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活用事例 2019.08.01

ミケランジェロの天井画を高精細にVR化、年内に無償公開

バチカン市国・システィーナ礼拝堂は、ミケランジェロ作の天井画で広く知られています。300の人物画から成るこの名画を、フォトリアルなVRで体験可能にするプロジェクトが実施されています。

フォトグラメトリーの手法を利用

ミケランジェロの天井画は1508年から1512年にかけて作成されました。6,000平方フィートの広さに、創世記を始めとする旧約聖書の世界が描かれています。

VR化のプロジェクトを進めるのは、ゲームエンジン「Unreal Engine」などで知られるEpic GamesのリードテクニカルアニメーターChristopher Evans氏。コンテンツ「Il Divino: Michelangelo’s Sistine Ceiling in VR」はUnreal Engineをベースとし、2019年6月に発売されたValve社のVRヘッドセット「Index」が対応するとのこと。

制作に用いられるのは、フォトグラメトリー(複数のアングルから撮影した静止画からCGモデルを作成する技術)の手法です。15年の歳月をかけて撮影した高精度の画像やスキャンデータを元に90の4Kマップを構成。細部まで非常に緻密なグラフィックを実現しています。

クリックで音声説明、天井に近づくことも

「Il Divino」を体験したメディアVRScoutの記者は、「筆の動き一つ一つや、細かな欠けにいたるまで見ることができた」と振り返っています。そしてValveのデバイスIndexも、この高精細な画像を実現した要因だと指摘しました。

コンテンツでは1時間のオーディオガイドツアーが体験でき、天井画の100箇所は、クリックすると音声で説明を聞くことができます。さらに高所作業用の機器に乗り、天井まで近づいて上の方の作品を間近で観賞することも可能です。

フォトリアルなVRはすでに実現

本タイトルは、フォトグラメトリー技術の意義を示す物としても価値があります。名作などをフォトリアリスティックな3DCGで永久に保存することができれば、将来に渡って、現実に存在するかのように楽しむことができます。「Il Divino」はこのフォトリアル(写真のようにリアル)なVRは実現可能な段階だというだけでなく、すでに存在することを示したのです。

「Il Divino」は2019年8月1日までカリフォルニアで開催するSIGGRAPH 2019にてデモを公開しています。一般公開は2019年後半、SteamVRで無料の教育素材としてリリースされる予定です。

(参考)VRScout
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