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VTuber 2024.04.22

配信で楽しく学んでみよう! 今、注目の知識・学術系VTuberピックアップ

VTuberの中には学術・専門分野の知識特化で活動している者が、かつてから数多くいます。それぞれのジャンルで動画や配信を行うVTuberは一般的に「教養系VTuber」「学術系VTuber」などと呼ばれ、活動の幅を広げてきました。

最近ではどっとライブ所属のカルロ・ピノが、さまざまな学識を持つVTuberを呼び、それぞれの得意分野から話を聴く配信「ぴのらぼ特別編」が話題を呼んでいます。(ちなみに、カルロ・ピノ自身も、2018年から生物にまつわる教養配信「ぴのらぼ」を実施し、本を3冊も出版しています)。

また、儒烏風亭らでん栞葉るりのような、一見難しそうな話題を熱意をもって紹介するVTuberも登場し、「楽しく学べる」と、視聴者から好評を得ています。

今回は知識系・学術系VTuberの中から、興味深い活動をしているVTuberをピックアップしてジャンルごとにご紹介します。

民俗学・諸星めぐる

GAMABOOKS所属の書店員Vtuber諸星めぐるは、民俗学に長けているVTuberです。ここであげられている民俗学とは、自分たちの日常の様々な出来事や物や概念について、歴史と民間伝承を紐解きながら由来や意味を探っていく学問です。

このあたりは、ずんだもん&諸星めぐるがトークしている動画シリーズを見ると、よくわかります。

妖怪や幽霊、たばこや銭湯や麦、赤や青のような色の種類など、配信ごとにテーマを決め、資料をたっぷり見せながら民俗学・考現学・文化史視点で軽快に解説してくれます。こんなものもテーマとしてアリなのかと唸らされる切り口も多く、聞き終わった後に世界の見え方の解像度がぐっとあがる内容です。

とても元気な話し方なので聴きやすいのが、彼女の配信の個性です。普段から街歩きや旅行も頻繁に行っているようで、SNSに写真がたくさんアップされています。このあたりもあわせてチェックすると、諸星めぐるがどんなふうに世界を見ているかを感じられ、学者の目を見ているようで楽しいです。

様々な教養系VTuberや「ゆる民俗学ラジオ」ともコラボをしています。このコミュニケーション能力の高さを活かして各地で現地の人と話すフィールドワークを行っているそうです。

日本史・きら子

中高生の受験にそのまま使えるクオリティ。日本史を体系的にまとめて解説してくれるのがきら子です。

源氏物語について順序立てて要約したり、日本神話をまとめて紹介したり、出土品について解説したりと、知りたかったけれども、難しそうだったところをすっきり、わかりやすく紹介してくれています。体系的に話してくれるので、ひとつの配信を見ておけば、ひととおりわかる、という構成が資料としてとても役に立ちます。

ものすごい量の資料を準備しており、作りこまれたスライドを見るだけでもかなり勉強になります。語り口もとても聴きやすく流暢で、面白い人気の予備校の先生、という雰囲気です。

また「古代日本にあった?なかった?クイズ」など、視聴者が参加して楽しめる切り口のネタも取り上げています。その他にも他のVTuberを招いた「遣V使」シリーズでは、ゲストVTuberにあわせた普段と違う切り口からも古代日本を学ぶことができます。

宇宙科学・宇推くりあ

ロケット工学にものすごく詳しく、現在では内閣府の主催する第6回「宇宙開発利用大賞」のPRキャラクターに任命されたり、H3ロケット試験機2号機応援サポーターにも参加しているロケット系アイドルの宇推くりあ。特に面白いコンテンツのひとつが、ロケットの打ち上げなどをみんなで同時視聴し、そのときのロケット技術を細かく分析して解説してくれる配信です。解説のすごさが本物だとSNSでバズったこともありました。

ロケットはどうしても成功と失敗で見てしまうこともあります。しかし打ち上げるための技術開発を重ねて、どうすればいいのかを調べる試行錯誤のほうが大事で、毎回の打ち上げの挑戦自体に意味があることが、配信を見ていると伝わってきます。

彼女はロケット工学の話題と同じくらいにアイドル活動を頑張っています。どちらも最大限頑張りたいからこそ、両方同時に目指せるVTuberのスタイルをとっているという活動形式が、彼女の人気の理由かもしれません。

