オーストラリアのソフトウェア企業「Sentient Computing」はVRトレーニングシミュレーションの一環として、鉄道労働者の危険な労働環境をVR内に再現し、HTC Viveを用いた訓練を行う映像を公開しました。職場での訓練の形に大きな変化をもたらすかもしれません。
職場でのリスクをVR内で体感
鉄道労働者のように高圧電気などを扱う労働者は就業中、常に危険と隣り合わせです。労働中の事故を避けるため、労働者に資料やビデオを用いた事前の安全教育を施すことが必須ですが、あまり効果的とは言えません。
そこでSentient Computing社は労働者の安全教育のために、様々なシナリオや環境を想定したVRトレーニングシミュレーションを製作しました。今回公開された映像では、鉄道労働者が高電圧スイッチング機器を操作する過程を、HTC Viveを用いてシミュレートしています。
High Voltage Switching on HTC Vive
安全ヘルメットの着用から安全装置の取り扱いまで、命にかかわる細部が入念に製作されている。
このようにVR内で機器を目の当たりにし、実際に手を動かすことで座学による安全教育以上の効果が期待できるとしています。また、何度も同じシミュレーションを繰り返すことで体が行動を覚え、無意識に安全な行動をとることが可能になります。
セーフティカンファレンスにおける実演(Oculus Rift DK2 と Razer Hydra モーションコントローラを使用)
非ゲームアプリケーションとしてのVRの活用
Sentient Computing社はデータビジュアリゼーションとトレーニングに特化し、委託事業の一部として今後ますますVR事業を展開していくものと思われます。
VR技術によって、労働者に対する安全教育をより効率的に行うことが可能になります。このようなVRトレーニングシミュレーションコンテンツは、非ゲームアプリケーションとしてのVRの活用法の一つとして、今後各所で取り入れられていくかもしれません。
(関連)
「ハイブリッド・リアリティ」によるNASAの宇宙飛行士育成プログラム。VRで宇宙の作業環境を再現。
スイスでOculus Touchを用いてより実践的に解剖学を学べるVRソフトが開発中
(参考)
This VR Training Simulation is One of the Best We’ve Ever Seen(英語)
http://www.roadtovr.com/this-vr-training-simulation-is-one-of-the-best-weve-ever-seen/
※米UploadVRはMogura VRとパートナーシップを結んでいます。