アメリカ・ラスベガスで開催されたエレクトロニクス展示会「CES2019」にて登場したMRデバイス「NrealLight(エンリアルライト)」。本デバイスはメガネ型の見た目や軽量性、広めの視野角が特徴。KDDIとの提携や開発者版の発売を控え、注目が集まっています。
本記事では「NrealLight」はどういったデバイスなのか、何ができるのか、価格や発売日、購入方法、スペックや付属品などを紹介します。
目次
NrealLightとは?
NrealLightで何ができるの?
価格や発売日、購入方法は?
スペックや購入時の付随品など
NrealLightとは?
「NrealLight」は、中国のスタートアップNreal Ltd.が開発しているMRグラスです。サングラスと見紛うほどのスリムな形状に88gという軽量さ、メガネ型のデバイスとしては広めの52度の視野角が特徴的です。音は内蔵スピーカーから聞こえます。
他のメガネ型MRデバイスとの違いは?
(左:HoloLens、右:Magic Leap One)
メガネ型デザインのMRデバイスは、NrealLightの他にもマイクロソフトの「HoloLens」やMagic Leapの「Magic Leap One」などがあります。最も大きな違いはスマートフォンを接続できることです。NrealLightには、Qualcomm Snapdragon 855を搭載したスマートフォンか、外付けの専用ユニット(Snaodragon 845を搭載)が必要となります。HoloLensは単体で動作。Magic Leap Oneは外付けの専用ユニットを使用し、スマートフォンは接続できません。専用ユニットはMagic Leap OneよりもNrealLightの方が軽くて小型です。
NrealLightは、HoloLensやMagic Leap Oneに比べて低価格、軽量、小型を実現した代わりに機能制限があります。位置をトラッキング(SLAM)するためのカメラの数はHoloLensやMagic Leap Oneと比べると少なく、精度も劣ります。またコントローラーもスマートフォンを使った3DoF(※)で簡易的なもので、手や指を使った操作や視線の動きを読み取るアイトラッキングも搭載されていません。
(※3DoF:回転だけを認識する。6DoF:上下左右前後の動きを認識する)
HoloLens |
Magic Leap One |
NrealLight |
|
価格 |
333,800円 |
2,299ドル(約25万円) |
499ドル(約54,000円) |
重量 |
579g |
325g(Lightwear) |
88g |
NrealLightで何ができるの?
NrealLightは、現実にデジタルな情報を重ね、物体がまるでそこにあるかのように見ることができます。デバイス本体に搭載された4基のカメラで空間認識を行い、現実にオブジェクトを表示する、6DoFトラッキングが可能です。操作コントローラーは、スマートフォンをそのまま使い、傾けることでポインタを動かしたりするボタン型のシンプルな設計です。
2019年8月には、Unity開発者向けキットのβ版「NRSDK」の配布が開始されました。NRSDKを使うと、NrealLightが手元になくても既存のAndroidアプリにMR機能を追加して開発を進められます。カメラを使った位置トラッキングだけでなく、マーカーの読み取りも可能。ゲームや仕事ツールアプリ、美術館などで使用されるバーチャルガイドのようなものも作できます。
執筆時点で最新となる「NRSDK 1.1 Beta」では、エミュレータ機能を搭載。Unity Editorの新しいエミュレータ機能を使えば、本体がなくてもアプリケーションのテストができます。また、Nreal社は日本国内の開発者を対象とした開発者支援プログラム「Project Eve」を10月初旬より提供開始します。
価格や発売日、購入方法は?
NrealLightの価格は499ドルで2020年初旬に発売予定です(前述したようにSnapdragon 855搭載のスマートフォンが別途必要)。ソフトウェア開発者向けキット「NrealLight Developer Kit」は2019年9月末から順次提供開始されます。NrealLight Developer Kitにはデバイスと外付けユニット、コントローラーが付属しており、価格は1,199ドルです。
9月13日時点、公式から一般向消費者向けの販売情報のアナウンスはありません。Nreal社はKDDI株式会社と提携を発表しているため、ショップで販売される可能性もあると推測されます。
スペックや購入時の付随品など
NrealLightおよびNrealLight Developer Kitのスペックや購入時の付随品は以下の通りです。
NrealLightの場合
・本体
重量 |
88g |
視野角 |
52度 |
接続 |
USB-C |
機能 |
・SLAM(Simultaneous Localization and Mapping) |
価格 |
449ドル |
発売日 |
2020年初旬 |
「NrealLight Developer Kit」の場合
・本体
重量 |
88g |
視野角 |
52度 |
接続 |
USB-C |
機能 |
・SLAM(Simultaneous Localization and Mapping) |
価格 |
1,199ドル |
発売日 |
2019年9月末 |
・コントローラー
重量 |
23g |
トラッキング |
3DoF |
タッチパッド |
・タッチセンシティブ |
・外付けユニット
重量 |
170g |
ハードウェア |
Qualcomm Snapdragon 845 |
OS |
Android |
開発プラットフォーム |
SDKはUnityおよびUnrealで利用可能 |
※公式サイトより