惑星科学・星見まどか

惑星科学者として天体を中心とした話をしてくれるのが星見まどか。惑星科学の最新情報をまとめて紹介したり、天体を擬人化することで特徴をわかりやすくしたりするなど、エンタメと科学のバランスがとてもうまく、知的好奇心をくすぐるチャンネルです。

特徴的なシリーズとして、毎月頭に行う「星空案内」があります。これはその月の天体の見どころや、日付ごとの解説を行うもの。天体について夢を持たせつつ、かつ身近な話として、非常にワクワクさせるような語り口です。毎日のように空を見上げたくなること間違い無しの、身近なところから楽しめる内容です。

また宇宙に関わるお仕事の学者を招いて話を聞いたり、カルロ・ピノ、宇推くりあ、きら子、ながのりょうといったVTuberとコラボをするなど、教養・学術系VTuberを盛り上げるのにも一役かっています。

生命科学・高遠頼

生命科学に関して発信し続けているのが高遠頼。直球の解説のみならず「たかとーと学ぶ生命科学×◯◯」というタイトルで他の教養・学術VTuberと新しい視点から科学をしたり、ノーベル賞とイグノーベル賞の解説をしたりするなど、多様な方向から生命科学の面白さを発信するべく手の込んだ配信を行っています。

毎週行われている「生命科学ニュース」はひとつのトピックを取り上げて深堀りしていく、興味深い内容の配信です。「哺乳類はどうやって冷たい・温かいを感じているのか」「サルのしっぽはなぜ消えたのか」「指紋はどう作られるのか」など気になったことがある人の多そうな、でも普段あまり考えないネタをまとめながら、生命科学の面白さにいざなってくれます。かなりの枚数のスライドが用意されているので、説明がわかりやすいです。

高遠頼はサイエンスコミュニケーターの北白川かかぽらと共に学術系VTuberユニット「まなぶい」を結成し、経済産業省 STEAMライブラリーに採択された「学術系Vtuberユニット“まなぶい”『学術系Vtuberと考える“未来のバーチャル社会”』」の制作にも携わっています。

法律・ながのりょう、じゃこにゃー

弁護士Vながのりょうじゃこにゃーは、法律の方面で専門的に活動しているVTuber。それぞれのチャンネルで独自の切り口の配信を行いつつ、「ながじゃこ」としてふたりで頻繁にコラボ配信も行っています。

法律として詳しい部分まできっちり切り込んではいるものの、話題は難しいものではなく一般的な日常生活に近いところからの視点が多いです。他人を勝手に写していいのか、学校ごとにある校則、災害時のSNSデマ、エイプリルフールの嘘など、どんな人にでも当てはまる話題ばかりなので、気になるところからチェックしてみてください。

ながのりょうは弁護士として、訴訟問題、法律相談の仕方、法改正についてなど、かなり専門的な部分まで切り込んで話しているのが特徴です。視聴者からの法律に関しての相談をマシュマロで受け付けていることもあります。

じゃこにゃーはミッキーマウスの著作権や意外な商標登録など、ニュースの話題から気になる法律の問題に切り込んでいます。特に著作権関係はいかに複雑か、あらゆる角度から検証していて見応えがあります。

また驚かされるような珍しい犯罪やユニークな事象のあった犯罪について取り上げているのも特徴です。短くわかりやすい動画も多数アップしており、社会を考えるきっかけを与えてくれるチャンネルです。

薬学・雨声シト

薬学に特化して活動している雨声シトの動画と配信は、誰もが人生の中で何かしら関わる薬について、実用的な内容で語っています。薬と人体の関係を薬学の面から科学的に紹介しているので、どのような薬がどのような仕組みで効くか参考になります。また時事のネタを扱うこともあり、生活に薬がどのように関わっているかを知る入口にもなっています。

短くまとめられた動画では、特にメンタル系の薬について、成分まで含めて細かく解説しています。また精神疾患について、うつ、双極性障害、性同一性障害、適応障害など様々な症状にあわせて説明しているので、気になっている人はもちろん、今すぐ必要ではないという人でもブックマークしておいて一見の価値アリです。

