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テック 2018.04.04

「現実より広いVR空間を歩ける技術」NVIDIAが発表

VRの世界では無限の空間が広がっていますが、現実のスペースは限られています。

室内などの制限されたスペースでVRを体験する場合、広大なVRの世界を体験していたとしても、家具や壁、他のプレイヤーにぶつかってしまうことで没入感が削がれることは多々あります。

この問題の解決に、GPUの開発・販売で知られるNVIDIA(エヌビディア)が取り組んでいます。

ユーザーが見ていないわずかな瞬間に軌道修正

NVIDIAのリサーチチームは、Adobe(アドビ)社およびストーニーブルック大学と共同でこの問題の解決にあたっており、 ユーザーの「目の運動」にその答えを求めています。

チームが編み出した技術は「Saccadic Redirected Walking (サッカードを利用した VR 空間歩行距離変換技術)」 と呼ばれており、ユーザーが見ていない瞬間に機能します。


(青い線が現実で歩行コース、オレンジの線がVR空間での歩行コース。VR空間内では倍以上の面積を歩いているが、現実にはごく狭い空間を歩いている)

人は眼球の不随意運動によって、「見えていない状態」が1秒間に数回発生します。「サッカード」と呼ばれるその衝動性眼球運動は数十ミリ秒というわずかな時間で終わるので、体験者が気付くことはありません。

NVIDIAの技術では、その数ミリ秒の間にVR空間をわずかに回転させます。これにより、VR内で体験者が認識する歩行コースと現実世界の歩行コースを違うものにし、ユーザーを誘導します。この技術を利用することで、他のプレイヤーにぶつかったり、リビングの壁などの障害物に当たったりといったことがなくなります。

このソリューションは、NVIDIAの製品「Quadro GPU」を利用して実現し、米国で開催されたGTC2018で展示が行われました。また2018年8月には、この研究に関する論文が発表される予定です。

(参考) NVIDIA


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