中国のVRヘッドセットメーカーPimax社は、最大12Kの新型一体型VRヘッドセット「Pimax Reality 12K QLED」(以下Pimax Reality)を発表しました。価格は2,399ドル(約27万円)。出荷は2022年第4四半期に開始される予定です。
Pimax社は、同名のVRヘッドセット「Pimax」シリーズで知られている企業。「Pimax Vision 8K X」では、8K(片目4K)解像度と対角200度の視野角(FOV)を実現しています。
FOVは水平200度
「Pimax Reality」のディスプレイ解像度は片目5620×2720(液晶ディスプレイ) 。リフレッシュレートは200Hzで、小型LEDバックライトと量子ドットレイヤーが実装されているとのこと。米メディアUploadVRによれば、小型LEDを大量に使うことで有機EL並のコントラストが実現されているそうです。またPimax社は「量子ドットレイヤーで、有機ELに勝るレベルの“色の範囲”を実現した」と説明しています。
「Pimax Reality」のレンズは、フレネルレンズと非球面レンズを合体させたデザイン。現行のPimax製VRヘッドセットの周辺視野部分で起こる幾何歪み(geometric distortion)は、「Pimax Reality」では発生せず、FOVは水平200度/垂直135度で人間の視野のほぼ全体をカバーしているとのこと。
トラッキングは、ヘッドセット前面に搭載された4つのカメラを活用するインサイドアウト方式です。スウェーデンのTobii(トビー)との提携によって、アイトラッキングも実装。レンズ・セパレーションシステムや、ダイナミック・フォービエイテッド・レンダリング(※)も導入されています。
(※フォービエイテッド・レンダリング:人の中心視野ほど高解像度で、視野の外側に行くに従って低解像度で描画する手法)
全身トラッキングにも対応
Pimax社によれば、「Pimax Reality」の底面と側面に搭載されているカメラは、表情認識と全身トラッキングにも使用されるとのこと。
PCと接続するモードは2タイプあります。ひとつは通常のWi-Fiで接続する「Oculus(Air)Link」に似たモード。“ハイ・フィデリティー”モードでは光ファイバーケーブルか、 WiGig 2 (802.11ay) 規格を使用します。
ハイスペックPCを所有していないユーザーを対象にした、 WiGig 2アダプターを実装した、“VRステーション”のリリースも予定されています。この機器は、「Pimax Reality」を接続した際にのみ動作する仕様になる模様です。
一体型モードでは性能が制限
「Pimax Reality」には、Oculus Quest 2と同じチップセット「Snapdragon XR2」が搭載されます。完全な一体型(PCに接続しない)モードでは、同VRヘッドセットの性能は制限される模様です。UploadVRによると、一体型モードでの解像度は片目4K以下、水平FOVは150度、リフレッシュレートは120Hzが上限となるそうです。
「Pimax Reality」の予約は2022年夏に開始される予定。「Pimax」シリーズを既に所有するオーナーは、自身のヘッドセットを“下取り予約”することで、ディスカウントを受けられるとのこと。続報に期待です。
(参考)UploadVR
Mogura VRはUploadVRのパートナーメディアです。