1月5日(水)に正式発表されたPlayStation 5向け新型VRヘッドセット「PlayStation VR2(PSVR2)」。前モデルにあたる初代PSVRから改良された点や新機能などの詳細が公開され、その後も続々と新情報が発表されています。本記事では、PSVR2のスペックや機能、他VRヘッドセットとの比較などを紹介していきます。
目次
1. PlayStation VR2(PSVR2)とは?
2. PSVR2の基本スペック
3. PSVR2の特長
4. コントローラーの特長
5. リリースされるタイトルは?
6. 他VRヘッドセットとの比較(初代PSVR、MetaのQuest 2)
7. まとめ
1.PlayStation VR2(PSVR2)とは?
PlayStation VR2(PSVR2)は、PlayStation 5と接続して使えるVRデバイスです。VRヘッドセットを装着し、専用コントローラーを使用することで、初代PSVR以上の没入感ある体験ができると予告されています。さらにPSVR2はUSBケーブル一本(Type-C)だけでPS5と接続できるようになり、複数のケーブルを使う必要があった初代PSVRよりも手軽に接続可能となりました。
白を基調とした曲線的なデザインを採用
2022年2月に初公開されたPSVR2本体は、PS5と同じく白を基調としたカラーとなっており、先行公開されていたPlayStation VR2 Senseコントローラーとマッチするオーブ型のデザインが採用されています。
また、両目のレンズ間距離のレンズ調整ダイヤルが搭載された他、初代PSVRよりも軽量に。さらにレンズが曇らないよう通気孔を設けるなど、効果的な換気を実現したとのこと。なお、PSVRユーザーにも違和感なく使ってもらえるよう、重量バランスや頭部に固定する構造などは踏襲・共通化されているそうです。
発売は2023年初頭、価格は未発表
2022年8月、PSVR2の発売時期は「2023年初頭」であることが発表されました。一方、価格はまだ発表されていません。こちらについては、今後の情報に期待したいところです。
2.PSVR2の基本スペック
PSVR2は初代PSVRと比べてディスプレイの解像度などが向上、さらにVR体験中の視線追跡(アイトラッキング)やヘッドセットの振動機能などを備えています。PSVR2のスペック詳細は以下の通りです。
ヘッドセット本体
ディスプレイ | 有機EL |
解像度 | 2000×2040(片目あたり) |
リフレッシュレート | 90Hz、120Hz |
レンズ間距離 | 調整可能 |
視野角 | 約110度 |
センサー | ・モーションセンサー: 6軸検出システム (3軸ジャイロ・3軸加速度) ・装着センサー: IR近接センサー |
カメラ | ・トラッキングカメラ×4 (VRヘッドセット、VRコントローラートラッキング用) ・IRカメラ×2 (視線トラッキング用) |
フィードバック | ヘッドセットに振動機能搭載 |
PS5との接続 | USB Type-C |
オーディオ | ・入力: 内蔵マイク ・出力: ステレオヘッドホン端子 |
PSVR2 専用コントローラー 詳細
搭載ボタン | [右] PSボタン、オプションボタン、アクションボタン (○ボタン/×ボタン)、R1ボタン、R2ボタン、右スティック/R3ボタン [左] PSボタン、クリエイトボタン、アクションボタン (△ボタン/☐ボタン)、L1ボタン、L2ボタン、左スティック/L3ボタン |
トラッキング | ・モーションセンサー: 6軸検出システム (3軸ジャイロ・3軸加速度) ・静電容量式センサー: 指検知 ・IR LED: ポジショントラッキング |
フィードバック | ・トリガーエフェクト (R2/L2ボタン) ・ハプティックフィードバック (各コントローラーにつき1つのアクチュエーターを搭載) |
端子 | USB Type-C端子 |
通信 | Bluetooth Ver5.1 |
電池 | 内蔵型リチウムイオン充電池 |
3.PSVR2の特長
振動フィードバックを搭載
PSVR2には、頭に装着するヘッドセットに振動フィードバック機能が採用されています。ヘッドセットに内蔵されたモーターの振動によって、プレイヤーがゲーム内のアクションから受ける感覚が増幅されます。例えばキャラクターの脈拍の上昇、頭の近くを物体が通過する際の衝撃、スピードを上げて進む車両の推進力などがリアルに感じられるようになるとのこと。
また、コントローラーにも、PS5のコントローラーと同様の「ハプティックフィードバック」や「アダプティブトリガー」が採用され、ゲームにより没入できるようになります。
フォービエイテッド・レンダリング
PSVR2では、プレイヤーの見ている範囲の中心に近ければ近いほど高解像度に、遠ければ遠いほど低解像度にすることで、効率よくきれいな映像を描画するフォービエイテッド・レンダリングを採用。周辺視野は低解像度で描画してもユーザーがほぼ気づかず、体験に支障が出ないことを利用した技術です。これにより、グラフィック描画能力を高めています。
さらに4K HDRディスプレイ、110度の視野角、90/120Hzのリフレッシュレート、有機ELディスプレイが採用されており、美しい映像表現が期待できます。
インサイドアウト方式
