を語っています。

(参考)Weta DigitalUnity Blog


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