英国ダラム州の大学病院グループが、業務用スマートグラス「RealWear Navigator 500」を導入しました。外傷・整形外科部門の教育研修で使用されます。イギリス国内の慢性的な医師不足の緩和につながると期待されています。
（執刀医がスマートグラスを着用する様子。出所：RealWear）
執刀医の視界をリアルタイム表示、学生の学びに活かす
RealWearによれば、新しい教育研修は、スマートグラスを着用した執刀医が手術の視界をリアルタイムに撮影し、別室にいる学生に共有しながら行われます。学生は手術の様子を俯瞰視点で観察でき、執刀医との質疑応答も行えます。この方法であれば、手術室の収容人数に制約されず、従来よりも多くの学生が参加できるうえ、より安全でインタラクティブな実習が行えるとのこと。関係者は、「RealWearを導入してから、学習の機会を大幅に増やすことができました。1日あたりでRealWearのソリューションを通して学べる人数は、従来であれば1年かけて手術に立ち会える人数を超えています」と語りました。
（実習生が別室で手術を視聴する様子。出所：RealWear）
医師不足緩和に期待
RealWearの製品導入を決めたのは、イギリス国民保険サービスNHS（National Health Service）の基幹病院「ノース・ティーズ・アンド・ハートルプールNHSファウンデーション・トラスト」です。傘下に大学病院2つと地域病院1つを擁し、さまざまな医療分野の実習生を受け入れています。
NHSは慢性的な労働力不足に直面しており、2023年3月時点で11万2,000人の医師・医療スタッフが欠けている、とされています。今回の事例のようなスマートグラスを介した教育研修は、多分野の実習生がリモート参加できることから、全国的な外科医不足の緩和にもつながることが期待されます。
手術用カメラによる視界の共有は2015年頃から試みられ、各国で手術記録が行われていますが、デバイスの小型化やコードレス化、操作性の向上などが期待されていました。RealWearはプレスリリースにおいて、「軽量かつ視線の位置調整も容易であり、競合デバイスと比べて高く評価された」とコメントしています。
（参考）RealWear