PSVR2のトラッキングはインサイドアウト方式を採用。PSVR2に搭載されたカメラを使い、プレイヤーの動きや向いている方向をゲーム内に反映します。初代PSVRでは別途「PS Camera」を設置する必要がありましたが、PSVR2ではデバイス単独でのトラッキングが可能になりました。
USB1本でデバイスを接続
PSVR2はUSB Type-CケーブルとPS5本体と繋げるだけで遊ぶことができます。PSVRではユニット、電源、HDMIなど複雑な配線が必要だったのに対し、PSVR2ではケーブル一本での配線を実現。手軽に体験できるようになりました。
4.コントローラーの特長
PSVR2の専用コントローラーの正式名称は、「PlayStation VR2 Sense コントローラー」です。右手側には○・×・オプションボタン、左手側には△・□・クリエイトボタンが配置され、左右それぞれにグリップ・トリガーボタンがあります。
アダプティブトリガー
同コントローラーには、PS5のDualSenseコントローラーと同様に「アダプティブトリガー」を搭載。押し込んだ際に抵抗を感じられるようになっており、例えば弓を引く際の重さを感じられるようになっています。
ハプティックフィードバック
アダプティブトリガーと同じく、DualSenseで採用された「ハプティックフィードバック」も搭載されています。ゲーム内で感触をより繊細に表現できるようになっており、プレイヤーは岩石が横たわる砂漠の横断、近接攻撃で拳を交わし合う感触などが感じられるようになりました。
フィンガータッチ機能
コントローラーの親指、人差し指、中指が置かれる3ヵ所にフィンガータッチ機能が搭載されています。この機能では押さなくても触れるだけで指を認識することができ、ゲームプレイ中も自然なジェスチャーによる操作を可能にするとのこと。
5.リリースされるタイトルは?
まだ情報の少ないPSVR2ですが、PlayStation 4で1,000万本以上の大ヒットを記録した「Horizon Zero Dawn」のシリーズ新作「Horizon Call of the Mountain」の発売が発表されています。さらに、バイオハザードシリーズの最新作がPSVR2に対応し、注目を集めています。
Horizon Call of the Mountain
「Horizon Call of the Mountain」は、PS4のオープンワールドARPG「Horizon Zero Dawn」を手掛けるゲリラゲームズと、パーティーゲーム「THE PLAYROOM VR」やサバイバルホラーFPS「The Persistence」を手掛けてきたFiresprite Limitedによるタイトルです。
本作の主人公は元シャドウ・カージャの戦士「レイアス」。クライミングと弓の達人で、サン王国を襲う脅威を調査することになります。ゲームでは、武器や道具を使って敵を倒したり、素材を集めて装備を作成したりすることもでき、シリーズおなじみのキャラクターとも会えるそうです。
バイオハザード Re:4
シリーズの人気作「バイオハザード4」のリメイクとして開発中の「バイオハザード Re:4」が、PSVR2に対応します。
Reシリーズでは、原作の特徴を活かしつつも、操作方法やアイテムの種類、攻撃手段など、さまざまな部分を大幅にアップデートしていますが、Re:4ではどのように変わっているのか気になるところです。また、原作の体験をVR版にした「バイオハザード4 VR」がMeta Quest 2に配信されていますが、本作との違いにも期待です。
バイオハザード ヴィレッジ
2021年にPS5及びPS4向けに発売されたバイオハザードシリーズの最新作「バイオハザード ヴィレッジ」もPSVR2への対応が発表されています。
VR版では、4K HDRディスプレイグラフィックをはじめ、PSVR2の視線トラッキング、3Dオーディオなどが活用されているとのこと。プレイヤーは腕を上げてガードしたり、銃を構えて撃つといった動作ができます。さらにMeta Quest 2版の「バイオハザード4」でも採用された「ナイフを構えながら銃を撃つ」といったアクションもできます。
「バイオハザード7」は初代PlayStartion VRに全編対応して好評を得ていたため、本作ではどれだけ世界観を楽しめるか期待したいところです。
The Walking Dead: Saints and Sinners Ch2
人気海外ドラマウォーキングデッドのVRゲーム「The Walking Dead: Saints and Sinners」の第2作「The Walking Dead: Saints and Sinners Ch2」がPSVR2向けに登場。すでにリリースされているVRゲーム「The Walking Dead: Saints & Sinners」の続編です。
なお、発売は初代PSVR版が先行するとのこと(Oculus Quest 2での発売は2022年中)。
PSVR2版の発売時期も気になるところです。
ノーマンズスカイ
SFアクション・アドベンチャーゲーム「No Man’s Sky」がPSVR2に対応。プレイヤー主観視点の最新トレーラーが公開中です。
本作では、自動生成される1,800京もの惑星を飛び回ったり、1つの惑星の探索を極めたりと、さまざまな遊び方が可能となっています。ユーザーの声を受けた継続的・精力的なアップデートによって、高評価を得ました。
これまでにもPSVR版とSteamVR版がありましたが、今回の発表でPSVR2でも遊べると判明したことになります。
発売が期待されるタイトル:ビッグタイトルも?