古生物学・白亜マウル

白亜マウルは古生物を専門に扱っているVTuber。イラストや写真を多く使用しているのが特徴で、ちょっと見るだけでも、かなり好奇心を刺激する動画や配信のラインナップになっています。それぞれの種について深めの解説をしている他、他のVTuberを招いたクイズ形式で多様な古生物の知識を紹介するなど、エンタメ性にも富んでいます。

「今週の古生物学ニュース」ではお勉強系VTuberの茜ちえり、サイエンスコミックライターのAyaneと共に、ニュースを元に様々な角度から古生物について調べ考える面白さを紹介しています。

宝石研磨・ごもも

宝石研磨職人見習いVTuberのごももは、宝石を磨くことを専門に扱っているチャンネル。鉱石を美しい宝石に変えて命を吹き込む研磨の様子を、実際に配信で見せてくれます。本格的に宝石研磨を行っているVTuberで、スリランカに行って石を購入する様子なども撮影しアップしています。

宝石についての知識解説を非常に楽しそうに行ってくれるため、聴いていると鉱物の美しさの魅力に引き込まれます。また酒瓶を割って宝石を作ったり、アメの黄金糖そっくりの宝石を磨いたりと、宝石研磨の技術の面白さがエンタメとして見られるユニークなチャンネルです。

火葬場・さいば萌

おそらくVTuberではオンリーワンであろう、火葬場を専門的に扱っているのがさいば萌。2019年から活動しており、ものすごい量の火葬場を実際に訪れて撮影、写真を元に動画で紹介しています。都会でも田舎でも存在する火葬場は日本人の生活と密着している、しかし、あまり語られない存在で、よく観察すると土地の文化が見えてくるのがわかる、フィールドワークの実践を体験できるチャンネルです。

さいば萌は日本全国あらゆる地域に足を運んでおり、海外にまで赴いています。火葬場のみを事細かに撮影して記録しているため、比較できる資料としても価値が非常に高いです。VTuberとして地理的状況や歴史をしっかり考察し語っているので、文化の調べ方自体も学ぶことができます。

知識・学術系VTuberのコラボの広がり

知識・学術系VTuberは、大きなコラボを行うことが増えてきています。中でもかなり大人数が参加し、規模も動画数も多いのが「夏休み科学VTuber相談室」です。これは高遠頼をはじめとした科学や教養を中心としたVTuberによるシリーズで、素朴な疑問やユニークな切り口で動画と配信をリレー形式で行うものです。

「相談室」のため、解説役VTuberと聞き手VTuberがいるのが最大の特徴。全員VTuberなので、授業というよりは、友達から話を聴いているような見やすさで楽しむことができます。

スクールオブチューブ」では専門VTuberが集結して、一時間めから六時間め+朝の会と給食の時間を分担して、学校さながらに授業を行うリレー配信です。理科、国語、社会、図画工作と自身の専門分野のジャンルがしっかり分かれているのがとてもユニークです。

きら子が行っていた「【#学術系VTuberを探せ】学問について発信しているVTuberさんを一挙ご紹介!【古代日本史VTuber きら子】」では、VTuberを次々に呼んで紹介し、それぞれが自身の活動を話しています。これから探したいという人にはもってこいの、教養・学問系VTuberカタログとして役立ちます。

知識・学術系VTuberの動画や配信は、好奇心を刺激する、知識の増えるエンタメとして見ることができます。それでいて、企画の対象となるテーマは、ひとつの視点からだけ見るよりも、多角的に見たほうが面白く、かつ学びが増えます。全く関係なさそうなジャンルのように見えて、コラボによって意外な発見がどんどん出てくる、双方の視聴者にとって、プラスの面しかありません。

また知的好奇心のある人が集う場としての機能も、とても高いです。VTuberのコラボ全般に言えることではありますが、知識・学術系VTuberの場合はさらに、新しく知ってもらう機会としてのコラボがとても強く働きます。特にコラボのときは普段以上に、ユニークで興味を引く題材のことが多く、覗きたくなることがたくさんあります。

VTuberの姿ということもあって、配信に堅苦しさはほとんどなく、みんなで輪になって、ワイワイ知識を共有し合う楽しい雰囲気ですので、自分の興味にあうVTuberを探してみてください。


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