PSVRでは「マーベルアイアンマン VR」のようにビッグタイトルがリリースされました。本作はPSVRタイトルの中でも高いクオリティを誇っており、もしPSVR2へ移植されれば、さらなる飛躍を遂げた体験が実現するかもしれません。さらに、「マーベルアイアンマン VR」を開発したCamouflajでは、新しいビッグタイトルの開発を目的にした新規スタッフの募集を行っており、続編や完全新作も期待できます。
PSVR時代には他にも「ライアン・マークス リベンジミッション」や「ASTRO BOT: RESCUE MISSION」のような評価の高い専用ソフトが多数あり、新規タイトルの発表される可能性も十分あり得ます。もちろんVRの定番タイトルとなる「Beat Saber」、そして「VR Chat」「cluster」のようなソーシャルVRのリリースも期待したいところです。
6.他VRヘッドセットとの比較
PSVR2のパネル解像度はPSVRのほぼ2倍に。視野角も広がったほか、フィードバック機能も充実しており、リアルなVR体験が可能になっています。さらに接続する機器がPS4からPS5へ変わったことで、パフォーマンスも大きく向上していることが予想されます。
PSVRと比較
PSVR2 | 初代PSVR | |
解像度 | 2000×2040(片目) | 960×1080(片目) |
パネル | 有機EL | 有機EL |
リフレッシュレート | 90Hz、120Hz | 90Hz、120Hz |
視野角 | 約110度 | 約100度 |
モーションセンサートラッキング方式 | インサイドアウト方式 | アウトサイドイン方式 |
アイトラッキング用カメラ | IRカメラ | なし |
フィードバック | ヘッドセットフィードバック、ハプティックフィードバック、アダプティブトリガー | PS Moveの振動 |
接続に必要な機材 | USB Type-C | HDMI、USB、プロセッサーユニット、ACアダプター、PS Camera |
オーディオ入力 | 内蔵マイク | 内蔵マイク |
その他 | ・PlayStation 5が必要 | ・PlayStation 4 またはPlayStation 4Proが必要 |
また、PSVRの配線に煩わしさを感じていたユーザーにとって、ケーブル一本で接続できるようになったことは大きな朗報でしょう。さらにインサイドアウト方式の採用によって、PS Cameraも必要がなくなりました。
MetaのQuest 2と比較
PSVR2のパネル解像度はQuest 2よりもやや高く、最大リフレッシュレートや視野角は同じです。ただしPSVR2はPS5との接続が前提であるため、Quest 2よりもずっとハイクオリティなグラフィック表現が可能だと言えるでしょう。ディスプレイが有機ELであることや、アイトラッキング搭載であることを活かしたタイトル等も期待できます。
PSVR2 | Quest 2 | |
解像度 | 2000×2040(片目) | 1832×1920 (片目) |
パネル | 有機EL | 液晶 |
リフレッシュレート | 90Hz、120Hz | 72Hz、90Hz、120Hz |
視野角 | 約110度 | 約110度 |
モーションセンサートラッキング方式 | インサイドアウト方式 | インサイドアウト方式 |
アイトラッキング用カメラ | IRカメラ | なし |
フィードバック | ヘッドセットフィードバック、ハプティックフィードバック、アダプティブトリガー | Quest 2コントローラーの振動 |
接続に必要な機材 | USB Type-C | USB Type-C (※PCと接続する場合) |
オーディオ入力 | 内蔵マイク | 内蔵マイク |
その他 | ・PlayStation 5が必要 | ・スマホ用のコンパニオンアプリが必要 ・PCと接続可能 |
一方のQuest 2は、ゲーム機やPCとつながなくても使える一体型VRヘッドセット。さすがに単体で使う際のグラフィックや性能はPSVR2に劣りますが、安価かつ手軽にVRを体験するのに向いているほか、PCと接続してのVR体験も可能です。
7.まとめ
ついにデバイス本体のビジュアルが公開されたPlayStation VR2。公開されたスペックからは、初代PSVRからの大きな進化を感じさせるものとなっており、期待が高まるデバイスです。
公式サイトもオープンしており、サインインすれば最新情報を受け取れるとのこと。発売日、価格などまだ不明点もありますが、ソニー・インタラクティブエンタテインメントでは新しい情報を少しずつ公開しており、今後の情報にも注目です。